中心市街地/商店街の再生化セミナーを受けて

記:1998.3.6

 「'98JAPAN SHOP」の展示会を見るのに併せ、同時にセミナー「中心市街地/商店街の再生セミナーイメージ化セミナー」(3月4日13:25〜17:00)を受けてきました。基調講演として、マーケティング・ディベロップメント社長のスタン・アイシュルバウム氏によるラスベガス、ドバイなどを例にとった中心市街地の活性化に続いて、ジャーディー・パートナーシップ社長のエディー・S・Y・ウォン氏、トライザックハーン・アジア・パシフィック(株)副社長のジム・ボウエン氏、(株)北山創造研究所代表取締役の北山孝雄氏を交え、パネルディスカッションが行われました。
 サンストリートキャナルシティ、パークメドウズ(デンバー)、ホートンプラザ(サンジエゴ)、ラスベガスフリーモントストリートなどの事例を基に、実際に開発に携わった方々による中心市街地/商店街の再生化に焦点を当てた内容でした。

 セミナーを受けた全体の感想としては、セミナーのタイトルは「中心市街地/商店街の再生化セミナー」となっていますが、市街地再生化に片寄っており、商店街の再生化については、焦点が絞り込めずぼやっーとした内容でした。市街地の活性化なくしては、その中に存在している商店街の活性化には繋がっていかないという面もありますが、商店街の再生化というか活性化についてはそれだけ難しく、現状では簡単には答えを導き出せないということでしょう。
 パネリストを見ても、北山氏以外は、アメリカのデベロッパー(開発業者)です。福岡のキャナルシティを手がけたジャーディー・パートナーシップ、国内では大型商業施設のキャナルシティもアメリカにおける数多くの事例を見ていくと小さく見えてきます。今回のデベロッパーサイドからの意見を聞いていると、大から小(上から下)を見ているという感じを強く受けました。特に商店街への再生化へのアドバイスをお願いしますと聞かれた時、「規制を緩和して私たちが活動しやすいようにして欲しい。ショッピングセンターを歓迎して欲しい」などという意見がデベロッパーサイドから出されたことです。この受け答えには、質問の意図を把握できていなかったのか、それとも私たちに任せてもらえれば再生化できると言いたかったのか疑問は残るところです。通訳が入るパネルディスカッションというのは、言葉からの細かいニュアンスがなかなか伝わらなく、理解するのに難しい面もあります。私自身が英語でしゃべっている内容をそのまま理解できればいいのですが、通訳を通しての言葉を聞いているので、今回はどうもストレートに伝わってこなかったように感じました。
 その他アメリカのデベロッパーにはオンタリオ・ミルズを開発・運営しているウエスタン・デベロップメント、モール・オブ・アメリカの開発に関わったIMI,コール、トラメルクロウ、キムコリアリティ、ベンダーソン・デベロップメント、RDマネジメントなどあり、すでに日本法人を設立しているところもあります。
 アメリカのショッピングセンターは既に4万箇所以上あり、ショッピングセンターの開発市場が成熟してきて新規開発の余地が少なくなってきています。特に大型のスーパーリージョナル型の新規開発の伸びの増加率が減少している背景には、開発適地、商圏が少なくなっていることが伺えます。
 今回、アメリカのデベロッパーサイドの意見を聞いていると、アメリカ市場も成熟化してきたため、何とか日本で仕事をとっていきたいという気持ちが前面に表われすぎていたようにも感じました。

 今回、パネルディスカッションを聞いていて一番共感を持てたのが、(株)北山創造研究所代表取締役の北山孝雄氏でした。北山氏は、生活者の視点で街づくりを考えるプロデューサーとして活躍している方で、昨年11月にオープンしたサンストリートを初め、渋谷オン・エア、函館西波止場、徳島市東船場ボードウォーク、青森モヤヒルズ・スキー場などを手がけています。
 サンストリートを作るにあたっては、北山氏は、「広場と道」を作りたかったと言っています。まず広場と道をつくり、その後に店舗を張り付けていくという「広場と道ありき」という発想でやっていったと言います。0歳から100歳以上までの老若男女が、集い、語らい、楽しい時間を共有できる場をつくりたかったといいます。また、亀戸のすぐとなり(電車で1区間)の錦糸町にはそごうを初め大型店がひしめいているので、最初は亀戸に商業施設を建てても成り立たないのではないかという反対意見がかなりあったそうです。
 商店街への再生化については、まずリーダーが必要、大きな視点からの発想と小さな視点からの発想のバランスが必要などと述べ、一人ずつが知恵を引き出していけば、街は戻ってくると締めくくっています。

 今回、このセミナーの受講者は、ざっと見たところ、200名近くはいたように思います。デベロッパーサイドの意見には、若干いちゃもんをつけてしまいましたが、事例そのものは、素晴しいものばかりでした。事例を聞いていて、機会があれば是非行きたいと思ったのがデンバーにあるパークメドウズです。地域特性、地域住民の声を反映した施設に出来上がっているようです。
 商店街の再生化、活性化をどうするかという問題は、結局答えを待っていても来ないというのが答えのような感じがします。商業者を初め、それに携わるひとりひとりが、知恵を出しあって発想の転換を図っていかなければいけないでしょう。アメリカにおける事例、日本におけるサンストリートなどの新しい視点からの取り組みなどをしっかり把握した上で、各地域にあった取り組みへと落とし込んでいくことが必要です。

By Nagura

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