阪神・淡路大震災から11年目を迎えて、
防災について考察する

記:2006.1.11

 6,433人が犠牲となった阪神・淡路大震災から、2006年1月17日で11年目を迎えます。本当に地震はいつやっマンションの防災訓練てくるかわかりません。「災害は忘れたころにやってくる」とよく言われますが、まさにそのとおりの衝撃的な出来事が突然襲ってきます。皆さんの地震への“備え”は万全でしょうか。

 2006年1月6日の消防出初め式では、伝統のはしご乗り、放水はじめ、地震時の対応の訓練の模様がテレビで流れていました。消防出初め式は、1659年(万治2年)に江戸幕府の老中・稲葉伊予守正則が火消し隊を率いて、上野東照宮にて新年の気勢をあげたことが起源とされています。また、1月26日は、文化財防火デーです。1949年のこの日に、奈良・法隆寺金堂が出火し、金堂と壁画が焼失しました。これを契機に翌年には文化財保護法が制定され、1955年に文化財防火デーが定められました。

 当方の住んでいる愛知県では、東海地震・東南海地震の発生が危惧されています。1944年の東南海地震において、未破壊のまま取り残された空白域があり、東海地震はいつ発生してもおかしくないと考えられています。また、過去の記録から駿河・南海トラフ沿いでは、およそ100〜150年間隔でM8クラスの巨大地震が発生しており、東南海・南海地震は今世紀前半での発生が懸念されています。

 地震対策には、住宅・建築物の耐震性も課題となってきます。わが国の住宅ストックの約4分の1は耐震性不十分と推計されており、住宅の耐久性の確保は喫緊の課題となっています。また、昨年(2005年)は、悪質リフォーム問題やアスベスト問題、構造計算書偽装問題など、国民の住宅に対する信頼を揺るがす問題が数多く発生しました。居住者の安全と居住の安定の確保は必要不可欠なことです。

 さらに、国土交通省は、傾斜地などに盛り土をして人工地盤をつくる宅地造成に耐震基準を導入する宅地造成等規制法の改正案を今度の通常国会(2006年1月マンションの防災訓練)に提出する方針です。建物だけでなく、その建物が建っている地盤の耐震強度も高め、地震の被害を最小限に食い止める狙いです。基準をもとに全国の地方自治体がハザードマップ(災害予測地図)を作り、既存の危険造成地には改良工事を勧告・命令できるようにします。主要な道路や鉄道など公共インフラへの影響が特に大きい約1,000箇所については、国などの補助で優先的に補強を促す計画です。

 ここで少し宅地造成について、これまでの経緯等紐解いてみます。宅地造成とは、土地を建築物が立地しやすいように埋め立てるなどして、改良することです。列島改造ブームだった1970年代をピークに造成量は減少していますが、いまなお年7,000ヘクタール程度の新規造成が行われています。造成には、先ほどの改正案が提出される宅地造成等規制法や都市計画法で一定の規制がかかっています。大雨による土砂災害などを想定したものが中心となっています。

 宅地造成等規制法は農地や道路などの公共用地を除く住宅や商店、工場などの用地で、地方自治体が指定した地域が対象です。一定の基準を満たした場合のみ自治体の許可を得て造成工事ができます。2004年時点で約1万平方キロメートル(国土の約2.7%)が規制区域に指定されています。横浜市では、約6割にあたる地域が指定されていますが、中越地震で被害が出た新潟県内の指定はゼロでした。

 国土交通省は、専門家の分析などで、地震で危険にさらされる造成地が全国に1万3千箇所程度あるとみています。盛り土のマンションの防災訓練量や地形によって、震度6強の地震にも耐えられる技術基準を近く定めます。先ほど述べたように、宅地を造成するには、都市計画法に基づき自治体の許可を得る必要がありますが、耐震基準を満たさないと許可しない仕組みに改めます。自治体は現在の地形図と古い地形図を比較するなどして既存造成地のハザードマップをつくります。作成費用の3分の1は国が補助します。

