産業観光国際フォーラム
in愛知・名古屋2005に参加して

記:2005.8.1

 愛知県名古屋市で開催されました「産業観光国際フォーラム・TICCIH(国際産業遺産保存委員会)中間会議2005in愛知・名古屋産業観光国際フォーラム(2005年7月6日〜8日に開催)」に参加してきました。名古屋商工会議所などで構成する産業観光国際フォーラム実行委員会が主催するアジア初の産業観光関連の国際会議です。日本を含む18カ国から約600人が参加しました。一番上の画像は、フォーラムの模様を写したものです。

 愛知県が推し進めてきました産業観光という言葉も徐々に浸透しつつありますが、6年前のコラムで産業観光に触れたことがあります。その時のコラム「中部地方の産業遺産・産業観光を考察する(1999年9月23日)」も合わせてお読み頂けましたらと思います。また、愛・地球博(愛知万博)とともに、入場者数が増えている産業観光の拠点とも言える産業技術記念館も5年半程前に視察した視察レポート「ものづくりの心を伝える産業技術記念館(2000年1月29日)」も合わせてお読み頂けましたらと思います。産業技術記念館は、開館10年を経て、愛・地球博と相まって産業観光の拠点として、ようやく脚光を浴びつつあるように感じています。

 産業観光国際フォーラムは、愛・地球博(愛知万博)の協賛として産業観光の多い愛知県で開催されました。フォーラムは、基調講演、パネルディスカッション、分科会、そして、実際に、産業観光施設視察会、愛・地球博視察会がオプションで設けられていました。

 ざっと言葉を拾ってみますと、神田愛知県知事はあいさつのなかで、産業観光は愛知万博後の主要な柱としたいと述べています。また、基調講演した望月有松しぼり実演多摩大学教授は、中部は基礎から先端に至るまで技術の集積地と評価した上で、各観光施設の受け入れの確立が必要と指摘しています。国際産業遺産保存委員会(TICCIH)のスチュアート・スミス事務局長は、イギリスの炭鉱遺跡が世界遺産の登録を目指す試みを紹介し、日本でも世界に向けたアピールが必要と指摘しています。

 産業観光という視点には、今の旬な“ものづくり”を魅せるということも「産業遺産」とともに重要と思います。ものづくりのメッカである中部地区、愛知県だからこそできる強みを生かすことが重要と思います。今回の産業観光国際フォーラムにおいて、様々な発表を聞いていて、どうも産業遺産に関する話題が多く、一見するとマニアックな部分に入り込んでいるのかなという印象も受けました。産業観光という視点で、多くの人々に訴えていくには、マニアックな学識的なものだけでなく、もっと“楽しさ”とか“おもしろさ”などの視点が欲しいと感じた次第です。

 産業遺産を紐解きますと、産業の発展に重要な役割を果たしてきた機械や道具、装置、土木建造物、建築物図面、写真などさまざまなものを指します。人類の歴史のなかで、重要な役割を果たし、現在の日本のものづくりの礎となったものだけに、産業遺産に触れることは大切なことです。その上、産業遺産と今の旬なものづくりのミックスというかバランス感覚が重要になってくると思っております。マニアックな一部の市場になってしまうか、広く受け入れられる市場として発展していくかは、バランス感覚がキーワードになるだろうと思います。このバランス感覚のキーワードになるのが“まちづくり”という生活感覚の視点だろうと思います。産業遺産に、今の旬なものづくりの世界、そして、そこに“まちづくり”という要素を取り込むことで、市場性のある本来の「産業観光」に育っていくのではないかと私は考えています。

 また、上から2番目の画像は、今回のフォーラムに合わせてロビーで実演していた400年の歴史を誇る尾張(名古屋)の伝統工芸・有松絞りをしている方を写したものです。このような素晴らしい伝統を後継に伝えていきたいものです。有松絞りについては、コラム「400年の歴史を誇る尾張(名古屋)の伝統工芸“有松絞り”を考察する(2003年3月2日)」視察レポート「宿場町・有松(1998年10月19日)」のなかでも触れていますので、合わせてお読み頂けましたらと思います。

 最後に愛知県における産業観光をビジネス化しようという最新情報を二つ紹介いたします。中部電力や産業遺産の画像処理を扱うエイ・ワークスなどが名古屋商工会議所と組んで産業観光の共同コンソーシアム「インダストリアルツアーCLUBサービス機構」を設立しました。利用者と施設運営者を募り、有料のクラブ会員制度を作る計画です。工場見学などを活用するビジネス客を中心とした利用者は情報や特典を得ることができ、施設側は単体では難しい国内外に向けた大規模な広告・宣伝を展開できます。まずは、中部地区の産業施設をデータベース化し、2005年11月をめどにホームページを立ち上げるそうです。

 もう一つは中部国際空港・セントレアの取り組みで、空港会社や産学連携の知多ソフィア・ネットワークなどが中心となり、万博閉幕後から知多半島の産業観光施設を中心としたツアーを開催します。本来は空港の乗り継ぎ客向けですが、一般客の取り込みも狙っています。国土交通省の事業では半年間の計画ですが、採算重視の設定にして継続する方向で検討しています。

 中部国際空港・セントレアの開港、そして、愛・地球博(愛知万博)の開催と中部地区の産業観光がようやく離陸の状態を迎えているように思います。施設が整ってきて、ツアーなどのモデルコースも設定されてきており、これからはさらなるPRと行って楽しかった、おもしろかったと思って頂けるような中身の充実、ソフト力、おもてなしなどがさらに必要になってくるだろうと思います。それには、産業観光を体験した人の声を生かすことが大切なだけに、皆さんも産業技術記念館、ノリタケの森、有松・鳴海絞会館、トヨタ博物館、博物館酢の里、瀬戸蔵ミュージアム、愛知県陶磁資料館など訪れてみてはいかがでしょうか。従来と違ったユニークな試みも随所でされ始めています。

By Nagura

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