一倉定氏から学ぶ「お客様訪問」とは

記:1998.2.2

 コンサルタント歴34年という超ベテランの一倉定氏は、社長だけを対象に情熱的に指導する異色の経営社員イメージコンサルタントとして知られています。実際にお会いしたことはありませんが、書籍を多く読まさせていただいております。たいへん読みやすくわかりやすい文章で書かれています。そして、その中には数々の「コツ」というか経営の極意がちりばめられています。
 昨年(1997年)9月に出版された一倉定氏著の「経営の思いがけないコツ」は、彼の著書の社長学シリーズの集大成ともいえるものです。社長学シリーズ全9巻のエキスがつまっています。この本が、なかなか手に入れることができず、8版目にあたる今年1月半ばにやっと手にいれることができ、最近読み終えたばかりです。
 ここで少し社長学シリーズについて紹介しておきます。「第1巻 経営戦略」「第2巻 経営計画・資金運用」「第3巻 販売戦略・市場戦略」「第4巻 新事業・新商品開発」「第5巻 増収増益戦略」「第6巻 内部体制の確立」「第7巻 社長の条件」「第8巻 市場戦略・市場戦争」「第9巻 新・社長の姿勢」の全9巻からなっています。私は、すべて読まさせていただきましたが、1冊ごと完結していますので、各企業の社長さんなり経営者の方が必要なところから順次読み進んでいくことができます。
 事業規模の大小を問わず、社長、経営者の方々には、必見の書といえます。是非、一度お読みになられることをお勧めいたします。価格は、すべて1冊9,800円(税別)とやや高いですが、価格分の価値は十分にあります。

 一倉定氏が、口を酸っぱくするほど、再三述べているのが、「社長自らのお客様訪問」です。「社長自らのお客様訪問のないところに、本当の意味の事業の発展はない」と断言しており、お客様を大切にする、お客様から学ばせていただくという姿勢が貫かれています。もちろん、ABC分析表、バランスシート、年計グラフ、経営計画書などのツールについては述べられていますが、ここでは、姿勢というか環境整備というか土台、基礎とも言える「お客様訪問」に視点を当てて見ていきます。

 著者がお客様訪問をする社長の対局として使っている言葉が「穴熊社長」です。この穴熊社長とは、社内、社長室に閉じこもって内部管理ばかりにのめりこんでいるような社長のことを指しています。著者は、穴熊社長に対し「会社の仕事がよくできているかいないかは、結局は、お客様へのサービスがよく行われているかどうかということですから、それはお客様のところへ行けば一番よく分かる」と叱りつけています。
 また、著者の考え方を端的に表現している言葉を拾いますと「お客様訪問の目的は売込みではない。お客様との間の良好な人間関係を築くことにある」となります。これだけ聞くと、そんなの当り前じゃないかとか事業はそんなきれいごとだけではないと反発される方もいらっしゃるかも知れませんが、お客様との間に良好な人間関係が築かれていれば、トラブルの時、事業に行き詰まってしまった時、社内にイエスマンしかいない場合など大きな支え、助けになるとともに、拡大解釈すると事業の成否にもかかわってきます。社長の真の定位置は社長室ではなく「お客様のところ」ということでしょう。
 ここで、少し補足をしておきます。連続性のある話の中において、一部の話部分とかある言葉だけを聞くと誤解を招く場合があるように、今回、書籍の中からある部分を取り出して説明しておりますので、伝わらない部分も多々あることと思います。その辺りは、ご了承下さい。実際、書籍を読まれるとわかりますが、多くの事例がいろいろな角度から載っており、納得いただけることと思います。

 「お客様訪問」によりお客様と良好な人間関係を築くことが大切だということは、多くの方が頭の中では理解・納得されていることと思います。しかし、実際に「お客様訪問」を実行されている社長、経営者の皆さんはどれだけいるのでしょうか。頭の中で分かっていることと出来る(実行する)ことは、まったく違うということをしっかり認識する必要があるでしょう。
 それと、「お客様訪問」を通してお客様を大切にする(学ばせていただく)という社長、経営者の姿勢が、社員、従業員にも伝わっていきます。いくら言葉で「あれやれ、これやれ」と言ったところで、なかなか伝わらなかったのが、社長、経営者が自ら率先してやることによりすんなり伝わったという経験をお持ちの方も多いことと思います。また、独身の私がいうのも何ですが「子供は親の背中を見て育つ」といいます。ガミガミ言ってもなかなか言うことを聞かない場合は、自分自身を顧みるのも一つの手でしょう。

 世の中、不況不況と騒がれていますが、消費者の支持を集めているところも多くあります。消費者の支持を集めているお店は、お客様から学ぼうという姿勢が感じられます。消費者というのは、経営者が考えている以上に、お店の雰囲気等から敏感に感じとっているものです。また、インターネット上のショップを見ても、同じようなことが言えます。インターネット上ですと、実際の店舗と違い相手の顔が見えないからそんなことは関係ないだろうと思われるかも知れませんが、消費者の支持を得ているショップというのは、そのホームページ上から顔が見えるというか心というか人が感じられます。
 不況、不況と騒いでいらっしゃる方は、まず、穴(社内・店内)から外(市場)へ出てお客様の声を聞いてみることでしょう。新しい発見、違った視点が見えてきます。一倉氏も言っている「お客様訪問」でもあるお客様サービスというのは、はっきりいって面倒くさく、能率が悪く、時間がかかるものです。しかし、そこから得られるものは、予想にもしなかったものとなります。
 何事も人がやりたがらないところに突破口があります。「人のゆく裏に道あり花の山」です。あなたの行動なり姿勢を消費者はしっかり見ています。

 最後になりましたが、社長ならびに経営者の皆様方のさらなる飛躍を心よりお祈り申し上げます。

By Nagura

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