観光振興大会2005in倉敷
“観光振興で地域力を発揮しよう!”に参加して

記:2005.11.20

 岡山県倉敷市で開催されました「商工会議所・観光振興大会2005in倉敷(2005年10月14日〜15日に開観光振興大会催)」に参加してきました。テーマは、「観光振興で地域力を発揮しよう!」「“現場”から学び、考え、感じる、ニューツーリズム」です。今回は、昨年(2004年)の栃木大会に続き、第2回目で、全国各地から商工会議所役職員はじめ、観光関係者、学生など1,500人以上が参加しました。ちなみに来年(2006年)は函館で開催されます。一番上の画像は、開会にあたっての倉敷管弦楽団による歓迎の演奏の模様を写したものです。

 2日間にわたり、基調講演、パネルディスカッション、交流会、産業視察・事例発表会などが行われました。まず、須田寛氏から「各地商工会議所における観光振興事業の現状と今後の方向性について」報告があり、その後、基調講演として大原美術館館長の高階秀爾氏から「光溢れる町―倉敷と大原美術館」の話がありました。

 パネルディスカッションでは、多摩大学教授の望月照彦氏をコーディネーター(パネリスト:高階秀爾氏、フリーアナウンサーの青山佳世氏、島津興業の島津公保氏)に「産業力・文化力・人間力が拓く観光創造」というテーマで、話し合われました。さらに、夜、倉敷チボリ公園で交流会が行われ、翌日は「まちづくりと観光振興」の視察が行われました。上から3番目の画像は、交流会の模様を写したものです。倉敷のまちの視察の模様は、視察レポート「歴史を伝え、芸術が息づく美観地区の倉敷市を訪ねて」で紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたら幸いです。

 今回、観光振興というフォーラムで、国が「観光立国」の実現を目指して、本格的な取り組みを開始しているなか、各地域においても様々な取り組みが見られます。アイビー学館観光人材育成という視点では、地域検定試験が相次ぎスタートしています。2003年から東京商工会議所が開始した「東京シティガイド検定」に続き、各地で地域検定試験を創設する動きが見られます。

 2004年4月から始まった「札幌シティガイド検定」、2004年12月に第1回目の試験を行った「京都・観光文化検定試験」では、1万人近い受験者が殺到して話題となりました。今年度(2005年度)は、「九州観光マスター検定試験」、市民ガイド育成を目指す「長崎検定試験」のほか、奈良、岡山、姫路、鹿児島などでも実施が予定されています。

 また、今回のフォーラムでは、ものづくりと観光を結びつけた「産業観光」の現地視察も2日目にコース設定されていました。新たな観光のあり方として近年にわかに注目を浴びているのが「産業観光」です。フォーラムにおける見学会では、岡山県内にある水島コンビナート、三菱自動車水島製作所、JFEスチール西日本製鉄所の見学が設定されていました。

 当方は、他の分科会の倉敷美観地区を巡る「地域文化と観光振興」に参加したので、工場見学はしてきておりませんが、水島コンビナートは、瀬戸内海沿岸に広がる全国的にも有数の臨海工業地帯です。総面積2,503ヘクタールの敷地に、約260の大小様々な事業所が集積しています。石油精製、観光振興大会鉄鋼生産、石油化学・鉄鋼関連化学、自動車、電力などを中心として、日本を代表する企業の主力工場が立地し、現在も発展を続けています。

 ここでは、最先端技術と最新鋭設備による生産工程の見学はもちろんのこと、環境保全や循環型社会形成に向けた取り組み、また動脈から静脈へとつながるものづくりの流れなどについて、幅広く学ぶことができます。また、水島コンビナートの夜景は大変美しく、昼間の工場群との対照がまた一つコンビナートの魅力になっているようです。

