地震への備え&緊急地震速報サービスを導入して
(阪神・淡路大震災から14年目を迎えて)

 記:2009.2.2

 6,433人が犠牲となった阪神・淡路大震災から、2009年1月17日で14年目を迎えました。本当に地震はいつや阪神大震災14年ってくるかわかりません。皆さん、地震への備え、心構えは大丈夫でしょうか。

 当方の住んでいる東海エリアは、東海地震がいつ起こってもおかしくない状態にあります。最悪の事態として、東海地震、東南海地震、南海地震が同時に発生するかもしれないという予測もあります。3つの地震がほぼ同時に起これば、関東から東海、関西にかけて、日本の大動脈のエリアが大ダメージを受け、人的被害のみならず、経済的にも大きな影響が出ます。

 最近では、「減災」という言葉が一般的に使われるようになってきたように思います。「減災」という概念は、1995年の阪神・淡路大震災後に生まれてきたもので、一言で言えば、災害時において発生し得る被害を最小化するための取り組みのことです。

 阪神・淡路大震災以前までの防災の概念は、被害を出さないための工夫として検討されてきました。しかし、阪神・淡路大震災以降は、行政や災害研究者を通じて被害の発生を食い止めることの難しさがわかり、そこで、ある程度被害の発生を想定した上で、予防を検討していくことが必要であるという問題意識から「減災」ということが唱えられるようになってきています。

 「減災」への取り組みの基本は、国、公共機関、地方公共団体、事業者、住民等が一体となって最善の対策をとることが重要となってきます。そのためには、日頃から住民ひとりひとりの防災意識を高めるための「防災教育」や地域一体となった「防災まちづくり」などの展開が重要となってきます。そして、被害を受けた場合にも事業の継続が求められる企業の「減災」の取り組みも重要となってきています。特に、電気、ガス、水道などのインフラ部分は被災時も継続性が求められます。企業では、緊急時企業存続計画(BCP)の導入も進んでいます。

 認知度が高まりつつある「緊急地震速報」も地震の被害を最小限に押さえるツールと言えます。当方自身も昨年(2008年)の夏にケーブルテレビ経由で「緊急地震速報サービス」を導入しました。お陰様で、まだ、緊急地震速報が鳴る機会もなく安堵しておりますが、いざという時のためと思って、初期費用と毎月の利用料はかかりますが保険と思って払っています。「緊急地震速報サービス」は、地震の発生の際に「およそ○○秒後に震度○○程度の地震が来ます」ということを警告音とともに、音声で知らせてくれます。緊急地震速報は、○○秒後という猶予時間が短い場合もあり、必ずしも万全なものではありませんが、数秒の違いが命取りになることもあり、ないよりあった方がいいように思います。

 以前のコラムで、緊急地震速報の仕組みを紹介しておりますが、再度、ざっと紐解いておきます。地震が発生すると、速度の速い初期微動(P波:秒速7〜8キロメートル)に続き、大きな揺れをもたらす波(S波:秒速3〜4キロメートル)が伝わってきます。この速度の差を利用し、震源に近い地震計がとらえた初期微動から震源や規模などを推定し、気象庁が速報を出すというものです。

 緊急地震速報は2006年8月から鉄道や建設、研究機関などの特定利用者向けに始まり、一般向けのは、翌年の2007年10月から始まりました。今では、一般家庭でもケーブルテレビ等を通して簡単に設置できるようになってきています。緊急地震速報の認知度は高まってきていますが、地震速報を有効利用している企業は全体の1割にも満たない状況で、政府は2009年4月から普及を後押しする取り組みを進めます。

 政府は緊急地震速報を活用して、地震の被害を最小限に抑える「減災」に取り組む民間事業者への支援制度を2009年4月から始めます。多くの人が出入りする商業施設や、工場などが緊急速報の受信機を設置したり、速報を活用した減災システムを整備したりする場合の費用を対象に税制面で優遇します。

 例えば工場の場合、緊急地震速報を活用すれば生産ラインへの燃料や危険物の供給を揺れが来る前に止められ、大災害を防ぐ効果が期待できます。集客施設でも利用者を危険な場所からあらかじめ避難させることができます。しかし、速報を活用するには専用受信機の設置や、自動的に燃料供給を停止する制御装置など特別の設備が必要になり、その分のコスト負担を敬遠し、普及が進んでいない状況もあります。

