薬膳料理を食べて健康について考える

記:2006.4.15

 医薬品、医薬部外品、製薬用機械等の製造販売をしているエーザイ川島工園内(岐阜県各務原市)にある「厚生センタ薬膳料理イメージー」食堂を利用して提供している薬膳料理を食べてきました。工園内、いわゆる工場の中にあり、完全予約制で、予約して食べてきた次第です。同じ敷地内に、内藤記念くすり博物館や薬用植物園、薬草園などもあり、午前中に見学してから昼食として薬膳料理を堪能してきました。内藤記念くすり博物館や薬用植物園、薬草園などの視察レポートは、次回、紹介しますので、お楽しみにして下さい。

 薬膳料理を今回、初めて食べました。何か薬くさいイメージがありましたが、けっこうおいしかったです。見た目も良かったです。メニューは、季節や仕入れの状況によって違うようですが、1,575円の薬膳料理を食べてきました。提供されているのは、昼食の時間のみで、平日は1名から予約できますが、土曜・日曜・休日は20名以上の予約が必要です。我々は土曜日に行きましたので、薬膳料理を食べるために、20名集めるのがけっこうたいへんでした。しかし、参加したメンバー皆、たいへん満足している様子でした。

 不思議なもので、薬膳料理を食べていますと、何か健康になったような気持ちになってくるものです。ここエーザイで薬膳料理が提供されるようになったのは、くすり博物館に来館されたお客様から「薬草園があるのに、薬草の料理はないのですか」という声に応えて誕生したそうです。薬膳そのものの歴史等は後ほど紐解いていきますが、ここエーザイの薬膳料理は、滋養強壮、胃腸虚弱の改善、疲労回復など前人の知恵を秘めた薬草の数々を食材そのものの味を妨げないように、そして多くの皆さんに楽しんで頂けるように味に工夫を加え、食べやすく仕上げているそうです。

 薬膳料理をつくっている料理長からもお話を伺ってきましたが、食べやすさにこだわっており、多くの方からおいしいと言われるとのことでした。6年前くらいから薬膳料理を出し始めて、最初から順風満帆に開発が進んだわけではなく、“製薬会社が作る薬膳弁当”ということで力が入りすぎてしまい、試食では目に余る量の残菜量があったそうです。薬草を使った弁当は、体に良さそうだから味は二の次というのをくつがえそうと現在の薬草臭さのない見た目も美しく食べてもおいしい薬膳料理になったそうです。

 食べてきました薬膳料理を少し紹介しますと、ごはんは、松の実入りごはんで、松の実には、良質の植物性脂肪油を含み疲労回復、胃腸保護作用があります。スープは、南瓜(かぼちゃ)の種のスープで、南瓜の種は胃腸を丈夫にし体力をつけます。また、解毒、利尿作用もあります。お茶はウコン茶で、ウコンはご存知の方も多いと思いますが、健胃、胆汁分泌を促進させ肝機能を高める作用があります。その他、おかずでは、茯苓(ぶくりょう)入りマトウ鯛の煮物、肉じゅ蓉(にくじゅよう)入り茗荷(みょうが)のつくだ煮、イカの枸杞子(くこし)炒め、きゅうりの紅花漬け、長芋と干し貝柱の長寿煮、芽かぶと菊花(きっか)の三杯酢、オクラの鮭巻き、乾燥山芋焼きなどです。

 ひとつひとつの効能は省略しますが、少し挙げますと、キノコの一種の茯苓は、神経を安定させ、消化機能を順調にします。肉じゅ蓉は、滋養強壮、便秘、不妊症に作用があります。菊花は、めまいや充血などの眼疾患、呼吸器に作用があります。紅花は、婦人病、冷え性、更年期障害に効果があります。血液を清らかにし体を温めます。クコの果実である枸杞子は、滋養強壮、体質強化の作用があります。

 これまで、エーザイ川島工園内で食べた薬膳料理の説明をしてきましたが、薬膳とは何か皆さんご存知でしょうか。薬膳は人体の自然治癒力を高めると言われています。薬膳は中国4000年の歴史が編み出した栄養学の集大成と言われています。現在の科学を駆使している現代栄養学の歴史は、100年余です。辞書をひいてみますと「薬膳とは、中国から古くから行われてきた健康法の一つで、生薬や漢方薬を食事の中に取り入れること」と記載されています。

 今、日本は、飽食の時代、グルメの時代で豊かな食生活を楽しむことができる反面、肥満が多くなり生活習慣病など叫ばれています。現代の食生活は食べ物が豊富にあってもバランスの取れた食事がなされていないということでしょう。正しい食生活という観点の一つとして、食育という取り組みが積極的に行われてきています。食に関しては、コラム「安城の“食”と“農”を考えるシンポジウムに参加して」「“スローフード”“地産地消”など「食環境」を見直す動きについて考察する」で取り上げておりますので併せてご覧いただけましたらと思います。今回は、製薬会社がつくる薬膳料理を食べてきましたが、食生活の見直しが始まっており、飲食業界でも薬膳料理を提供するところが増えており、薬膳ラーメンの人気店も出てきています。

