セルフガソリンスタンド解禁から1カ月半経って

記:1998.5.17

 給油をドライバー自身が自分で行うセルフのガソリンスタンドが1998年4月1日に解禁されて、1カ月半近くがセルフイメージ経とうとしています。セルフの解禁の影響もあり、ガソリン価格も一段と下がってきています。
 現在までに全国に12カ所のセルフスタンド(1998年5月14日時点)がオープンしています。各元売り会社がセルフの店舗展開の年度計画等を立てていますから、年内にはかなり出揃ってくることと思われます。

 私は、解禁される前の実験段階の今年1月に給油だけは従業員から説明を受けましたが実際にセルフを体験してきました。セルフの給油手順等の詳細はその時の視察レポート「セルフガソリンスタンド実験店(日本・愛知/視察日:1998年1月30日)」に載せてありますのでご参照下さい。
 そして、解禁後初めて、先日(5月8日)実験段階の時にも行った愛知県一宮市の22号線沿いにある大森石油が経営している日石に行って給油してきました。今度は給油も自分で行ったのですが、ノズルを給油口に差し込み、取っ手を手前に引けば給油が始まり、指定した量に達すれば自動的に止まるのでなんら難しいことはありません。そのときは、レギュラーガソリンで81円/Pでした。一宮周辺は、84〜85円/Pですから、3〜4円安いといったところです。1月に行った時は、84年/Pで周辺が88円/Pでしたから、周辺の相場が下がるとともに下げてきているようです。
 今のところ3〜4円安いといったところですから、わざわざセルフのスタンドまで行こうとはなかなか思いませんが、いつも通る道沿いにあったり、旅行中などで途中にあれば利用するとは思います。皆さんが思っている以上に実に簡単です。車から降りるという煩わしささえ除けば、時間的にも通常のスタンドと変わりないと思います。

 今回行った22号線沿いのセルフスタンドは、解禁直後の4月1日から開業しており、テレビ、新聞等の宣伝効果もあり、1日300台を上回るほど人が訪れ、かなりの人気を集めているようです。利用者も、若い人が多いようです。そして、ここの場合は、オイルショップが併設されており、オイルショップのスタッフがオイル交換や接客にあたりながら、セルフ給油の客へも目配りを行い、人件費を抑える工夫をしています。
 今は、まだユーザーが慣れていないこともあり、従来のスタンドと変わらないくらいスタッフがおり、セルフ新設に2000〜3000万円ほど投資していることもあり、採算どうのこうのというよりも、各社実験段階といったところでしょう。

 商店街の中にある魚屋のおやじ、北海道などの市場で働く人々とかガソリンスタンドの従業員というのは、働く姿に威勢のよさ、元気のよさというのを感じますが、ガソリンスタンドの場合、セルフになってしまうと、支払いの時だけレジに行くだけなのでコンビニとなんら変わりません。その辺りは、何か寂しいような感じもします。セルフの従業員自身も、何か手持ちぶさたのような感じが見受けられます。いままでは、給油、窓拭き、灰皿等のごみ出しなど忙しく動き回っていただけに、そのギャップは大きいようです。新たな動機づけ(モチベーション)が必要なのでしょう。セルフの解禁は、ドライバーサイドの意識改革だけでなく、そこで働く従業員サイドの意識改革も求められているようです。

 4月末に岡山に出張に行ってきましたが、その時に見たレギュラーのガソリン価格は78円/Pでした。岡山は、全国の最安値ということで新聞紙上に載っていましたが、実際に見て驚きました。1年前に比べ30円以上下がったそうです。今は更に安くなっているかも知れませんが・・・。
 日本におけるガソリンがアメリカ等海外に比べ高いのは、ガソリン税が53.8円/Pかかっていることにあります。なおかつ、消費税の5%も取られますから、二重課税ではないかという議論もなされています。5月15日付けの日経新聞紙上のガソリンのローリー物油槽所渡しが72.0〜72.5円となっています。それプラス物流費もかかりますから、店頭で80円/P台で売ったとしても、数円の粗利益しか出ないことになります。その中から、人件費、設備費等出していくわけですから、赤字もいいとこと思われます。国道1号線の豊明(愛知県)辺りでは、76円/Pの看板が出ていましたから、余程ガソリンの赤字を埋めるだけの収入がなければやっていけないと思います。

 今まさに、利益を無視した生き残りのための販売競争が続いています。本来、ガソリンスタンドは、ガソリンで儲けるのが本来の姿であるはずなのに、今やガソリン以外の洗車、オイル、点検などのメンテナンスの収益で儲け、ガソリンは単なるサービス品となってきている様相を見せています。そしてそれについていけないスタンドは、淘汰されてきており、体力勝負となってきています。
 多くのスタンドが、元売り会社、親会社の援助がなければ、経営が難しい状態です。しかし、今まで業界で普通だった事後調整金も元売り会社の経営悪化から難しくなっています。元売り会社が、系列ガソリンスタンドの選別に入っています。
 この1年で約2,000カ所のガソリンスタンドが店を閉めています。また、三菱石油では、今後2〜3年の間に全体の約4分の1に当たる1,200カ所のガソリンスタンドを閉鎖する計画を打ち出しています。

 デフレ懸念が心配されている日本経済ですが、赤字覚悟で売っているガソリンはまさにデフレ循環に入っているように思います。これから石油業界の再編が進み、物流等のより効率化が行われ、適正なガソリンスタンド数に淘汰され、適正価格に落ち着いていくことと思います。むやみやたらにガソリンスタンドを増やしてきた時代は終わりました。赤字覚悟でやっていくのは、自らの体力を弱めていくだけです。早いところ、適正価格に落ち着いて欲しいものです。

 アメリカではセルフスタンドが普通となっていますが、果たして日本で根付くかどうかはこれからといったところです。コンビニも最初は、日本では根付かないといわれていましたが、今や老若男女問わずあたりまえのようにコンビニを利用しています。逆に増えすぎて目標売り上げに届かず、訴訟問題となっているほどです。セルフスタンドも数年後には、あたりまえになっているかも知れません。

 皆様方の近くにセルフのスタンドがあれば、一度試されてみてはいかがでしょうか。価格はさておき、手軽さは実感できることと思います。

 また、1997年10月21日付けのコラム「ガソリンスタンド業界の今」も併せてお読み下さると背景がよりいっそうご理解いただけると思います。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