 今回の制度では、受信システムを整備した事業者に対し、初年度について設備購入額の20%を通常の減価償却費とは別枠で特別償却できるようにします。さらに、購入してから3年間の固定資産税について課税標準額を通常の3分の2に軽減します。

 次に自治体の住民へ知らせる取り組みを見ますと、2007年2月に運用が始まった緊急地震速報などを伝える総務省消防庁の全国瞬時警報システム「J-ALERT(Jアラート)を導入している地方自治体は2008年12月1日時点で186と全体の1割程度にとどまっています。同庁は、2008年度末までに合計で400団体が、2009年度末までに700団体が整備を終えるとしています。

 Jアラートは、人工衛星を使って緊急地震速報や津波警報・注意報、大規模テロ情報など18項目の情報を自治体に配信し、受け取った自治体が防災無線などを通じて住民に伝える仕組みです。発信してから住民に届くまでに4〜20秒程度かかります。

 また、先ほど述べましたが、緊急地震速報も万能ではなく、初期微動のP波と大きな揺れをもたらす波のS波の到達時間は、震源までの距離が遠いほど時間が稼げますが、直下型地震の場合は、P波とS波の時間差が少なく時間が稼げません。2004年10月に起こった直下型地震の新潟県中越地震(震度7)では、検知システムがP波をとらえて非常ブレーキが作動しましたが、時速約200キロで走っていた新幹線は、S波到達前に減速、停車できずに脱線して、そのまま約1.6キロ進みました。

 この反省を踏まえ、新幹線のP波検知から非常ブレーキ作動までを従来より1秒短くするとともに、横転防止の新装置の装備を進めています。検知システム開発を手掛けた元研究員は、「早期検知には限界がある。地震対策はまず設備面の耐震補強が第一で、これに検知システムを組み合わせて初めて効果が出る」とおっしゃっています。

 設備面をしっかり耐震補強した上で、緊急地震速報の利用の点は、ご自宅でも言えることで、皆さんのお住まいは耐震は大丈夫でしょうか。耐震性能が高いほど、どうしてもコストが高くなりますが、その分地震保険料の割り引きというメリットはあります。耐震性能を高める構造として大きく分けて3つあります。

 柱、梁(はり)に筋交いなどを強化して揺れに耐える耐震構造、ダンパーと呼ばれる揺れを吸収し、揺れを小さくする制震構造、地盤と建物の間に積層ゴムなどの免震装置を入れて建物に揺れを伝わりにくくする免震構造の3つです。

 再び、国の視点での整備計画に目を向けますと、国土交通省が1万人以上が津波で死亡する恐れがある東南海・南海地震などの被害を減らすために堤防の途切れた場所の整備や排水路の確保について新たに補助制度を設けます。現状では、自治体の財政難から津波対策が遅れている地域が少なくありません。国の中央防災会議は同地震での死者数想定を2014年までの半数にするなどの目標を掲げており、同省は自治体の後押しを急ぐ方針です。

 また、文部科学省と東京大学などは首都圏の1都5県に微少な地震から大地震までとらえられる地震観測網を新設します。2011年度までに高性能の地震計を400カ所に配備します。既に、50カ所は設置済みで観測を始めています。様々な地震をとらえた地下構造を解明できる世界でも例のない大規模観測網を作り、首都圏直下の「地震の巣」を監視します。専用の地震計は、学校などの地下20メートルに埋められます。

 今回のコラムでは、阪神・淡路大震災から14年目を迎えて減災を中心にみてきましたが、日本列島周辺には4つのプレートが接しあい、ぶつかりあっており、世界中を見渡してもこれだけプレートが入り組んだところは珍しく、それだけに地震が発生しやすく、地震多発国の宿命を負っていると言えます。冒頭で述べましたが、日本に住んでいる限り、いつ起きてもおかしくないだけに、ハード面の整備とともに、緊急地震速報などのソフト面の充実をひとりひとりが意識をもって取り組んでいくことが生き残っていくために重要と言えます。国が計画的に整備していくことは当然のことですが、“自分の身は自分で守る”という心構えが求められています。

 その他、地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せていますので、一度ご覧いただき参考になさって下さればと思います。また、以前に、ある市の地域防災計画策定(地震対策編・一般対策編)に携わったことがあり、防災の日(関東大震災の起こった日)、阪神大震災の起こった日近くに、防災にちなんだコラムを今回同様に載せております。地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

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