まちづくり公開セミナーに参加して

 記:2007.2.13

 日本商工会議所と法政大学が共同で開催した「まちづくり公開セミナー」に参加してきました。テーマは「全国に広がるまちづくまちづくりセミナーり条例〜その意義と効果〜」です。セミナーの流れは、はじめに日本商工会議所から新しいまちづくりに向けた地域の動きなど全般的な現状について話され、その後、実際の事例として、青森市、福島県、上尾市(埼玉県)のまちづくり条例にそれぞれ携わった方から報告がありました。そして、最後に法政大学の先生からまちづくり条例制定の動きと評価というテーマで講演され総括されました。

 一番上の画像は、まちづくり公開セミナーの風景を写したものです。また、今回のセミナーは法政大学で開催されました。上から2番目の画像は、会場となった法政大学市ヶ谷キャンパスの高層ビル(ボアソナード・タワー)の26階から眼下を写したものです。最近、都心部の土地の有効活用もあり高層ビルのキャンパスが増えてきていますが、ここ法政大学のボアソナード・タワーも立派なものでした。どうも我々の時代の大学というと泥臭いイメージがあるだけに、きれいすぎて大学らしくないような感じがするとともに、今の学生たちがうらやましくも映りました。

 少し、今回のまちづくりセミナーの背景にもなっているまちづくり3法の改正の流れを記載します。昨年(2006年)5月にまちづくり3法が改正されました。厳密に言いますと、3つのうちの都市計画法と中心市市街地活性化法が改正されました。ちなみにもう一つは、大規模小売店舗立地法(大店立地法)で、1998年5月に大規模小売店舗法(大店法)の廃止に伴い成立したものです。詳しくは、「これからのまちづくりで押さえておくべき“まちづくり3法”の概要」で載せておりますので、ご参照下さい。一言で改正されたまちづくり3法のポイントを言いますと、郊外への大規模集客施設の規制、都市機能の市街地への集約となるまちのコンパクト化(コンパクトシティ)、中心市街地の賑わいの回復などが盛り込まれました。

 これまで打ち出した国の中心市街地活性化の施策がなかなか成果につながらないということで、今回のまちづくり3法の改正となりました。いくら商店街法政大学を取り巻くまちづくりにおける制度の見直しが行われても、それを生かすも殺すもそこに介在する“人”次第と思います。この“人”というのは、中心市街地にある商店街の当事者の商店主、商店街はじめ、地域住民、そして、会議所・商工会の経営指導員、行政のまちづくり担当者など含まれます。今回のまちづくり3法の改正で、これまでのTMO(タウンマネジメント機関)という組織から地元商工会議所(商工会)、商業者、都市整備の公的機関、地権者などで組織する中心市街地活性化協議会の意見を反映して計画を立てて推進していくという流れとなり、制度として一歩進んだだけに、これをうまく生かすことが必要と思います。

 大阪の天神橋筋商店街の視察レポートでも紹介しておりますが、天神橋筋商店街の理事長さんが「まちづくり3法を改正したことで、商店街は残るかと言えば、残らないと思います。社会のためにと思う商人が生まれてこないと生き残れないと思います。俺のまちをこうしたい、こうしたらうちのまちは蘇るという思いのある人がおって、それを支援する会議所とか行政があると思います。思いをもたないところは残らない」「通り一遍等のコンサルの発言に憤りを感じました。やはり自分たちの信念こだわりをもってやらないといけない」「商人がまちを考えて、人も考えて、そういう存在感がないと生き残れない」とおっしゃっていたのが印象に残っています。制度を活用するのは、まさに、人であり、その人の側に“熱い思い”と“知恵”が必要ではないかと思います。

 まちづくり3法も改正されたばかりですし、これからであり、今回のセミナーでは、こういうやり方をすればうまくいくとか、そのような場ではなく、試行錯誤して前向きに取り組んでいる自治体の事例が紹介され、やはり思いがある長期展望をもった自治体の姿勢というものが重要なのだということをつくづく感じました。企業において、トップの社長の姿勢が大切なように、行政でもトップの市長、知事などのぶれない姿勢が大切ということを示した事例でした。今回のメインの趣旨とは外れますが、今回のセミナーに参加して、今後の新たなまちづくりの扉を開けるかもしれないと感じたのが、商工会議所と大学という連携のあり方です。今回のセミナーは冒頭でも述べましたが、日本商工会議所と法政大学が共催で開催しています。今回のコラムでは、そのあたりの背景をもう少し探ってみたいと思います。

 私は、外部のコンサルタントには、できない地域に根ざした商工会議所、商工会の経営指導員だからこそできることがあると思っています。例えば、商店街活性化といって、やみくもに補助金を出したり、指導したところで相手は望んでなく、逆に不信感につながってしまうこともあります。補助金を出したり、指導するにあたって、指導する前の環境づくりを地道にやっていくことが重要と思っております。そのためには、現場(商店街など)に出かけ、最初は受け入れられなくても、めげることなく忍耐強く、信頼関係づくりを築いていくことが重要です。

 環境づくりというのは、苦労の連続であり、長い時間(3年とか5年とか)がかかるものです。地道な環境づくりを行ってこそ、はじめて相手の望んでいる真の指導ができ、そのようなことができるのは、地域に根ざした商工会議所、商工会の経営指導員と思っております。到底外部のコンサルタントではできないと思っております。経営指導員と商店街の方々が共に歩きながらやっていくことがまちの活性化につながっていくと思っております。

 そのようなことからも商工会議所と大学の連携から新たなまちづくりのあり方がでてこないだろうかと期待している次第です。日本商工会議所は、地域振興をけん引する「地方活性化人材」の育成を狙いに、2005年12月に法政大学と提携しました。そして、2例目となる今年(2007年)1月に明治大学商学部と提携しました。法政大学は大学(全学部)と結びましたが、明治大学は商学部という特定学部との提携で、特定学部との提携は初めてとなります。

 提携の内容は、全国の商工会議所のネットワークを活用して、地方就職を希望する職業実務に精通した学生を育てることが基本ベースにあります。そのなかで、まちづくりに関する人材教育・育成講座、起業家育成実践教育などあります。注目したいのは、学部単位で提携した明治大学で、商学部と提携したことで、法政大学より、まちづくりという観点では踏み込んだ内容となっています。

 法政大学は全学部対象なので、学生の人材育成という観点では明治大学は、商学部に限定しているので、見劣りする部分もありますが、その分、商学部に特化した取り組みが組まれています。具体的には、実際に、教授や学生たちが各地域の商工会議所に乗り込み、地域振興に向け一緒になって取り組むマッチング事業や地域活性化の策定から協働で進めていく共同研究事業などが盛り込まれています。まさに、このあたりは商学部という限られた学生、教員対象だからこそ、小回りの利く取り組みができると言えます。

 日本商工会議所と大学の特定学部との提携は今回が初めてとなり、始まったばかりですが、新たなまちづくりのあり方を考えていく上で、注目して見ていきたいと思っております。大学も生き残りをかけてまったなしの状態だけに、大学の使命とも言うべき、教育、研究という2本柱に次いで、地域貢献という柱でも大学側が積極的に地域に出てきていますので、皆さん方も注目して見て行かれてはいかがでしょうか。

 補足として、学生はじめ大学と自治体や商店街との連携は、ざまざまなところで進んでいます。視察レポートとしては、検索項目「学生・大学における連携の取り組み事例(商店街・行政などとの連携)」を設けています。併せて、ご覧頂けましたら幸いです。学生・大学とまちづくりという観点では、これからも数多く紹介していきたいと思っております。

By Nagura

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