児童文学(絵本)について考える

 記:2006.8.19

 三重県四日市市にある子どもの本専門店「メリーゴーランド」の店主である増田喜昭さんの話を聞いてきました。増田さんは、1読み聞かせしている様子976年に子どもの本専門店「メリーゴーランド」を開きました。また、増田さんは、子どもの本専門店の経営の傍ら、四日市こだるま道院の道院長として、子どもたちに少林寺拳法を教えています。

 「メリーゴーランド」は、子どもの本を販売しているだけでなく、さまざまな活動をしています。少し紹介します。第一線で活躍する作家・画家・編集者などを招き、子どもと子どもの本を考えるレクチャーを月に一回開催しています。また、プロの作家・童話作家の養成ワークショップ「絵本塾」「童話塾」を主宰しており、次の時代の作家の出発点となっています。子どもの本を販売するだけでなく、子どもや子どもの本について考え、さらに、作家も育てています。

 さらに、増田さんは、子どもたちの創造の場というか遊びの場も提供しています。アメリカのチルドレンズミュージアム(ハンズオンミュージアム)やヨーロッパの博物館に関心を持ち、自ら、子どもの絵画造形教室「遊美術(あそびじゅつ)play and art space」を開いています。また、四日市に子どもの博物館をつくろうと、NPO「四日市こどものまち」を発足して、サンタ会員を募っています。夏休み子どもキャンプ「あどびじゅつin沖縄」など日本全国の子どもたちと遊びと学びのあるキャンプを行っており、子どもだけでなく大人の参加も多いそうです。

 増田さんは、子どもの本の販売だけでなく、ご自身で本も出しています。著作に「子どもの本屋、全力投球!」「子どもの本屋はメリーゴーランド」、教育評論家の斎藤次郎氏との共著「ヨムヨム王国」、落語家・桂文我さんらと子どもと大人の落語入門書「落語ワンダーランド(全4巻)」、斎藤次郎氏と福尾野歩氏との共著「子どものスイッチ」などあります。ちなみに、子どもの本専門店メリーゴーランドの謳い文句は、「ほんは すてきなともだち。メリーゴーランドのほんたちは、あなたとの であいを まっています。1さつずつ てにとって ごらんください。」です。

 今回のコラムは児童文学(絵本)について考えると付けてみました。児童文学を辞書で引くと「児童を読者対象として創作される文学作品。お伽話・童話・少年少女小説・童話・児童劇など」と解説されています。絵本はというと、書籍の一つで、絵の比重が大きく、一般に児童書とされています。しかし、読者層を子どもに限定しない絵本、大人向けの絵本も数多く出版されています。話のなかで、増田さんも、絵本に何歳から何歳とか、何歳向けなどと記載があるのはおかしいと指摘されていました。一般の本に、対象年齢の記載がないのに、絵本にだけあるのはおかしいという指摘です。私も同感します。

 児童文学という視点では、「日本児童文学学会」というものがあります。日本児童文学学会は、日本学術会議協力学術研究団体として登録された日本で唯一の「児童文学・児童文化」の研究団体です。1962年に発足して、現在では400名を超える会員を擁しています。研究発表会、講演会、展覧会などの開催のほか、日本児童文学学会賞(奨励賞、特別賞を含む)を設けて、児童文学・児童文化に功績にあった個人・団体を顕彰するなど、数多くの活動を行っています。

 一番上の画像は、増田さんが聴講者に読み聞かせをしている風景を写したものです。話の中で、増田さんが複数のお勧めの絵本を紹介してくださり、その中の3冊を購入してきて、読んでみました。最近、みなさんは絵本を読まれたことがあるでしょうか。海外の翻訳絵本の「おじいちゃんがおばけになったわけ」、片山令子さん文、片山健さん絵の「みずうみ(のうさぎのおはなしえほん)」と「ともだち(のうさぎのおはなしえほん)」の3冊です。

 絵本は子どもが読むものだとか、親が子どもに読み聞かせするものだという変な先入観がありましたが、純粋に絵本を久しぶりに読んでみましたが、なかなかいいものです。感動しました。十分、大人も堪能でき、単純というかわかりやすいストーリーだけに、逆に、考えさせられる部分も多く、思考が広がり、奥深さがあります。絵本をあらためて読みますと、大人の感受性を豊かにするような感じがします。増田さんの話の中でも、多くはお母さんと子どもが一緒に絵本を買いに来ることが多いそうですが、お父さんと子どもというケースでは、何度も通ううちに、お父さんが絵本のファンになってしまうケースが多いとのことでした。

 また、絵本の世界でも、「萌え」系のかわいい絵の「POP WORLD ふしぎの国のアリス」が今年(2006年)4月の発売開始以来、なかなかの売れ行きのようです。ふしぎの国のアリスは、昔から数えきれないほどの種類の作品が出ていますが、この絵本の絵は「ほっぷ」さんが担当しています。ほっぷさんは、ベストセラーになった「もえたん」でおなじみの作家で、いわゆる「萌え」の世界の第一人者と言えます。

 商店街で頑張っている子供専門店の店舗もあります。佐賀県で唯一の子供専門書店を運営するNPO法人「子供の本屋ピピン」が平成18年経済産業省の「がんばる商店街七十七選」に選ばれました。2006年5月に商店街(佐賀県呉服町名店街)に移転して、市の職員と協力して店舗改装するなど市と二人三脚で空洞化する中心市街地を盛り上げようとする試みが評価されたようです。NPO法人「子供の本屋ピピン」の開業は、2003年3月で、主婦5人が知り合いの子供専門店の廃業を知り、私たちがやってみようと始めたものです。店内には、約3,500冊の本が並び、先ほどの増田さん同様に、販売だけでなく、読書会や講演などのイベントも積極的に行っています。

 先ほど「日本児童文学学会」の紹介をしましたが、世界に目を向けた「国際デジタル絵本学会」という団体もあります。日本、韓国、中国、台湾、インドネシア、パプアニューギニア、ペルーなど世界12カ国・地域の昔話や民話を集め、絵と文章からなる“絵本”にしてインターネットのホームページで公開しています。言わば、「電子紙芝居」作りをしている団体です。設立趣旨は「絵本を通じての子どもたちの相互理解を図るために」「IT後進地域デジタルデバイド解消のために」「身体障害者向け絵本の開発と提供を図るために」「絵本製作・翻訳を通じて大人たちの国際交流を促進するために」です。

 今回、児童文学というか絵本に焦点をあてて見てきましたが、絵本のみならず、本を読む習慣というのは大切なことだと思います。子どもの頃は、読書感想文が嫌で、本を読むのが苦痛な時もありましたが、今になって思えば、数々の感動した本との出会いは大きいと思います。「ロビンソンクルーソー」「坊ちゃん」「路傍の石」など子どもの頃に読んだ記憶が残っていますし、学生の頃は、氷点など三浦綾子さんの書籍の数々や竜馬がゆくなど司馬遼太郎さんの書籍の数々を読んだ記憶が残っています。少なからずしも、人生において示唆を与えてくれたように思います。今、思い出せる本は、もう一度読んでみたいと思うような本ばかりです。皆さんも、これまで読んだ本を振り返るとともに、さらに、絵本を手にとり、年齢に関係なく絵本の楽しみ方、堪能の仕方を見つけられてはいかがでしょうか。きっと新しい世界が広がることと思います。

By Nagura

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