阪神・淡路大震災から12年目を迎えて、
防災について考察する

 記:2007.1.17

 6,433人が犠牲となった阪神・淡路大震災から、2007年1月17日で12年目を迎えました。地震はいつやってくるかわかり阪神大震災12年目ません。明日、起こるかも知れません。中でも、いつ起きてもおかしくないと言われているのが東海地震です。2007年1月12日に名古屋大学で「次の東海地震はどこだ」というテーマで討論会が開かれました。地震や津波、地殻変動などを専門とする研究者5人がパネリストとなり、「次は東南海地震と一緒に起きる可能性が高い」という見方でほぼ一致しました。東海地震と東南海地震が同時に起こると関東エリアから東海エリア、関西エリアまで日本の中枢でもある広いエリアで被害が出てしまい、日本経済に与える影響はかなり大きなものになります。我々ひとりひとりが地震が起こった際にどう行動するか、どう備えるかを考えていく必要があります。

 末尾で述べておりますが、年に2回(関東大震災の起こった9月と阪神・淡路大震災の起こった1月)、防災に関してのコラムを書いておりますが、前回の9月のコラムでは、緊急地震速報について紹介しました。緊急地震速報は、世界初の試みで、2006年8月1日に、まず鉄道や建設、研究機関などの特定利用者で開始されました。そして、一般向けの速報提供が2007年秋にも始まる見通しとなっています。

 緊急地震速報の仕組みを簡単に紹介しますと、地震が発生すると、速度の速い初期微動(P波:秒速7〜8キロメートル)に続き、大きな揺れをもたらす波(S波:秒速3〜4キロメートル)が伝わってきます。この速度の差を利用し、震源に近い地震計がとらえた初期微動から震源や規模などを推定し、気象庁が速報を出すというものです。冒頭で紹介しました想定される東海地震が発生した場合、東京では揺れが来る約40秒前に緊急地震速報が出せるとされています。数秒が生死を分けるだけに、40秒という時間はかなり大きいと思います。このようなシステムがあっても、地震が起こった際にあたふたしているようでは有効に時間が使えないだけに、事前に、どう行動するかをイメージしてシミュレーションしておくことが大切です。

 緊急地震速報は、既に鉄道会社における電車の停止や病院における手術の中止などに活用されています。震度の誤差も1以内に収まり、精度は高まっているようです。国民への情報提供には「情報が十分に理解されていない段階で不特定多数の人に流せば、パニックやトラブルが発生する恐れがある」とする一方、「生命を守るための情報として少しでも早く国民にも提供すべきだ」と早期の提供を求める声も出ています。当初は、2007年春を目標としていましたが、パニックを防ぐには国民への周知徹底が必要と判断し、半年間遅らせての運用開始を予定しています。具体的には、パニックを最小限にする伝達方法や心得を決めた後、6カ月程度かけて国民に内容を周知します。2007年2月に最終報告の取りまとめを行い、周知徹底の流れとなります。

 今回のコラムでは、さらに、企業を支援する立場の会議所の取り組みと、企業が社員向けに行っている会社員の災害ボランティアについて紹介しながら考えていきます。東京商工会議所は2007年度にも地震など緊急災害時の会員支援事業を立ち上げる予定です。商工会議所になじみのない方もいらっしゃると思いますので、簡単に解説しますと、商工会議所は、その地区内における商工業の総合的な改善発展を図るとともに、社会一般の福祉の増進に資することを目的としています。同様な組織に商工会というものもあります。商工会議所は商工会議所法に則り、商工会は商工会法に則っており、組織運営面では異なる面もあります。

 東京商工会議所の緊急災害時の会員支援事業は、発生が懸念されている首都直下地震などに備えるのが狙いです。首都直下地震は、文部科学省地震調査委員会の長期予測で、30年以内に発生する確率を70%と予測しています。2007年1月をめどに事業の具体的な取り組みを示した「災害対策支援事業化計画」を策定し、これに沿った形で事業展開します。企業が自主的に防災力を高める“自助”だけでなく、地域と連携して被害を予防する“共助”についての支援も盛り込まれる見通しです。“安心・安全”が求められる時代にふさわしい仕組みの構築を目指しています。

 自助支援では、防災知識の普及、、緊急時企業存続計画(BCP)作成などを促進する「企業防災マニュアル」をまとめます。また、危機管理支援サービスとして支援サービスに関するウェブサイトの立ち上げをはじめ、会員向けの安否確認システムの構築、耐震対策をサポートする事業者の紹介などを実施します。

 一方、共助支援は災害時に企業による地元地域への貢献が求められると想定し、各支部内に役員・評議員らで構成する「地域災害対策会議(仮称)」を設置します。モデル事業の立ち上げや災害支援ネットワークの構築、支援に関するデータベースの整備を進めていくことが盛り込まれています。

 次に企業に目を移しまして、まだまだ活発とは言い難い会社員の災害ボランティアですが、社員の活動の後押しに取り組む企業も出始めています。愛知県豊田市のスポーツセンターで、2006年12月に、10人ほどのチームが地震の被災者に見立てた人形をがれきの中から救い出そうと悪戦苦闘する防災研修が行われました。災害時の対処法を学ぶのが目的で実施された催しの一つで、主催したのはトヨタグループ災害ボランティアネット(Vネット)です。

 トヨタグループ災害ボランティアネット(Vネット)は、2003年に設立され、被災地にどういう援助が必要かの情報提供や防災ノウハウの研修などを通じて、同グループの社員が災害ボランティアに参加するのを支援しています。中越地震などで防災活動への関心が高まったこともあり、トヨタグループ災害ボランティアネット(Vネット)登録者は増え続けており、約800人にのぼっています。とは言え、登録者数は、グループ全体の1%にも満たない状態です。最近では、会社の取り組みにも変化が出始めて、新入社員研修に防災体験を取り入れることも行っています。社会貢献推進部などボランティア関係の部署で働きたいという新入社員も出てきたそうです。

 国の緊急地震速報への取り組み、商工会議所の企業への緊急時企業存続計画(BCP)作成などの支援、企業の社員への防災ボランティアへの取り組みなど私たちが生活していく地域環境、地域整備などは着々と進みつつありますが、一番大切なことは、冒頭の繰り返しにもなりますが、いくら周りの環境が整っても、いざ地震の際に、自分の身は自分で守るという心構えの上、どう自分が行動していくか日頃から地震への備えとシミュレーションを行っていくことが大切です。皆さんも阪神・淡路大震災から12年目を迎えて、今一度、考えて頂けましたらと思います。

 その他、地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せていますので、一度ご覧いただき参考になさって下さればと思います。また、以前に、ある市の地域防災計画策定(地震対策編・一般対策編)に携わったことがあり、年2回、防災の日(関東大震災の起こった日)、阪神大震災の起こった日近くに、防災にちなんだコラムを今回同様に載せております。地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

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