 今回、画像では、私も参加してきました愛知県安城市中心市街地における防災訓練の模様を紹介しております。今回の防災訓練(2005年11月27日に訓練)では、高層マンションの避難訓練が行われました。前回の訓練の模様は、コラム「“防災の日”を迎えて地域防災について考える」で紹介しておりますので、併せてご覧頂けたらと思います。一番上の画像と上から2番目の画像は、高層マンションからはしご車で救出訓練の模様を写したものです。15、16階建てのマンションで、10階か11階くらいまではしご車が届いている様子が伺えます。

 上から4番目と5番目の画像は、担架で負傷した人を階段で降ろしている訓練の模様を写したものです。上から5番目の画像で、カーブをうまく回っている担架の様子を写していますが、この担架は、“棒のない布製の担架”です。棒が入っていないので、カーブもスムーズにまわることができます。前回の防災訓練の際は、今回のマンションより低いマンションで棒の入った担架でせまい階段等をまわるのに、たマンションの防災訓練いへん苦労して、かなり時間もかかった経験を踏まえ、今回の棒のない担架となりました。

 この画像上に見える黄色い“棒のない布製の担架”をどこかで見たことがあると思われた方もいらっしゃると思います。NHKのテレビ番組「ご近所の底力」でも取り上げられた東京都江戸川区のマンションで使われているものです。今回、ここの町内会でも購入を決めており、発注した段階で、まだ納入されてなく、画像で写っている棒のない布製の担架は、江戸川区のマンションから借りてきているものです。この担架は、主に自力では階段を降りられないお年寄りや負傷した人の救助に使います。普通の担架では、棒がつっかえて、取り回しがたいへんですが、この棒のない担架は、狭い非常階段で威力を発揮します。

 また、1,300世帯が暮らす東京都江戸川区の団地の取り組みにならって、今回の防災訓練では、「避難完了シール」も作って活用しました。これは、マグネット上に避難完了ラベル、電気、ガスOKと書かれており、通常はドアの裏側にマグネットになっているので、張り付けておきます。そして、地震が発生した際に、避難する時に、このマグネットのシールをドアの表側に張っていきます。ドアの表に張ってある人は避難された人と分かり、無事に避難できたかどうかが一目で分かり、救助を待っている人をいち早く発見できます。

 あと、東京都江戸川区の団地では、バール隊というものが結成されています。阪神・淡路大震災の調査では、マンショマンションの防災訓練ンのドアの3分の1が、地震直後に開けるのが困難になったそうです。閉じ込められた人を救出するバール隊は、ドアをこじ開ける「バール」や窓格子などを切断する「エンジンカッター」、窓を打ち破って中の人を救出する「掛矢(かけや):大型の木製ハンマーのこと」などを備えています。

 今回のコラムでは、住宅・建築物の耐震性およびその地盤についても焦点をあててきました。そして、隣近所の連携、常日頃からの近所つきあいの大切さから町内会の防災訓練の様子を紹介いたしました。それでは、最後に個人個人、ひとりひとりの備えを書いていきたいと思います。常日頃からの隣近所とのおつきあいを緊密にしていくことが前提ですが、その上で、個人の備えとして、最低3日間は生き延びるだけの水、食料など確保しておきたいものです。

 大地震後、本格的な救援活動が開始されるまでには、3日ほど要すると言われています。各自治体などでも、この間をしのぐための各家庭に非常用持ち出し袋などの常備を呼び掛けていますが、備えあればうれいなしですので、是非、実践して欲しいと思います。基本は、自分の身は自分で守るという心構えが必要です。そして、もしも大地震が起きたら、「あたりまえの日常生活」から一転して「不自由な避難生活」になります。もし大地震が起こったらどうなるのかという想定をイメージして、備えていくことが重要です。他人ごとではなく、自分の身に降りかかってくるという危機感というか創造力を持つことが大切と思います。

 その他、地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せていますので、一度ご覧いただき参考になさって下さればと思います。また、以前に、ある市の地域防災計画策定(地震対策編・一般対策編)に携わったことがあり、年2回、防災の日(関東大震災の起こった日)、阪神大震災の起こった日近くに、防災にちなんだコラムを今回同様に載せております。地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

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