講演「まちの活性化と商業ルネサンス」を聞いて

記:1998.6.15

 1998年6月12日に愛知県岡崎商工会議所の大ホールで行われました「まちの活性化と流通ルネサンス」の講演をセミナーイメージ聞いて参りました。この講演は、日本経済新聞社主催、岡崎商工会議所後援による無料のセミナーです。会場には、150名近くの人で溢れかえっており、ほとんどの人がスーツ姿の男性で、女性の方は数えるほどでした。
 講演は2名の方がそれぞれ1時間ずつ話されました。サンクスアンドアソシエイツ社長の橘高隆哉氏が「流通激変期の商業生き残り策」という題目で、商業ソフトクリエイション代表取締役専務の小原耕治氏が「ポスト大店法下の中心市街地商業の活性化」という題目で話されました。橘高氏は、最近一休みしてますが、神田川弁当が爆発的ヒットとなったコンビニエンスストアのサンクスの経営者です。小原氏は、ジャスコ取締役開発企画本部長、イオン興産専務、下田タウン社長を経て現在に至っており、ショッピングセンター畑一筋でやって来られた方です。

 講演全体を通した感想は、なかなか素晴しく満足のいくものでした。現状の情勢はどうなっているのか、そして今後の展開(行方)における取り組み姿勢というものを聞くことができました。それに対して具体的にどう取り組むのかという点までは話は及びませんでしたが、まあそれは個々が、その場その場に合ったやり方を模索していくことと思います。姿勢、価値観、倫理感、哲学、意思などの考え方となるベース(基礎)がしっかりしていなければ、その上に物事を組み立てていくことは容易ではありませんから・・・。今回は無料でしたが、お金を払って聞いたとしても、払うだけの価値は十分にある講演でした。

 橘高氏からは、サンクスとしての経営の在り方というか橘高氏個人としての姿勢も伺え、なかなか迫力ある講演でした。サンクスとしての生き残りそのものが、題目の「流通激変期の商業生き残り策」へとつながっていったわけです。そして、最近大きく問題として取り上げらているコンビニのフランチャイズの加盟店とのトラブルの問題についても、サンクスとしての取り組み方、考え方について講演の終わりに10分ほど話されました。サンクスの場合は、撤退する場合の責任は、加盟店だけでなく本部にもあるという強い信念で取り組んでおり、過去3年間に約100店閉じたそうですが、実際に違約金を取ったのは9件とのことです。逆に払ったケースも11件あったそうです。他のコンビニ各社からは、サンクスは軟弱だと言われているそうですが、それに対して橘高氏は、大きなお世話だと反論しているとのことです。コンビニ業界第6位のサンクスですが、サンクスと仲間たちという「サンクスアンドアソシエイツ」という社名が示すように、独自の経営理念というか生き方が強く感じられました。
 小原氏は、50年代から90年代にかけてのアメリカにおける事例などを通して、中心市街地の活性化について話されました。そして来月施行される中心市街地活性化法の目玉ともなる街づくりを運営・管理するタウンマネジメントの考え方についても詳しく話されました。

 以下に少し各氏の話された内容で印象に残ったポイントを列挙しておきます。
 橘高氏は、「量をおいかけてはいけない、質をおいかける中身を追及する時代」「ものを追及する時代は終わったこれからはサービスを追及する時代」の2点を強く説かれ、多店舗化や大型化を追及してきた大型チェーンにおいては固定費が利益を圧迫しており、逆に中小小売店にこそチャンスが訪れているとも語られました。
 小原氏は、「中心市街地の空洞化は、今まで中心市街地について考えてこなかったのが一番の問題」「中心市街地の活性化は単に商店や商店街の問題ではなく、総合的な街づくりの問題」と述べられた上で、中心市街地活性化のためには、緻密な企画力、実行力に加え、何のために、誰のためにやるのかということを明確にしてやっていかなければダメだと強く言われました。また、最後に今、新しい波が起こっているとも付け加えられました。

 今回の両氏の講演を通して、これからの激変する流通業界、まちの活性化に向けての姿勢というかキーポイントを伺うことができました。これからより経営者としての姿勢、会社としての経営理念が問われ、それをいかに従業員及びパートの方々に伝えていく(肌で感じてもらう)かが重要となってきます。
 アメリカにおいても、経営者としての姿勢、会社としての経営理念がしっかりしているホームデポ(ホームセンター)、ノードストローム(専門百貨店)、スチューレオナード(食品スーパー)などはお客さんの心をしっかりつかんでおり収益も伸ばしています。
 日本の企業が本来得意だった泥臭いようなアットホーム的な雰囲気というのは、いまやアメリカ企業の方が多く取り入れているように感じられます。今、国際化、グローバル化と騒がれていますが、すべてを否定するのではなく、いい部分は残して伸ばし、不透明な部分は改善してよりよい方向へ持っていって欲しいものです。日本経済にしても、日本企業にしても活力の復活へのキーワードは、「姿勢」と「自信」ではないでしょうか。

 また、街づくり関連3法(大店立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法)につきましては、コラム「地方自治体の力が問われる時代へ(1998.6.7)」で触れていますので、合わせてご覧いただければと思います。

By Nagura

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