“第2回「あきない」街づくり企画塾”と
“21世紀の街づくり”に参加して

記:1998.11.18

 第2回「あきない」街づくり企画塾は、1998年11月12日〜13日に北九州市のステーションホテル小倉で開かれました。第1回目は、5年前の小倉ステーションイメージ平成5年に開かれ、今回北九州市誕生35周年ということもあり第2回目が開かれた次第です。
 内容としては、1日目はアメリカのモール・オブ・アメリカや博多のキャナルシティ博多を手掛けたジョン・ジャーディ氏の基調講演とテーマ「21世紀の価値観が求める商業と街づくり」のパネルディスカッションが行われ、会場いっぱい600名近くの参加者がありました。また、その日の夜には、2日目の参加者と講師を交えてのレセプションもありました。2日目はワークショップ形式で“テーマ観光”“地域密着”“流行回遊”の3つのコース(各コース40名)に分かれて行われました。上の画像は、「あきない」街づくり企画塾が行われた1998年春に新たに開業した小倉駅(9階より上がステーションホテル小倉)を写したものです。

 参加した全体的な感想としては、“まちづくり”を考える良い機会になったことは確かですが、講義がけっこう多かったので、もう少し参加者を含めた講師の方々と討議する時間がとれたら良かったと思いました。今回、2日目のワークショップは地域密着のコースを選択しましたが、3つのコースの中で一番身近で難しい問題ということもあり、方向性はそれぞれの先生方がおしゃっていましたが、具体的なものまでは出てこない状態でした。最後にコーディネーターをされた方が「今回の街づくり企画塾においては具体的な方向性は見つけることができませんでしたが、引き続き取り組んでいくことが必要です」というような趣旨の言葉を述べられたことが印象に残っています。

 今回、街づくり企画塾に参加して、まちづくりには様々な局面があり、これだけ多くの優秀な講師の方々が集まっても、そう簡単には方向性を見い出すというか具体的な手順を示すことの難しさを痛感できた次第です。しかし、同時にこれだけ難しいからこそ、まちづくりというものに取り組んでいこうという闘志は逆に湧いて参りました。2日間にわたってまちづくりに関して、いろいろな話を伺え、また多くの方と意見交換することができ、自分自身のめざすべき事業方向性は間違っていないと実感できたことが一番の収穫ともいえます。

 ここで初日に行われた基調講演をされたジョン・ジャーディ氏の言葉を少し挙げておきます。「都市とはモノではない。都市とは経験である。人々の経験をサポートする体制が必要である。」「建築とは、経験というものをデザインしていくものである」「モノをつくるのではなく、体験をつくる」などの言葉をおっしゃられました。たいへん意味深い言葉であるとともに感覚的な言葉でもありますので、ジョン・ジャーディ氏が本当に意図するところをつかむことは難しいかも知れません。その他で強調されていたのが、「コミュニティ」と「アトラクション」という言葉です。コミュニティは、ふれあいの場とか協同体などの意味で、アトラクションは、感動など人々の感覚を刺激するものという意味合いでおしゃっていました。

 話は変わりますが、1998年11月16日に日経流通セミナー「21世紀の街づくり」が愛知県豊橋市で行われました。会場には約80名の方々がつめか21世紀の街づくりイメージけ、講師2名により2時間半近くにわたって講演が行われました。
 滋賀県長浜市の街づくり会社“黒壁”の笹原司朗専務が「黒壁による長浜中心地活性化のシナリオ」と題し、生活行動研究所の山口貴久男所長が「中心市街地活性化の方向」と題して講演されました。
 笹原氏は、市と有志の経営者らで設立した黒壁による商店街再生の経緯を解説され、「小さなことを素早く実行することが街を変えていく」と強調されました。山口氏は国内外の都市再開発の事例を紹介され、「商店街の自助努力の上に、中心市街地活性化法などの公的支援を上乗せする作業が望ましい」と指摘されました。

 黒壁と言えば、今やまちづくりの成功例として有名になっています。黒壁銀行と呼ばれた黒壁の建物を“黒壁ガラス館”として1号館をオープンさせ、今では30号館まで建てられています。そして、そのまちづくりが実って人口6万人の長浜の街に年間160万人もの人々が訪れています。黒壁をつくっていくに当たっては、“単なるお土産屋にしない”が合言葉になり、“売るシーン”をつくってきたとおしゃていました。また、「実行すれば問題がでてくる、しかし、実行しないと問題は見えない、だからこそできるところから早く実行していく。それをやっていくと10年経つと固まってくる。」ともおしゃていました。実際に試行錯誤しながらやってきた笹原氏だからこそ言える重みにある言葉だと思います。

 長浜は黒壁の活動によって、町に活気も出てきて、かなりの観光客も押し寄せるようになりました。その反面、地域の商業者の中には、単なる観光地になって地元の人々は潤っていないという声も聞かれます。これから、黒壁の活動が活発になっていくのが、観光地と地元商業者の融合というところです。地元住民及び地元商業者を巻き込んだ店舗も出てきており、黒壁は次のステップに着実に進んでいるといえます。観光地として充実してきている黒壁が、地域住民・商業者をも巻き込んだ本来のまちづくりとしての面的な広がりを見せてきており、今後の展開がますます楽しみであるとともに、期待がもてます。

By Nagura

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