第32回東京モーターショーを見てきて

記:1997.11.3

 新車販売の伸び悩みが叫モーターショー イメージばれる中、市場の活性化もこめて東京モーターショーが始まりました。モーターショー直前に、総会屋への利益供与で三菱自動車の幹部が逮捕される事件もあり、その影響も危ぶまれましたが、モーターショーへの人出はいいようです。私が行ったのは、10月30日の木曜日でしたが、平日にもかかわらず午後からは人でごった返しあまりゆっくり見られませんでした。土日ですと、身動きできないほどだったと思われます。さすがに三菱ブースは、演出を自粛しているため、中央ステージは、がらんとしており「座らないで下さい」という看板が掲げられていましたが、他のブースに比べ、音と動きのあるダンスミュージック的な演出はないものの、逆にシンプル的な新鮮さを感じました。本当にいまやモーターショーは、お祭り騒ぎで、効果音がうるさく感じられるほどですから・・・。また、最も良いブースの回り方は、比較的すいている午前中にまず行きたいブースを回っておくことです。そして、午後は、人の流れにそってその他のブースを回るというのがいいでしょう。

 いままで、5、6回、東京モーターショーに足を運んでいますが、この間にかなりショーの傾向が変わってきています。2年に1回の開催でしたので10年近く見てきましたが、バブルがはじける前のモーターショーというのは、まだまだ夢のある、夢を追い求める華やかさがありました。各メーカーが、未来のクルマ・コンセプトカーを全面に押し出した展開で、人々もそれを楽しみに行っていたように思えます。夢を提供するという流れが変わってきたのが、バブルが弾けてからです。だんだんと環境への配慮も問題となってきて、各メーカーもいまひとつ視点の定まらない、中途半端なショー展開となっていました。夢を追い求めるわけでもなく、環境への対応も中途半端という展開でした。それが、今年のモーターショーでやっと長いトンネルを抜けたという感じがします。環境という問題に正面から対応し、しっかり視点の定まった展開がされていました。「夢のクルマ」から「人に近い、やさしいクルマ」へと変わってきたようです。その点からも、今回のモーターショーは、環境元年ともいえます。

 各ブースを回ってみても、以前大きなスペースをとっていた夢のコンセプトカーは、影を潜め、市販車、また近く市販車になりそうなクルマの展示が中心となってきています。トヨタでいうと、最近発表されたハイブリッドカーの「プリウス」、日産ですと、発売されたばかりの「ルネッサ」などが前面に押し出されています。さすがに三菱は毎回のごとく6代目となるコンセプトカー「HSR-VI」が出品されていましたが・・・。このような傾向は、クルマがより身近になり、夢のあるクルマを見に来るというより、次に買うクルマを何にしようかなという見方に変わってきているように思えます。ショーというより、クルマのショッピングモールのような展開です。新車販売の伸び悩んでいるメーカーの思惑も見え隠れしています。

 その他、今回のモーターショーで目についたのが、実際に体験させるコーナーが、数多くあったことです。インターネットを初め、自動走行、電気自動車走行体験、ナビゲーション、オペルのイメージコンセプトをみせる3Dアトラクションなどアミュズメント性の高いショー展開がされていました。それと、今回から乗用車と商用車がいっしょに展示されるようになり、より各メーカーのコンセプトがはっきりし、見やすかったです。ちなみに次回からは、乗用車と商用車のショーを1年交代で別々に開催されることになっています。それと、電気自動車のコーナーが、けっこう人で込み合っていたことです。一昔前ですと、電気自動車のコーナーというと人もまばらでした。これだけ込み合っているということは、それだけ、環境等に対する人々の関心も高く、クルマそのものもより実用段階に近づいてきたということでしょう。本当に、よい傾向です。

 モーターショーも回を重ねるごとに、時代の流れに合わせ、アミューズメント性、エンターテイメント性が高まって、多くの人が楽しめるショーになってきていますが、今回は、クルマそのものの中身も充実していたように思います。いろいろな側面で、今後のクルマの行き先が打ち出されていました。環境、安全性へのニーズが高まり、特に日欧のメーカーが、より快適な小型車へと展開を図っています。しかし、アメリカのメーカーは、景気が好調、ガソリンも安いということもあるのか、大型車を前面に打ち出す姿が目立ちました。景気が好調な国は、現状の景気を維持する意味からもなかなか次が打ち出せない面もあるのでしょう。日本の場合は、現状の景気のもたつきを打破し、次を打ち出すしかない状態に追い込まれているのが、逆に21世紀のクルマ社会を生き抜くための試練になっているように思います。

 次回(2年後)、次次回(4年後)の乗用車・二輪車のモーターショーは、より流れが鮮明となっていき、十分堪能できると思われます。今回行かれなかった方は、次回行かれたらいかがでしょうか。遊びに行くだけでも、十分楽しめる場となっています。ただ、かなりの人で込む(来場者数は約12日間の期間中で約150万人)のが難点ですが・・・。

 また、今回の東京モーターショーの詳細は、視察レポートにも詳しく書いてありますので、そちらもご参照下さい。「国産車」「外国車」「テーマ館」「部品関係」「環境」「安全性」の6つの切り口で書いてあります。

By Nagura

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