最近の就職について考察する

 記:2007.6.2

 1990年代前半、バブル崩壊後の景気低迷期の就職が難しかった“就職氷河期”“超氷河期”と呼ばれた時代と打って変就職支援イメージわって、2007年の就職戦線は好調さが伝えられています。ちなみに、“就職氷河期”という言葉は、1994年の流行語大賞に選ばれています。我々が就職した頃には、早い時期に内定を出す“青田買い”という言葉がありましたが、今やそのような言葉も昔話になりつつあります。

 時代をさかのぼると、1973年から1996年まで就職協定というのがあって、企業と学校(主に大学・短大)の間で取り決めたもので、学業の妨げにならないように一定の時期まで企業から卒業見込み者に対するアプローチを行わないというものでした。会社訪問解禁は10月1日、採用選考開始は11月1日などのルールが決まっていました。会社訪問の解禁日には、大企業に学生の行列ができ、ニュースになったものです。そのような就職協定があっても、協定破りの抜け駆けが行われており、“青田買い”という言葉がよく新聞紙上にも踊っていたものです。その就職協定も1997年に廃止されました。

 企業側の要請で就職協定が廃止された後は、就職活動時期は早期化の傾向にあります。現在では、大学生で3年生には就職活動を始めるのが一般的になっています。そして、4年生の4月か5月には大企業の内定が多くでる季節となっています。日本経団連が定める倫理憲章では、4年生の4月以前に選考しないように呼びかけているものの、実際は自由競争に近い形となっているようです。

 また、最近の傾向では、先ほど紹介しました就職協定の廃止による早期化とともに、長期化もしています。さらに、学生の売り手市場で採用が激化してここ数年は、新たに「通年化」の様相も呈してきています。十分な数の新卒を確保するために、年に何回も採用する企業が増えています。団塊世代の定年退職、グローバル化による国際競争もあって、“就職氷河期”の時と打って変わって、企業側も必死の状況です。しかし、以前のバブル期と違って、企業も誰でもいいという訳ではなく、バブル期の反省を踏まえ人材を吟味する目は厳しくなっています。

 前回のコラム「キャリアカウンセラーという資格取得に向けて(2007.5.13)」で大学におけるキャリア教育について触れていますが、18歳人口の減少を受けて、大学の生き残りをかけた競争も激化しており、「キャリア教育」と「就職支援」に力を入れています。冒頭で述べましたが、2007年の就職戦線は好調さが伝えられていますが、各大学は“就職氷河期”を資格取得の奨励や就職支援体制の充実で乗り切ってきました。しかし、時代が上向きはじめ、学生の危機感も薄れるにつれ、資格取得のモチベーションも下がり、新たな視点が求められています。そのような観点から仕事を通してのキャリアだけでなく、人生そのものを視野に入れたキャリア、いわゆる生きる力を如何に学生たちに気づかせ、考えさせ、学べる環境づくりが今後必要なのだろうと思います。

 就職氷河期を乗り越え、新たな視点が求められていますが、「就職に強い」という観点で、他大学に先駆けて、学生支援のあり方を変えたと企業に知られている大学が立命館大学です。今でこそ、他大学が追随していますが、その先駆けとなった立命館大学の取り組みを少し紹介します。ちなみに、大学ランキングの就職支援力では、1位が立命館大学・文系、2位が立命館大学・理系でワンツーフィニッシュの状況となっています。3位以降は、関西大学・理系、関西大学・文系、近畿大学、日本大学・理系、東海大学、同志社大学、中央大学などが挙がっています。(データは朝日新聞発行の大学ランキング、2005年12月に主要4500社へアンケートを送り、回答のあった563社分を集計、各社の人事部長に主な大学を4段階で評価してもらい、点数をつけて偏差値を出して順位付け)

 立命館大学は、卒業前に就職先を紹介するだけでなく、入学後から少しずつ学生の職業観を養う「キャリア形成」を他大学に先駆けて重視してきました。企業や人材をテーマにした講議と討議、卒業生の職場訪問などを正規の授業に組み込み、全学部で1年生から受けています。卒業生のうち約2千人が合宿や相談会に協力し、東京にある東京オフィスは企業訪問や入社試験の受験を支えています。

 就職という観点では、新卒の大学生だけでなく、就職氷河期に職を得られなかったフリーターや正社員になりたくてもなれなかった派遣社員の問題もクローズアップされてきています。そのような方たちへの再チャレンジへのさまざまな支援も始まっています。行政の取り組みを一つ紹介いたします。

 千葉県は2007年度にフリーターらの若者未就業者を対象として、業界別の就職支援プログラムを始めます。千葉県内で特色ある産業の航空物流、ホテル・レジャー、重化学工業の各分野のプログラムをそれぞれ用意します。2008年度以降、ほかの業界向けのプログラムも展開する予定です。若年層の就業支援と同時に人材確保に頭を痛める中小企業向けに企業ニーズに合った人材を育成する狙いもあります。業界別就職支援プログラムは、千葉県の就業支援施設である「ジョブカフェちば」が実施し、座学と現場研修の組み合わせで1講座3週間程度で完結します。受講者は費用はかからず、1講座あたり15人程度となっています。

 最後に、頑張っている就職活動(就活)中の学生さんに向けての旬な情報を記載します。日本料理店のなだ万は2007年7月2日から8月31日まで、就職活動中の学生を対象に懐石料理をほぼ半分の価格で提供します。価格が高い和食になじみの薄い学生が社会に出た後の利用を促すのが狙いで、最初の敷居を低くした取り組みです。家族や友人、学校の先生との会食などの利用を見込んでいます。ホテル内店舗11店の平日に限って、ランチメニュー限定「ミニ懐石」(3,500円)とディナーメニュー「花懐石」(6,000円)の2種類です。利用できるのは四年制大学の3、4年生や短大生、専門学校生、高校3年生で、本人の予約が必要で、家族など3人も利用可能です。

 今回のコラムでは、就職について見てきましたが、就職活動をする学生たちに向けては、彼らを取り巻く周りの環境がいたれりつくせりのような感じがあり、さらに売り手市場も手伝って、いい時代を迎えていますが、それだけに、回りに踊らされることなく、しっかり自分というものをもった学生が求められているとも言えます。楽な時代ほど、楽をすればいくらでも楽をできるだけに、社会に出る前に学生のうちしかできないことを悔いのないようにやってもらいたいと思っております。

 逆に今の学生は、就職活動の早期化を受けて、小手先の就職活動の武装をするような取り組みも多く、それはそれで必要なのですが、何か違うような感じがして、かわいそうなくらいで、もっと、自分で考え、人間の幅というか生きる力をつけることこそ、社会にとっては魅力な人材と思っております。大学側は、いろいろと試行錯誤していると思いますが、押し付けのキャリア形成ではなく、学生たちが自ら進んで行えるようなキャリア形成の環境づくりをして欲しいと思っております。当方も一経営者として、置かれた環境に甘んじることなく、バランス感覚のある人材が多く社会に出てくることを望んでおります。

By Nagura

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