 産業観光という観点では、私自身以前にものづくりに関わっていたこともあり、関心も高く、ものづくりのメッカの愛知県に住んでいるということでこれまでコラムや視察レポートで紹介してきております。2005年7月に愛知県名古屋市で開催された「産業観光国際フォーラム・TICCIH(国際産業遺産保存委員会)中間会議2005in愛知・名古屋(2005年7月6日〜8日に開催)」にも参加してきました。その時の模様は、コラム「産業観光国際フォーラムin愛知・名古屋2005に参加して」視察レポート「ものづくりのメッカ“愛知の産業観光”を訪ねて」で紹介しておりますので併せてご覧頂けましたら幸いです。

 当方が参加した分科会の倉敷美観地区を巡る「地域文化と観光振興」における“産業観光”という視点では、倉敷アイビースクエア内の倉紡記念館、アイビー学館など視察してきました。倉敷アイビースクエアのアイビー学館敷地は、以前は、倉敷紡績の工場でした。クラボウの発祥の工場で、明治22年に建築されたものです。倉敷アイビースクエアには、ホテル、レストラン、工房、資料館など多彩な施設が入っています。視察した時は、結婚式も行われていました。上から2番目と4番目の画像は、倉敷アイビースクエアの中心的存在の広場を写したものです。常緑の冬蔦と紅葉する夏蔦が赤レンガに映えて、四季折々の表情を見せてくれます。また、この広場は、地下の伝声管を通して絶えず流れてくるBGMも快適です。

 倉敷アイビースクエア内にあるアイビー学館では、西洋絵画の誕生から抽象絵画への流れを解説する「近代絵画の動向とその展開」コーナーと吉備路を紹介する「吉備国の残照」コーナーを展示しています。倉紡記念館は、昭和44年3月、クラボウの創立80周年の記念行事のひとつとして建設されました。クラボウは、明治21年倉敷紡績所として創立されました。初代社長には、大原孝四郎が就任し、翌22年に、江戸時代の倉敷代官所跡地に当時としては最も近代的な紡績工場が操業を開始しました。大原一族の倉敷の貢献については、視察レポート「歴史を伝え、芸術が息づく美観地区の倉敷市を訪ねて」で載せていますので併せてご覧下さいませ。

 クラボウは、私が住んでいる愛知県安城市にも工場があり、子どもの頃、工場見学に行った記憶が残っており、親しみがあります。安城工場は、敷地の一部がショッピングセンターになりましたが、今でも工場がありますアイビー学館。倉敷アイビースクエア内にある倉紡記念館には、わが国紡績産業の時代の移り変わりを背景に、クラボウの歩みが写真・模型・文書・絵画などによって綴られています。歴史を顧みることは、未来への礎・・・操業以来クラボウに貫かれているこんな考えが生んだ記念館です。

 上から5番目の画像は、倉敷アイビースクエア内にあるアイビー学館の内部を写したものです。画像に見える上部の三角屋根が、当時の工場の面影を残しています。戦後繊維産業は、大きく様変わりしました。好況と不況を何度も経験しながら、絶えず技術の革新に挑み、国際的な競合の中、独自の素材や製品の開発に努力してきました。現在のクラボウは、綿合繊・羊毛などの繊維にとどまらず化成品、エンジニアリング、エレクトロニクス、バイオメディカル、人材開発、不動産などの分野へ活動領域をひろげています。

 今回、倉敷で観光振興大会が開催されましたが、倉敷市そのものも観光客がピーク時の3割減と苦戦が続いています。「観光都市」と呼ばれるところが観光客に伸び悩む背景には、観光都市というイメージにあぐらをかいている状況や地元の人が地元のことに予想外に関心をもっていないことが往々に見られます。“地元の人たちのおもてなしの心”が大切なのでしょう。日本の観光は行政主導型が多いですが、地元の人材を地域力として活用していくことが必要となってきています。そして、従来の観光では単に眺めることが多かったですが、“産業観光”は自ら学び、何かやってみることが中心で、「学習」「体験」「見物」の三位一体の観光と言えます。地域の人々のおもてなしの地域力、そして新たな地域資源を生かす産業観光という視点など多彩な資源を生かしながら多くの地域で新たな観光を目指していって欲しいと思っております。

By Nagura

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