 今回のコラムでは、健康について考えるということで、先ほど出しました“生活習慣病”予防の一役として注目を集めているのが「精進料理」です。精進料理は、修行僧の食事として知られており、よくご存知と思いますが、野菜中心の質素な食事です。精進料理も薬膳料理と同じく、中国から12世紀頃に禅宗とともに伝わったとされています。精進料理は、殺生を戒める仏教の教え方に由来し、魚介類・肉類を用いず、穀物・豆類・野菜類の食材だけで料理したものです。

 修行では、米とたくあん、ごま塩だけというのも珍しくありませんが、お客様をもてなす際は、二汁五菜など汁物と菜食の組み合わせが基本となります。精進料理の極意は、旬な野菜をバランスよく、多くの種類を使うことだそうです。単に肉や魚を使わないだけでなく、旬の野菜の命を大切にし口にするからには無駄なく頂く。この精進料理の自然体の心こそが、生活習慣病予防に一役買う健康で長生きの秘訣のようです。修行の世界には、「食事は心の修行」という言葉があるように、我々も日頃から食生活には気を配る必要があります。

 次に、全国的に商店街の空洞化が進み、中心市街地の活性化が課題とされるなか、“健康”を前面に打ち出した商店街の取り組みを紹介していきます。静岡県富士市の富士駅周辺にある商店街が「富士健康印商店会」を立ち上げて、約100店舗が参加して取り組んでいます。富士健康印商店会の設立趣旨を見ますと、健康印とは、からだの健康だけでなく、こころの健康にも着目し、子どもからお年寄りまで幅広い事業を展開していくとしています。参加する各店舗が「健康」をキーワードとした逸品やサービスを提供する個性あふれる街、そして市民の皆様で賑わい、誰もがいきいきと暮らせる世代を越えたコミュニティの場を商店会として提供し、人にやさしい活気ある街を目指しています。

 富士健康印商店会では、各店舗を「健康な生活」「おいしい生活」「安心生活」「心の栄養」「楽しい生活」「おしゃれな生活」の6つに分類して逸品、サービスを紹介しています。また、まちがキャンパスということで、健(ケン)ブリッジ大学を店主が講師になって、地域の方々に健康をテーマに講座を行っています。1講座受講すると1単位取得でき、12単位取得すると修了証書と記念品がもらえる仕掛けもあります。ちなみに化粧品店の店主が「お肌の学校」、喫茶店の店主が「コーヒーは体にいいよ!おいしいコーヒーの入れ方」、薬屋さんの店主が「免疫(自然治癒力)とガン・アレルギー」など地域の方々に教えています。

 愛知県一宮市の商店街も“健康”をキーワードにした商店街づくりに取り組んでいます。有志の商店経営者らが中心となって「健康商店街研究会」を発足させて、名古屋市の中心商業地とは違う個性を出そうとしています。お店は基本的に健康の増進につながる商品などを扱い、健康に関する専門知識を持つ商店が、気軽に相談に応じるという街づくりを目指しています。月に2回、健康商店街研究会の会合を行って、健康をテーマにした商店街づくりの話し合いをしています。また、昨年の暮れには、一般公募して、健康商店街シンボルマークも決定しています。

 今回、エーザイのくすり博物館、薬用植物園、薬草園を見学して、薬品会社がつくる薬膳料理を食べて、その薬膳料理を紹介とともに“健康”というキーワードで考察してきました。私自身も反省することが多いですが、飽食の時代、グルメの時代と言われ、その反面、生活習慣病、その予備軍が増えている現状を踏まえ、食生活のあり方はじめ生活全般的な見直しが求められていると言えます。

 最後に、次回の視察レポートの予告も含め、健康であることが前提ですが、もし病気にかかった場合、必要になってくる薬の話で締めたいと思います。詳しくは、次回のくすり博物館を見学しての視察レポートの中で紹介しますが、最近、テレビや新聞で耳にするジェネリック医薬品をご存知でしょうか。ジェネリック医薬品は後発医薬品のことで、新薬(先発医薬品)の特許期間(20年〜25年)が切れると、他のメーカーも同じ成分、同じ効果の薬を製造することができます。それがジェネリック医薬品です。2006年4月1日から安価なジェネリック医薬品を患者さんが選ぶことが可能となりました。次回の視察レポートでは、薬の歴史を紐解きながらジェネリック医薬品についても触れていきます。お楽しみに!!

By Nagura

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