地方自治体の力が問われる時代へ

記:1998.6.7

 中心市街地活性化法が、来月(1998年7月)にも施行されます。そして11月(1998年11月)には、商店街イメージ改正都市計画法が施行され、2000年4月には、現在の大規模小売店舗法(大店法)に変わって、大規模小売店舗立地法(大店立地法)が施行されます。規制緩和の流れを受け、これから21世紀に向けて街づくり関連のこの3つの法律が目白押しに施行されていきます。
 個々の法律のおおまかな内容はのちほど述べますが、この3つの法律が施行されることにより、より地方自治体の役割、権限の範囲が広がるとともに重要視され、より地域に密着した地域性を生かした街づくりへの取り組みが行えるようになります。しかし、その反面、地方自治体の政策立案能力が問われることになり、政策如何によっては、活性化が図られるどころか逆に衰退していく都市(地方自治体)も出てくることが予想されます。現在の画一的な政策ではなく、地方の独自色の出せる時代になっていく反面、地域間格差も心配されているわけです。
 これからこのような時代を迎えるにあたって、地方自治体はより開かれた存在になっていくことが生き残りのキーワードとなってきます。人も企業・商業も開かれたところに集まり、新規産業も開かれたところから生まれてきます。そして、すべて自分たちで行うというのではなく、外部からの知恵を取り入れて生かしていくことが重要となってきます。具体的には、住民、NGO、NPO組織等の街づくり団体、各種研究機関などの意見を取り入れ、連携した取り組みが魅力ある街づくりへのと推進力となっていくと思われます。また、住民サイドも自分の街は、自分たちでつくっていこう、守っていこうという気持ちが強くなってきており、街づくりへの気運は高まってきています。

 最近、新聞、週刊誌、月刊誌などの雑誌上でも自治体関係の記事が目につくようになったと感じられていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。雑誌の見出しには「危ない自治体ランキング」とか「あなたのまちも倒産寸前だ」などと言う過激な言葉が踊っています。
 また、ご覧になられた方もあると思いますが今朝(1998.6.7付)の日経新聞には、「自治体シミュレーション」と題して一面を使って特集記事が載っていました。自治体の財政指標を表わす経常収支比率のワースト10市、ベスト10市のデータに加え、200X年のX市のシミュレーションなど記載されていました。経常収支比率は、この比率が100%を超えると人件費、公債費などの経常収支を一般財源では賄えないことを表わしています。ちなみに私の住んでいる愛知県安城市は、ベスト10市に入っており、現状の財政状態はなかなかいいようです。また、近隣の豊田市、刈谷市も好位置に入っており、豊田、刈谷、安城はトヨタグループ企業が集中していることもあり、かなり恩恵を受けているといった状況です。逆にかなりの高い比率を自動車産業に頼りきっているという危ない状況も反面にはありますが・・・。

 先月末には、地方分権推進計画も閣議決定され、これに沿って地方自治法などが来年の通常国会で改正され、地方分権計画は2000年から順次実施されていく運びとなっています。時代は自立への流れに確実に動き出しており、自治体の自己責任はより大きくなっていきますが、それだけ地域にあった効果的な手だても打てるわけです。
 「自立」ということで考えていきますと、何も自治体だけでなく、個人個人に対しても今後より求められてきます。規制緩和により選択の範囲は広がりますが、いろいろな場面で「自己責任」の上に進めていかなければいけないことがでてきます。金融商品ひとつ取っても、自由化により様々な商品が出てきており、よりよいものを選択しようとすると、それなりの知識、勉強が必要となってきています。

 ここで、文頭に述べました街づくり関連3法のおおまかな内容を説明しておきます。
 中心市街地活性化法は、大型店の郊外進出などで空洞化が進む中心市街地を活性化させようというものです。大きな特徴は、自然発生的に形成されてきた市街地空間を、計画的に進めていくタウンマネジメント機関を設置して、面的に総合的整備を図ろうとしている点です。実施するに当たっては、市町村などの地方自治体のイニシアティブが大きく取られるとともに、通産省、建設省、自治省など11省庁の連携も図られています。現段階(1998.6.5時点)で中心市街地活性化法には、早くも130の市町村が名乗りをあげています。
 都市計画法の大きな改正点は、特別用途地区の種類・目的を市町村が独自に地域性にあったように柔軟に定められるようになることです。これにより、大型店の出店を規制して、中小小売店舗地区を設けたりすることができるようになります。しかし、現在の段階では市街地調整区域は対象外なので、実際に規制可能なのは国土の5%程度にとどまる模様です。
 大規模小売店舗立地法(大店立地法)は、店舗面積、閉店時間、開店時間、休業日数等を審査内容にしている現状の大規模小売店舗法(大店法)に変わり、交通渋滞、ごみ処理、騒音などの環境問題を審査内容としたものです。それに審査主体が市町村レベルとなります。また、大店法廃止に関しましては、コラム「大店法廃止後の21世紀に向けての商業環境を考える(1997.12.2)」でも触れていますのでよろしければご参照下さい。

 最後に商店街について少し考えてみますと、高齢者の方にとっては、昔から利用して慣れ親しんできたところであり、私のような30代にとっては、子供の頃遊んだ場所で懐かしくもあり、共に思い入れのある場所と思います。しかし、今の10代、20代にとっては、郊外の大型スーパーも昔ながらの商店街も物心ついた頃からあり、どちらも同じ土俵で見ることができ、既成概念にとらわれることなく自分にとって楽しい方、わくわくする方を遊び場(買い物の場)として利用しています。
 今、多くの商店街が空き店舗等で苦しんでいますが、活性化への一番のポイントは、商店者自らが楽しむ姿勢のように感じます。各種イベント、祭などを行ったとしても、主催者自身に活気がなく楽しんでいないようなイベントは、見に来る人もけっして楽しい気分にはなれないのではないでしょうか。
 昔良き時代の商店街を知っている世代は、思い入れもあり何とか活性化させようと必要以上に躍起になっている姿も見受けられます。その熱い思いはそれはそれで必要ですが、別の角度から見るというか一歩引いて見るというバランス感覚も必要となってきます。昔の商店街の繁栄を知らない10代、20代の遊び感覚の意見・行動を取り入れるのも一つの手でしょう。今の若者は、商店街においての何か新しい楽しみ方を生みだしていく力を持っているように感じます。

 現在の日本の置かれている状況を打破し時代を切り開いていくには、自治体にとっても個人にとっても、過去の経験、固定観念、既成概念にとらわれない発想が必要となってきます。
 自由な発想、開かれた心、素直な目をもって、新しい時代を切り開いていきたいものです。

By Nagura

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