地震への備えは?阪神大震災から4年経って

記:1999.1.17

 このコラムは1月17日に書いております。阪神大震災が起こってからちょうど4年が過ぎようとしています。今もなお、5,800世帯ほどの人が仮設住宅で暮らしています。都市基盤(インフラ)は、私がボランティアイメージ1年ほど前に神戸を訪れた時には、市街地においては震災があったのかと思われるほどきれいに整備されており、今ではすっかり復興していることと思われますが、人々の生活再建は道半ばといったところではないでしょうか。

 地震はいつ襲ってくるかわかりません。皆様方の地震への備えは万全でしょうか。阪神大震災以降、時間が経つにつれ、次第に地震・震災について取り上げられる機会も減ってきており、人々の防災に対する意識も薄れてきているのではないでしょうか。
 昨日(1999年1月16日)、名古屋で行われました「愛知県防災ボランティアシンポジウム」に参加してきましたが、400名ほど入れる会場に150名ほどの参加者でした。人数的には会場の広さからすると少なく感じますが、土曜日で休みの人も多いこともあり、人々の防災に対する意識が薄れてきている中では、そこそこ集まっていると思います。何が寂しかったと言いますと、参加されている方の年齢層の片寄りです。男性が8割ほど占めていたのですが、男性は60歳代以上、女性は50歳以上の方が多く見られました。私の感覚としては、今回のテーマは“防災ボランティア”ということでしたので、若い人の姿も見られるだろうと思っていましたが、実際には20歳代〜30歳代の人は数えるほどでした。愛知県防災ボランティアシンポジウムの内容については、のちほど詳しく述べます。

 地球上で、地震によって命をおとした人は、今世紀だけでも100万人にのぼると言われています。特に日本は、地震の発生源となる4つのプレートの上に乗っているとともに、また主なものだけでも、約1,500カ所の活断層が全国各地に走っています地震多発国です。いつ起こるかわからない地震に対して、四六時中しっかりと備えをする(身構える)ということは、容易なことではなく、本来は常に地震発生の際、どう行動するかを身につけておくことが必要なのですが、我々日本人は、良い意味につけ悪い意味につけ、忘れやすい国民性であり、忘れていくことによって日々の生活が営まれていくという感じも否めません。
 しかし、たとえ日々地震に対して常に身構えなくても、地震に対して壊れないだけの耐震性のある家に住むなどの大枠は抑えていく方向で取り組んでいく必要はあると思います。それと、私もそうですが、9月1日(防災の日:関東大震災が起こった日)と1月17日(阪神大震災の起こった日)には防災について考えてみると同時に実際に防災訓練をするのが最も良いのですが、頭の中で地震発生時の行動シミュレーションを試みてはいかがでしょうか。
 また、1997年3月からコラムを書き始めて以来、9月と1月には毎年“地震・防災”についてのコラムを書いておりますので、地震についての必要最低限の備え(知識)「地震一口メモ」と併せまして、一度ご覧いただけたらと思います。

 ここで、先程述べました「愛知県防災ボランティアシンポジウム」について少し紹介します。愛知県主催(入場無料)で午前に講演、午後にパネルディスカッションの2部構成で行われました。講演は、京都大学教授の岡田篤正氏が「愛知県及びその周辺の活断層」という題目で話され、パネセミナーイメージルディスカッションは、京都大学教授の林春男氏をコーディネーターとして「災害時に備えた防災ボランティアのネットワークづくりのために」というテーマで討論されました。パネリストは、神戸NGO協議会代表の草地賢一氏、日本赤十字の畑厚彦氏、社会福祉協議会の丹羽典彦氏、高浜市応急手当普及ボランティアの会委員長の平山雅章氏の方々です。
 上から2番目の写真は、パネルディスカッションの模様を写したものです。舞台側が光ってしまってうまく撮れておりませんが、会場に参加されいらっしゃいます年齢層まではわからないまでも、まばらな会場の様子が伺えるのではないかと思います。

 講演は、昨年(1998年)9月に出されました愛知県内の活断層を網羅した「愛知県活断層アトラス」の内容を、三河地震(1945年発生)、濃尾地震(1891年発生)を例に挙げ、活断層のメカニズムなどについて詳しく説明されました。

 午後のパネルディスカッション「災害時に備えた防災ボランティアのネットワークづくりのために」では、一般のボランティアとはまた違う、いつ起こるかわからないことに対応する“防災ボランティア”の難しさとともに、各々のボランティア団体同士のネットワークづくりの難しさについて討論されました。その中で印象に残った発言を少し挙げますと、「ムダをムダと思わずにムダをして下さい」「うまくいっているボランティア団体の代表は経営者(経営感覚を持っているという意味)そのものである」「“この指とまれ”で指をたてて誰かがやってくるのを待つのがボランティアの原点ではないか」などです。
 その中でも、地震は来ない方がいいけれども、発生しないことにはそのための準備がムダになってしまうというジレンマをまさに「ムダをムダと思わずにムダをして下さい」という言葉は、言い当てていると思います。この言葉は、ハード部分の耐震建築においても、ソフト部分の防災ボランティアについても当てはまります。防災ボランティアを育成していくことについて、いつ起こるかわからない地震に対して、モチベーションを維持していくのにたいへん苦労しているという話も出されました。

 ボランティア元年と言われました阪神大震災ですが、昨年(1998年)12月にはNPO法も施行され、次第に基盤は整ってきていますので、これからますます“防災ボランティア”の役割の重要性が増していくものと思われます。

 本日、BS放送含めNHKでは阪神大震災4年目を迎えての特集を4本ほど組んでやっており、見ておりましたが被災地に住んでいらっしゃる方の本来の日常生活を営んでいく上での復興は、インフラ整備が一段落した5年目を迎えるにあたって、ようやく始まったと言えます。人と人のつながり、ふれあいという地域住民におけるコミュニティーの“餅つき大会”“祭り”などの催しがようやく行われるようになってきたところではないでしょうか。

 最後に、阪神大震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。多くの死者、被害を出した阪神大震災を風化させることなく、今回の震災を教訓にして地震に強い“防災都市づくり(まちづくり)”へのよりいっそうの推進を図っていく必要があります。必要最低限「自分の命は自分で守る」という心構えは必要でしょう。

By Nagura

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