流動化し始めた土地、店舗の活用・展開

記:1998.4.13

 先月、土地の公示価格が発表されました。商業地、住宅地ともにおおむねまだ下落傾向にありますが、ツインタワーイメージ一部では値上がりに転じた所も見られました。流れとしては、まだ若干の下げはありそうですが、底が見えてきたというところではないでしょうか。そして顕著な傾向として、土地の二極化が表面に現われてきています。特に、関東圏における外資系などの進出が相次いでいる地区では、値を上げています。これから、ますます立地条件による土地価格の格差は広がっていくと思われます。まあ、適正な価格に近づいていくというか落ち着いていくということでしょうが・・・。

 そして、なかなか動かなかった土地が動き出そうとしています。私権が強く、込み入った権利関係が絡んでいる日本の土地事情のなかで、土地の有効活用が図られていくことはいい方向と思います。バブル期に安易に土地を担保に融資を行ってきた銀行などの金融機関がかかえている不良債権も一部では売却が決まり、再開発に動きだしているところも出てきています。
 また、世界中で投資先を探している欧米の投資家が今、日本の土地に目をつけています。その動きを反映して昨年(1997年)12月には、東京三菱銀行が、アメリカの大手証券会社のゴールドマン・サックスに不良債権を一括売却しています。
 その他では、不動産の証券化という考え方もでてきています。現在の日本の税制、法律、売買市場では無理ですが、アメリカにおいてはここ数年注目を集めています。アメリカにおける不動産投資信託(リート=REIT)は、個人などの投資家からカネを集めて不動産を買い上げ、その賃貸利益を投資家への配当に回すという証券です。多くは株式市場に公開されており、気軽に売買できることが人気を集めているようです。
 日本でも今月4月1日から、外為法の改正を皮切りに日本版ビッグバンが始まり、いよいよ資産運用もバラエティー豊富な時代を迎えつつあります。それに伴い個人のリスクも増え、よりいっそう個人個人の金融に関する知識が必要となってきています。個々人から資金を集めプロが運用する「投資信託」という言葉も頻繁に聞かれるようになり、FPと呼ばれる金融のアドバイザー(プロ)の「ファイナンシャル・プランナー」も脚光を浴びてきています。
 新聞、テレビ、書籍などから金融関係の知識を身につけていくとともに、実際にいろいろなところに少しずつ分散投資をしながら勉強も兼ね初めていくのも手でしょう。日本において投資信託などがブームになるには、その投資先を評価する機関、会社などの体制も整い、情報が常に開示されている状態になることが必要でしょう。

 不動産(土地)については、以上見てきましたように流動化し始めてきていますが、商店街における空き店舗、街中における金融機関などの閉鎖店舗、郊外などの幹線道路に乱立するガソリンスタンドの閉鎖スタンドなどの店舗の活用・展開の動きはどうなっているのかを次に見ていきます。
 商店街における状況は、先月新聞紙上で発表されました97年の商業統計(速報)においても、商店数の減少(それも特に零細店の減少が目立つ)、コンビニ、大型店などの伸びが見られるなど商店街にとって厳しいデータが出ています。このような現状の中、今多くの商店街で空き店舗対策が進められています。チャレンジショップやフリーマーケットなどに空き店舗を活用したりするなど商店街の商店主だけでなく自治体サイドも補助金を出すなど一体となった取り組みが行われています。
 栃木県の足利市では地域福祉主導型の思い切った空き店舗対策が行われ、空き店舗を福祉施設「ひまわりの家」に改装しています。医療、年金などの相談をはじめ、高齢者の意見を取り入れた商品開発にも一役かっています。
 栃木市では文化型の空き店舗活用が進められ、空き店舗を地元出身の文豪「山本有三記念館」として改装しています。改装後には、商店街の通行量が4割以上増えたそうです。
 従来の「商店誘致型」一辺倒から福祉、文化、観光など様々な側面から街の活性化が図られるようになってきたことは、これからの街づくりの展望に希望が持てます。また、山本有三氏といえば、昔子供の頃読んだ「路傍の石」が懐かしくよみがえってきました。

 都心部などの街中に目を向けてみますと、銀行や証券会社などのリストラによる統廃合で閉鎖した店舗に、スーパーや専門店、外食店などが続々進出しています。金融機関の店舗は目抜き通りに面した都心の一等地が多く、小売業にとって新たなビジネスチャンスのようです。ビジネス用品のコンビニエンスストアのキンコーズやファミリーレストランのジョナサンなど都心の金融機関の閉鎖店舗跡を利用して進出しています。ダイエーも来月(5月)に富士銀行の旧碑文谷支店跡に、ダイエー碑文谷店からスポーツ部門のみ移しスポーツ専門店をオープンする計画です。これは既存のダイエー碑文谷店との相乗効果を狙った戦略のようです。

 郊外などの幹線道路に目を向けますと、最近閉鎖したガソリンスタンドが目につくようになったと感じられていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。私がよく通っている国道1号線(名古屋市緑区付近)沿いでもガソリンスタンドが閉鎖してその跡にコンビニとレンタルショップが隣併する店舗がオープンしています。今月からセルフ給油も解禁され、ガソリンスタンド業界にさらに拍車をかけ、厳しい淘汰の時代をむかえています。現在日本全国に、6万店近くのガソリンスタンドがあり、その内、約8割が赤字経営と言われています。今後、ガソリンスタンドの淘汰がいっそう進み、その跡地に新たなビジネス展開を狙って様々な事業者が続々と出てきそうです。
 ガソリンスタンドは、多くが幹線道路沿いの恵まれた立地環境にあり、都心の金融機関の閉鎖店舗跡と同様に新たなビジネスチャンスに期待が持てます。また、ガソリン業界については、1997年10月21日付けのコラム「ガソリンスタンド業界の今」も併せてお読み下さると背景がよりいっそうご理解いただけると思います。

 都心部などの街中、商店街、幹線道路沿いのロードサイドなど、新たな活性化策、ビジネスチャンスを求めて動き出しています。そして不良債権として長い間動かなかった土地も流動化し始めてきています。今の状況を自動車に例えますと、暖気運転も完了し、いよいよ走り出そうという時でしょう。また自然界に例えれば、雪解けの時期も過ぎ、春を迎えつつあるといったところでしょうか。
 相変わらず日本の景気は低迷を続けておりますが、何を始めるにしても景気がよくなってから動き出していては、手遅れです。景気がよくなった時にピークにもっていくためには、今まさに、始動する時でしょう。

By Nagura

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