“まちづくり交流フォーラム”に参加して

記:1998.12.1

 1998年11月29日に名古屋市公会堂で行われました“まちづくり交流フォーラム研究集会1998”に参加してきました。まちづくり交流フォーラムは、まちづくりを都市工学などのハード面に限定せずに、環境・福祉・フォーラムイメージ教育・文化といったソフト面にも視野を広げ、新たな文化、新たなコミュニティーの創造をめざし21世紀におけるまちづくりを討論する研究集会というものです。内容は午前、午後と2部に分かれており、午前中は基調講演とNPO(非営利組織)、NGO(非政府組織)などの各参加団体の紹介が行われ、午後は後ほど述べますが各テーマに分かれて分科会が行われました。

 会場には晴天に恵まれた日曜日という絶好の行楽日和にもかかわらず500名近くの方が参加されているのには驚きました。分科会のテーマの中に「こどもたちとまちづくり」などのテーマもあるため、女性の参加者の方も3割ほどおられ、意気込みが感じられました。
 今回のフォーラムは、NPOセミナー代表の方が事務局をされており、副題には「21世紀への市民からのメッセージ」が掲げられていました。市民個人個人からのメッセージというよりは、市民の皆さんが参加されているNPO、NGOなどの団体を通しての意見、話を聞くいい機会となりました。全体的な評価はともあれ、まず何よりもこのような催しを立ち上げたことを評価したいです。
 このまちづくり交流フォーラムは、3年計画で、初年度の今年は「出会いと交流の場」、2年目は「話し合いと討論の場」、最後の3年目は「提言をまとめる場」と位置付けられており、会場も愛知、岐阜、三重と巡っていきます。ちなみに来年の会場は岐阜で1999年11月14日の日曜日と日時もすでに決まっています。
 私自身としては、1年に1回という開催パターンは、少し時間が空きすぎるのでないかという気がしています。最近、勉強会、フォーラム、研究会などというものに立て続けに参加していますが、いつも議論が盛り上がってきたところで時間の制約もあり終了という場合がけっこう多いです。今回の分科会(上の写真を見ていただきますと分かりますが「中心市街地の活性化を考える」を選択しました)においても、議論が盛り上がってきたところで、来年度へという感じは否めませんでした。今回のフォーラムにおける全テーマの議事録を後日いただけるということですが、今回の盛り上がりを来年度へ継続していけるのか、また振り出しに戻って議論が始まるのかという点が少し心配にもなった次第です。

 午前中の会場には、壁面に沿ってNPO、NGOなどの参加団体のブースが20くらい紹介されていました。東海地区のみならず関西からの参加団体もあり、子育て支援、高齢者・福祉支援、森林・地域環境保全などのブースが見られました。基調講演は、阪神淡路コミュニティー基金代表の今田忠氏が「市民がつくる復興計画−阪神淡路大震災の教訓」という題目でされました。市民の自立と支え合いということを強調され、市民の存在を前提として作った復興計画が紹介されました。詳しくは書籍「市民がつくる復興計画」(市民とNGOの「防災」国際フォーラム実行委員会編/神戸新聞総合出版センター/1000円/1998年7月17日発行)に書かれていますので、興味のございます方は、お読みになられたらと思います。

 午後は10の分科会に分かれて行われました。一通り挙げますと「災害と市民活動」「協働型まちづくりの主体とシステム」「水と緑−里山をいかす」「よみがえれ農山村」「中心市街地の活性化を考える」「人にやさしいまちづくり」「多文化共生のまち」「こどもたちとまちづくり」「歴史や文化を生かしたまちづくり」「地域メディアでまちをつなごう」の各テーマで行われました。私は先ほども述べましたが、「中心市街地の活性化を考える」の分科会に参加しました。
 中心市街地の活性化を考えるの分科会は、三重県上野市を拠点に活動されているまちづくりNPO「ウィリアム・テルズ・アップル」代表の中村伊英氏、静岡を拠点に活動されている地域まちづくり研究所代表取締役の伊藤光造氏、愛知県西尾市を拠点に活動されている西三河南部経済開発懇話会理事・事務局長の伊藤則男氏、名古屋女子文化短期大学助教授の水尾衣里氏を交え、日本不動産研究所コンサルタント部上席主幹の飯田英明氏のコーディネーターによって行われました。
 討論の中で印象に残った言葉を少し挙げてますと「これからは商店街自身がディベロッパー機能がないとやっていけないだろう」「これから定着人口は減っていくので、交流人口を増やしていく必要がある」「NPOを立ち上げたのは、生活圏をじっくり考えてみようと思ったのが趣旨」「商店街(中心市街地)は日本の都市の文化だ!」「伝統・文化を伝えるところとして商店街をつかう」などです。
 また、伊藤則男氏が紹介された城下町という歴史・文化を生かした西尾市のまちづくりは、私が住んでいる隣の市ということもあり興味深く聞かせて頂きました。西尾界隈は独自の文化・歴史、商圏をもっており、良い意味で大型店も乱立してないため変に荒されてなく、21世紀に向け可能性を秘めた地域と言えます。それだけに今までにない発想のまちづくりを全国へ発信していって欲しいものです。西尾には度々行っていますが、一度じっくりと西尾市内を巡ってみたいと思った次第です。

 今回の会場となった名古屋市公会堂は鶴舞公園内にあり、昼休鶴舞公園イメージみを利用して公園内をぐるっと歩いてきました。ここ鶴舞公園は、桜の名所として有名であり、春には花見の客で昼夜盛り上がります。鶴舞公園は、緑も多く広々としており、静かであり都心のオアシスといった感じです。
 この日は、天気がいいこともあり、公園内は家族連れやカップルでにぎわっていました。紅葉を見にのんびり散策されたり、写真を撮られている姿が見られました。下の写真は、公園内にある竜ケ池を撮ったもので、水面に映った木々、雲などが何とものどかな風景を醸し出していました。

 NPO法(特定非営利活動促進法)が1998年3月25日に公布され、1998年12月1日から施行されます。いよいよ日本においても、“市民活動”が実践の時代に入り、法人格を持ち事業活動や公共活動に取り組んでゆくことができるようになります。
 今回のフォーラムは、NPO、NGOなどの団体に所属している市民の方々と行政の方々が多く参加されていました。今回いろいろとお話しを伺っていて、一番感じたのが、NPO、NGOなどの団体としては、行政の支援があってもなくてもやっていくという頑なまでの強い姿勢、行政サイドは支援をしたいがどう支援をしたらいいか迷っているというか模索しているという構図が感じられました。現段階では、両者が歩み寄るには、目に見えない壁がいくつもあるように感じられました。
 NPO法が施行されることにより、法人格を持てば行政としても責任所在がはっきりするということもあり、やりやすくはなりますが、やはり両者がスムーズに協力体制を組んでやっていけるかどうかというところは、ソフト的な人と人との相互理解にかかっています。
 今回のフォーラムは、行政の方が壇上にあがるという機会はありませんでしたが、今後、「自分たちの“まち”は自分たちでよくしていこう」という市民活動がより活発になっていくことが予想されるだけに、両者の相互理解を深めるための議論の場は必要となってくることでしょう。また、その両者のつなぎ役、調整をする人の役割もより重要になってくると思われます。

By Nagura

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