生産日本一の安城のいちじく会席を食べて

 記:2006.11.19

 1989年創業の愛知県安城市の老舗のうなぎ屋さん「吉野屋」で、名物の「いちじく会席」を食べてきました。創業いちじくなど107年、親子4代にわたって受け継がれているうなぎ屋さんで、4代目が安城産のいちじくを取り入れた料理の数々を考案して「いちじく会席」ができました。ちなみに、安城は、いちじく生産が日本一です。安城は、かつて農業の先進地として「日本のデンマーク」と呼ばれており、農業が盛んで、今でも盛んですが、米の転作作物として積極的ないちじく栽培に取り組んだことが生産日本一の背景にあります。

 いちじく会席は、女性に大人気で、毎年、市外から食べにくる団体もいるほど固定客がついています。いちじくは、アルカリ性食品で近頃では、健康と美容にいいということも人気の背景にあるようです。白い乳液状の果汁には消化を助ける成分が含まれており、カルシウムも豊富で腸の働きをよくする効果があります。

 現在、一番多く栽培されているいちじくは、「桝井ドーフィン」という品種で、流通量の9割を占めています。一番上の画像に、いちじくはじめ大きなかぼちゃが写っていますが、画像に見られるのが安城産のいちじくです。いちじくの品種「桝井ドーフィン」は、1909年に導入されました。広島県廿日市市の桝井農場の創始者、桝井光太郎さん(故人)が、米国から苗木を持ち帰り、栽培しやすいように改良を加えて誕生したものです。

 桝井ドーフィンは広島から日本中に広がり、いま最も生産量が多いのが、愛知県安城市を中心とした西三河地方で、愛知県全体で日本のいちじくの約3割が生産されています。安城産のいちじくは、高級いちじくとして、東京などに出荷されています。通常、5〜6個で200円くらいですが、安城産の最高級のいちじくは、1個250円くらいで東京の市場に出ています。安城の地元でもめったに口にすることがありません。

 いちじく会席の料理の紹介の前に、いちじくの歴史や由来などを少し紹介いたします。いちじくは、昔々ヨーロッパでは、アダムとイブの時代から「知恵の木の実」と呼ばれ、日本では、薬の木といわれ今に伝わる歴史ある果物です。いちじくは聖書にもたびたび記述が登場するほど、古くから人に親しまれ、最も古い栽培植物の一つとも考えられています。旧約聖書の創世記では、先ほどのアダムとイブはいちじくの葉で腰を覆い隠したとされ、その関連から、ふたりが食べた禁断の果実はりんごではなく、いちじくだったという説もあるそうです。

 いちじくの葉はもみじを大きくしたような形で直径30センチくらいで、実は一番上の画像でも見られますが、80グラムくらいで赤みをおびています。いちじくは、アラビア地方が原産で、わが国には江戸時代にポルトガル人によって伝えられたと言われています。いちじくは、食物繊維ベクチンを豊富に含み、古来より便秘・痔の妙薬として珍重されている薬用果物です。いちじくの名は、1日に1個ずつ熟すまたは果実がなってから1カ月で熟すから「一熟(いちじゅく)」に由来するとも言われています。また、花が外から見えないまま実がなるので、「無花果」と書いていちじくと読みます。

 それでは、食べてきました「いちじく会席」の紹介をしていきます。これでもかこれでもかというほど、いちじくづくしでした。価格はなんと4725円(2006年現在)です。いちじくの収穫期は意外に長く、ハウス産が4月ごろから出回り、露地産の収穫は11月まで続きますが、やはり旬は夏です。いちじく会席は、旬な露地産を使うことから2006年の場合は、8月8日から10月7日までの期間でした。私は9月16日に食べてきました。

 いちじく会席に使う一人あたりのいちじくの数は、9個とお店の人が言ってました。食べたメニューを挙げていきますと、まず食前酒として、いちじくブランデーが出てきます。これは、干しいちじくをブランデーに1年間寝かせた食前酒です。先付けとして「ゆば着せいちじく割りビスタチオささげ」で、ゆばといちじくのコラボレーションです。八寸として「ごんぎつね生ハムいちじく いちじくワイン煮」で、鰻と煮付けたいちじくの入った稲荷寿司です。揚げ物として「揚げだしいちじく大根・生姜おろし」で、いちじくをまるごとてんぷらにしたものです。揚げだし豆腐みたいで、これは意外にマッチしてうまく、新たな発見でした。

 お凌ぎとして「いちじく豆腐」で、葛を練り上げた胡麻豆腐の中に炭火で香ばしく焼き上げたいちじくがざっくり混ぜ込まれています。焼き物として「炭火焼きいちじく田楽」で、いちじくに金串を打って備長炭でこんがり焼き上げたものです。本物の田楽のような香ばしい香りの一品でした。メインとして「鶏といちじく中華風 小線人参・胡瓜」で、炭火でじっくり焼き上げたかしわといちじくを八角の香の中華風のタレがついています。意外に中華風も合いました。

 酢の物として「いちじくの人参・大根胡瓜砧巻き」で、かつら剥きにした人参・大根・胡瓜でいちじくを巻いたもので、さっぱりした酢の物です。食事として「うなぎ茶漬け いちじく茶 香の物」で、老舗のうなぎ屋さんならではの名物のお茶漬け鰻を香り豊かないちじく茶でさっぱり頂きました。水物として、最後にデザートの「いちじくまるごと愛す」が出てきます。いちじくのまるごとの姿を残したアイスクリームが出てきます。

 ゆっくりと2時間近くにわたって、いちじく会席を楽しみましたが、こんなに調理方法があるのかという驚きの連続でした。我々はグループで行きましたが、やはり特に女性陣からは評価が高く、ビールを飲みながらの男性陣からは、なかなかビールのつまみには、いちじくの甘味もあるので、なりにくいのかアルコールはあまり進まなかったようです。しかし、総体的に驚きと発見があったようです。

 今年(2006年)のいちじく会席の季節は終わってしまいましたが、皆様方も是非、来年のいちじくの旬の季節に食べに行かれてはいかがでしょうか。意外な発見があると思います。老舗のうなぎ屋さんの吉野屋さん(牛丼の吉野家ではありません)は、JR安城駅から徒歩3分のところにあります。要予約が必要です。吉野屋さんは、安城七夕まつりでユニークな飾りで毎年賞をとっていますので、安城七夕まつりにも足を運ばれたらと思います。

By Nagura

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