商学連携・学生まちづくりについて考察する

 記:2007.9.1

 今回のコラムでは、商学連携を考えていくにあたって、まず、大学の置かれた現状をざっと見ていきます。少子化の影響商学連携イメージもあり18歳人口の減少が続いている中、各大学は、学生の獲得に向けて、激しい競争の時代を迎えています。今年(2007年)の18歳人口は約130万人で、15年前の約6割まで減少しています。一方で、大学は増えており、4年制大学は過去最多の約750校で、短大を合わせますと1,100校を超えています。

 高望みしなければ大学進学希望者全員がどこかに入れるという「全入」時代は、2007年度には訪れませんでしたが、近々全入時代を迎え、さらに大学間競争が激化していきそうです。傾向としては、大都市圏などの有名校が多くの学生を集める一方、地方の小規模校を中心に定員割れも目立っています。「二極化」が強まっており、明暗が分かれている状況と言えます。

 日本私立学校振興・共済事業団によりますと、2007年度は定員割れの私立大が全体の4割と、10年前の5パーセントから大幅に悪化しています。また、赤字の大学は3割と見込まれており、経営危機がささやかれるところもあります。そのような中、有名私立大学では、少子化に伴う学生の質の低下を恐れ、いち早く改革に乗り出して競争倍率に維持に努めているところもあります。

 その他、学部・学科の改組や新設に踏み切ったり、中にはキャンパスや教室を都心に移してきているところもあります。また「ゆとり教育世代」の学力低下が叫ばれる中、教員が随時質問に応じるなど、きめ細かい補習授業をセールスポイントにする大学も増えています。出口となる就職という視点では、入学直後から職業観を養う「キャリア教育」に力を入れ、教職員がカウンセリングまでして、就職活動を徹底的に支えるところも多いです。言い悪いは別にして、いたれりつくせりの面倒見の良い大学が増えていると言えます。前回のコラムで「最近の就職について考察する(2007.6.2)」について触れていますので、併せてご覧頂けましたらと思います。

 今回のコラムで取り上げている「商学連携」とは、商店街と学生・大学との連携のことで、これまで大学の厳しい状況を見てきましたが、同様に厳しい状況にあるのが商店街です。商店街も大学の傾向と同様に、特に都心部より地方都市の商店街がシャッター通りと呼ばれるほど疲弊しているところもあり、大学同様まさに二極化しています。

 商店街と大学、共に置かれた現状は厳しいですが、そのような状況の中、日本で最もダメと呼ばれる商店街と大学が組むとおもしろいことができるといったある大学の先生がいます。実際にその先生は、商店街の中に、研究室をつくり、そのおもしろさを実践した方です。大学というのは、「授業」「研究」というのが大きな本来的な使命ですが、そこに「地域貢献」という第三の柱がクローズアップされています。生き残りをかけて、大学として地域貢献に積極的に取り組む大学も出てきていますし、国(文部科学省)も産学連携や特色ある学生たちの地域活動などに補助金を出すなど支援しています。

 大学側も学生たちのソフト的な地域貢献の場、地域活動の一つの場として商店街が挙がっています。当方自身も、商学連携のお手伝いをさせて頂いておりますが、学生たちに、まちや商店街を学びの場として積極的に活用して欲しいと思っております。学生たちにとっては、大学内の机上の勉強が大切なことは言うまでもありませんが、学外における実践の場は、学生たちにとって社会に出ていく上で重要な経験になると思います。

 今の学生たちにとって、商店街は、残念なことに、郊外のショッピングセンターなどに行ってあまり行かない場所になっていますが、ある意味、学生たちにとって商店街は異文化空間であるだけに学びや新たな発見がたくさん詰まっていると言えます。個性の強い一国一城の商店主たちと共に活動していくことで、そこで揉まれて打たれ強くなり、生きた本物の社会を垣間見ることができると思います。今、インターンシップ(就業体験)がどこの大学でも実施されていますが、ある程度カリキュラムが組まれたインターンシップと違って、カリキュラムがなく、何が起こるかわからない商学連携は、インターンシップとはまた違った醍醐味があります。それだけに、おもしろいことが生まれる、思っても見なかったようなびっくりすることができたということにつながっていきます。

 商店街側に目を向けてみますと、商店街の活性化という視点で、メインではありませんが、商学連携という補助金の支援メニューを自治体が打ち出しています。商店街の活性化の基本は、一つ一つの個店(お店)が元気になることで、それぞれのお店がまず頑張り、さらに、同時に、商店街振興組合などお店の集まった組織を強くして、個店のアップと商店街の組織力のアップを同時に進めていく必要があります。

 商店街にとっての“商学連携”は、商店街を取り巻く地域との連携という視点で、学生や大学と一緒に地域の活性化に取り組んでいく意味合いがあります。中心市街地の活性化など含め商店街の活性化の多くは、これまで商店街の範囲内だけで対策を考えてきた経緯があります。その結果、闇雲にイベントをいくら打っても、空き店舗対策に多額の投資をしても、商店街の活性化につながらなかった経緯があり、今は周辺を含めた地域と連携した活性化の流れとなってきています。商店街の周辺には、町内会はじめNPO、市民団体、農家(生産者)、学校などがあり、その一環として、商店街側では、今回のコラムで紹介している“商学連携”が脚光を浴びています。

 今回のコラムで見てきましたように、大学、商店街は共に厳しい状況に置かれています。そのような状況を大学側から文部科学省、商店街側から経済産業省を中心に、支援体制も整いつつあり、“商学連携”は、大学にとっても、商店街にとっても互いにメリットがあるWIN WINの関係であるだけに、今後、いろいろな側面で進んでいくことが予想されます。皆さんの住んでいらっしゃる地域においても“商学連携”の取り組みに注目してはいかがでしょうか。

 学生はじめ大学と自治体や商店街との連携は、ざまざまなところで進んでいます。視察レポートとしては、まだまだ少ないですが、検索項目「学生・大学における連携の取り組み事例(商店街・行政などとの連携)」を設けています。クリックして頂きご覧頂けましたら幸いです。学生・大学とまちづくりという観点では、これからも数多く紹介していきたいと思っております。ちなみに、今回のメルマガ(2007年9月号)で同時に紹介しました「名古屋屈指の文教地区・桜山商店街界隈を訪ねて」は商学連携の取り組みが行われています。

 最後に、大学の支援関係の最新情報を紹介したいと思います。文部科学省は2008年度から、国公私立を超えた大学間の戦略的連携を支援する事業を始めます。地方大学や小規模大学などが限られた予算の中で単独で環境整備を進めるのが難しい場合に、相互補完的な教育プログラムや、得意分野を持ち寄った研究などを選定して支援します。知的財産管理や教員研修、インターンシップ(就業体験)窓口など大学運営全般を対象にしています。2008年度予算で50億円の概算要求を盛り込む予定です。

By Nagura

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