’97アメリカ流通業視察を終えて

記:1997.10.10

 先日、シカゴ、ミネアポリス、ロサンゼルス、ラスベガスにアメリカ流通業の実態を見るために視察流通視察 イメージに行ってきました。アメリカの流通業は本当にダイナミックに動いています。消費者にしっかり目を向けた新しい業態が次々と生まれており、中には失敗に終わるものもありますが、失敗をも実績とみるアメリカ社会の風土に強さがあるように感じられます。企業論理ではなく、消費者論理で展開されているところが、強さゆえんでしょう。個々の店舗については、視察レポートにて詳細が述べてありますので、ご参照下さい。

 アメリカの消費者の選択の幅は、どんどん広がっています。さまざまな商品をリーズナブルな価格で選べ、サービスを受けることができます。うらやましい限りです。しかし、このような状態になったのは企業側の努力だけでなく、それだけアメリカの消費者の商品に対する厳しい目を持っていることも背景にあると思われます。これだけ選択肢のバリエーションが増えれば、消費者もそれだけの情報、知識がなければ、有効活用は行えません。日本でビッグバンによっていろいろな業界で規制緩和が行われていますが、サービスが多様化する中でよりよい選択をするためには、消費者側の勉強も必要になってきます。逆に言えば、規制緩和が強い、賢い消費者をつくり出すとも言えます。消費者のレベルがアップしていけば、各業界も企業論理だけでは商売はできなくなり、より消費者のニーズに基づいた展開がされていきます。

 ここで、価格面と品揃え面からみた消費者の動向の違いを少し述べます。価格面で見ると、シカゴのダウンタウンにおいて、土曜日の午後、人があふれんばかりに出ているというのに、高級品を扱うデパートメントストアは人はまばらですが、常時30%〜70%で買える余剰処分品などを扱うオフプライスストアは込み合っています。日本でもまあ同じ傾向なのですが、どうも人の数が極端過ぎるように見受けられました。完全に2極化が進んでいるようです。また、品揃えという面で見ると、ディスカウントストアにおけるウォルマートとKマートにおいて価格はあまり変わらないにも関わらず極端な差が見られました。品揃えが充実しているウォルマートには人がけっこういますが、空いている棚がまばらにある(欠品率が多い)Kマートは、それほど人も入っていません。ちなみにKマートの名誉のために言っておきますと、食料品を加えた新しい業態の「スーパーKマート」は、品揃えも充実しており込み合っていました。新しい業態の方に転換を図っているのでしょう。同様にウォルマートも新業態「スーパーセンター」の出店に加速がついています。

 最後にCS(顧客満足)という点から見ていきます。ノードストロームの徹底した顧客サービス、ウォルマートの徹底した返品返金ポリシーなど目をみはるものがあります。実際、私もノードストロームで靴を購入し、徹底した顧客サービスを体験してきました。詳細は、視察レポート「ノードストローム」の項で述べてありますので、ご参照下さい。CSとはカスタマー・サティスファクションの頭文字をとったものです。このカスタマーに対するサービスが徹底しているのがこの2社に見られるようなアメリカ流通業界の強さのように思えます。日本においては、カスタマー(顧客)とコンシューマー(一般大衆)という認識がごちゃごちゃになっているように思えます。日本におけるCSはカスタマーサービスではなく、コンシューマーサービスになっていることがいまひとつ消費者に伝わらないところかも知れません。一見、コンシューマー(一般大衆)への公平なサービス(商売)は正しいように思えてしまうのですが、大ぶろしきを広げたようなサービス(商売)は、逆に消費者には利用しずらい店となってしまいます。特に消費者のレベルがアップすればするほど、魅力の感じられない店は淘汰されていきます。ここでいうカスタマーサービスというのは、けっして高額の商品を買ってくれるお客さんのことではなく、いつも、繰り返し、来店してくれるお客さんのことです。

 今回の視察では、40店舗以上みてきましたが、流行っているところ、流行っていないところというのがけっこうはっきりしていました。新しい業態が突然でてきて、トップを塗り変えてしまうこともあるほど活況に満ちているアメリカ流通業界です。消費者ニーズをしっかりつかんでいなければ、淘汰されていってしまう厳しい競争社会です。日本においても、ようやく価格の安さという一辺倒から脱却しつつあります。価格は割安で、なおかつ品質、品揃えの充実が求められてきています。これからが本当の生き残りをかけての闘いがはじまります。消費者の視点にたった基本理念がしっかりしているところが消費者の大きな支持を集めることでしょう。これからが楽しみです。

By Nagura

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