“ケッタ”マシーン(自転車)の復権

記:1998.8.23

 最近、新聞を読んでいますと、自転車に関する話題がよく目につきます。環境問題がいろいろと叫ばれている中、健康にもいいですし、環境にやさしいことが今の時代に見直されているケッタイメージのでしょう。
 私の周りというかこの地域では、自転車のことを“ケッタ”と呼んでいますが、果たしてこの“ケッタ”と言う言葉はどの辺りまで通じるのでしょうか?

 私自身振り返ってみますと、学生時代は通学で自転車をよく利用していましたが、社会人になってからは車の利用が多くなり、自転車をあまり利用しなくなってきています。
 自転車と言えば、会社を退社する時に、たまたま自転車屋の息子が社内にいたということもあり、送別品としてリサイクル自転車を2台頂きました。地元とお世話になる事務所の最寄り駅との間で自転車を利用しようと頂いたのですが、仕事が深夜に及ぶこともあり(公共機関が利用できないため)、どうしても車の利用が多くなってしまっているのが現状です。しかし、頂いた自転車は大切にしています。

 今、自転車の通行を前提としたまちづくりを茨城県古河市で進めています。環境自治体会議が進める自転車のまちづくりのモデル都市にも選定されており、2〜3年後をめどに自転車専用の道路網や市営の貸自転車制度などインフラ整備を進める計画です。自動車の通行を減らし、二酸化炭素の排出量が少ない環境都市を目指すとともに、道幅の狭い旧市街地の商店街や観光施設の活性化にも役立てていく模様です。古河市は、南北に約8キロ、東西に約3キロと、川沿いに開けた平坦な地形が広がっており、自転車利用に適しています。逆に、長崎のように、坂の多い地域では、自転車は利用しにくく、自転車に乗れない人の割合も高いようです。
 私が住んでいる安城市も、山がなく、平坦な地形(田んぼが多い)が広がっています。まさに自転車都市にもってこいといったところです。安城青年会議所では自転車を生かしたまちづくりとして、「バイコロジーで日本のデンマーク」というキャッチフレーズ(97年度)を掲げています。「バイコロジー=自転車」をまちづくりに生かして「日本のデンマーク=安城」の復活を夢見ながら環境との共生を図ろうというものです。
 デンマークの首都コペンハーゲンでは、車道の両側に自転車道と歩道があり、街のあちらこちらに自転車ステーションがあるそうです。また、電車の中への乗り入れも可能なようです。日本においては、「世界震災都市会議」で6月に行ってきました福井市が、歩道も広々としており、なお自転車道もけっこう整備してあるところが多かったのが目につきました。1948年に福井震災を受けたこともあり、地方都市の中では広々とした道路整備ができている都市のように思います。

 平坦な地形が広がっていることは、自転車にはやさしいように思われますが、ひとつ厄介なのが風、それも強風です。風をさえぎるものがありませんから、冬などはたまったものではありません。実際、私は、高校時代に片道5キロほどの道のりを自転車で通っていたのですが、冬は行きと帰りで風向きが変わり、運悪く常に向かい風の中、必死にケッタ(自転車)をこいでいったものです。両側に田んぼが広がる中を通っており、ある冬の帰宅時のことですが、数人の友人たちと列をなしてケッタ(自転車)をこいでいたところ、ふと後ろを振り返ると友人が消えていたことがありました。よく見ると、その友人は、強風を受けて、自転車ごと横の田んぼに落ちていたのですが・・・。強風は、自転車にとっては厄介なものですが、そんな強風がなくてはならないのが、安城名産となっている「手打ちそうめん」です。手打ちそうめんにとっては、まさに恵みの“風”といったところです。

 最後に、自転車(電動補助自転車も含む)の活用例、話題を少し紹介します。
 埼玉県の川越市役所では、1998年3月から電動補助自転車を20台導入し、保健婦の家庭訪問(往復約10キロ、週4回)に利用しています。以前は車を利用していたので路上駐車をせざるを得なかったため、近所から苦情があったそうですが、電動補助自転車の導入により訪問先からも好評を得ているそうです。
 商売に自転車を活用している例としては、コンビニエンスストアのエーエム・ピーエムが宅配サービスの利用に東京都内の約80店舗に電動補助自転車を導入しています。また、書類配送などを請け負う「自転車便」も活躍しています。「輪急便」の名前で1987年から日本初の自転車配送を始めた野坂7では、JR山手線内を中心としたエリアで、抜け道を熟知したドライバーが60分以内に配送します。レンタサイクルという面では、表参道を主とした原宿近辺では、ベンツやBMWなどの高級レンタサイクルが人気を集めています。
 また、東京・杉並にある自転車店アローでは、既成品から選ぶのではなく、自転車を作る工程を楽しむことができます。約20点ほどの部品をスパナやレンチで取り付け、完成までには約2〜3時間かかるそうです。手作りということあり、愛着がより一層わくことと思います。何と言っても、作りたての自転車にまたがってそのまま乗って帰れるのが魅力でしょう。

 先日、広告を見てましたら、けっこう自転車の売り出しを全面に出した広告が目に止まりました。ユニーでは、まだ8月(このコラムを書いている時)なのですが、秋のリンリンセール「お気に入りに乗って秋を走ろう」と、カーマホームセンターでは、タウンサイクルフェア「機能いろいろ、ライフスタイルに合わせて選べます」などと大見出しをつけ、一輪車、電動ハイブリッド自転車も混じってさまざまな自転車が載っていました。奉仕品、おすすめ特選品は1万円前後で売られていましたが、値引き後で1万5千円から2万5千円くらいが売れ筋のようです。カーマホームセンターの広告では、防犯・夜間の安全用品などのアクセサリー類も充実しており、パンク修理のやり方まで丁寧に説明してありました。ちなみにパンク修理セット「パンクメイト」は580円で売られていました。

 排ガスなし、渋滞無縁、健康増進の効果も期待できる自転車が復権しつつあることは望ましいことと思います。スロープ付きの歩道橋、自転車道の整備など走行環境の改善を自治体は積極的に推進していくべきでしょう。オランダでは、国挙げて自転車を推進(補助金を支給するなど)していることもあり、国民一人当たりの自転車保有台数が世界一の1.1台となっています。
 昔(中学校の頃)、浜名湖まで往復100キロ近くの距離をサイクリングしたことが今回いろいろ考えていてふと思い出されました。改めて、自転車を身近な存在として復活させてみようという気になりました。
 そろそろ秋の風も感じられる過ごしやすい季節をむかえます。皆様方も秋風をきる感覚が心地よいサイクリングに出かけてみられてはいかがでしょうか。

By Nagura

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