見直し議論が高まっている
まちづくり3法について考察する

記:2005.7.1

 まちづくり3法の抜本改正に向けた動きが活発化してきています。まちづくり3法とは、中心市街地活性化法、改正都市計画法、見直し議論イメージ大規模小売店舗立地法の3つのことを指します。見直しの背景には、これまで様々な施策を打ってはきているものの、全国的に中心市街地がさびれ、コミュニティが衰退し、治安や青少年問題が深刻化しつつある現状があります。中心部の人口減少による中心市街地の空洞化、大型商業施設や公共施設の郊外立地・移転などに伴い多くの都市で空き店舗が増加し、シャッター通りという言われ方もされています。

 まず、まちづくり3法をかいつまんで説明します。中心市街地活性化法は、1998年7月に施行されたもので、中心市街地における市街地の整備改善および商業等の活性化の一体的推進に関する法律です。流れ的には、商工会議所や商工会などを交えた第三セクター方式で設立される「タウンマネジメント機関(まちづくり機関/TMO)」が、事業計画を立案して適用申請を行います。そして、国の認可が下りると、土地区画整理、市街地再開発、大型商業施設の建設・運営、駐車場の整備、空き店舗の活用などの活性化の各事業に対し、各省庁が補助金を集中的に投じるというものです。タウンマネジメント機関、いわゆるTMOの状況はのちほど紹介します。

 改正都市計画法は、1998年11月に施行されたもので、一言で言うと、従来の都市計画法に、市町村が地域の実情に即して独自の判断で、土地の用途規制を行える地域が追加されたものです。従来の12種類の用途地域に上塗りする形で「特別用途地域」を定め、その特別用途地域でのゾーニングが可能となりました。ゾーニングを市町村にゆだねた特別用途地域には、商業地に大型店の立地を規制する「中小小売店舗地区」、住宅地に大型施設の立地を制限する「特別住居地区」、準工業地域に大型施設の立地を制限する「住工共生地区」、沿道沿いに中小小売店を集中的に配置する「沿道業務機能地区」などがあります。

 大規模小売店舗立地法(大店立地法)は、2000年6月に施行されたもので、大規模小売店舗法(大店法)の廃止に伴って新たに制定されたものです。これまでの大店法が、開店日、店舗面積、閉店時間、休業日数などの営業規制を行うものだったのに対し、大店立地法は、周辺の交通、騒音、廃棄物処理、駐車・駐輪などの社会環境的な視点で規制していこうというものです。店舗面積が1,000平方メートル以上のものを法の対象にしています。

 私自身、ものづくりの世界からまちづくりの世界へ飛び込んで10年経ちますが、いろいろな中心市街地の商店街を見てきて、もちろん本当に努力してうまくいっているところもありますが、なかなかあの手この手の国の施策がうまく反映していないところが多いように思います。その一つの要因として、中心市街地商店街の活性化について、これまでは中心市街地の範囲内だけでいろいろと対策を考えてきているように感じられます。その結果、いくら闇雲にイベントを打っても、空き店舗対策に多額の投資をしても、なかなか市街地再生につながっていないのが現状と思います。中心市街地というのは、「周辺」があってこそ、はじめて「中心」になるのであって、周辺との連携が重要と考えています。

 中心市街地の活性化において、周辺の「農業」なり、「学校(大学など)」など地域を巻き込んでいくことが重要であり、私が目指しているまちづくりは、商業と農業と学校が連携したまちづくりです。そのなかでも「農業」がつなぎ役として重要で、“農”がまちが救うという視点を私は持っています。さらに、私が進めているのは、商店街が主導となって地域住民を巻き込んでのコミュニティ(地域)ビジネスの展開です。コミュニティ(地域)ビジネスに関しては、これまでコラム等で紹介してきていますのでコラム「コミュニティ(地域)ビジネスがもたらす地域活力というテーマで講演を行って」も併せてお読み頂けましたら幸いです。

 私の考え方は横において、まちづくり3法の運用状況を2005年5月20日に発行された2005年版中小企業白書の中(143ページ〜159ページ)で検証しています。3法それぞれ検証内容を抜粋しますと、中心市街地活性化法は、法施行から6年間過ぎた2005年1月31日現在で、国の基本方針に基づき作成された市町村の基本計画は652件となっています。また、同法に基づく中小小売り商業高度化事業の「タウンマネジメント機関(TMO)」認定済み構想は356件、認定済み計画数は195件となっていますが、その進捗状況・成果にばらつきがあると検証しています。

 大規模小売店舗立地法(大店立地法)については、1000平方メートル以上の大規模小売店舗の届出件数で比較すると、大店立地法が施行された2000年度は届出件数は減少したが、2001年度以降、届出件数は年々増加してきているものの旧大店法時代の年間約1000件のレベルには達していないと検証しています。

 都市計画法については、大型店を規制している特別用途地区は8地区(2004年3月末現在)であり、特定用途制限地域は10地域(2004年9月末現在)とデータを示し、京都や金沢の事例を載せて、まちづくり条例による商業施設の立地誘導など自治体独自に取り組みが出始めているという程度の表現に留めています。このデータにおいて十分活用されているかどうかの記載までは及んでいませんでした。白書では、特に課題等について記載がありませんでしたが、農業との連携を考えた場合、都市計画法の前に農業関係の「農振法」や「農地法」などの縛りが出てきます。また、地方の独自性を打ち出す上で、現在、開発許可などは市町村が行いますが、計画自体は都道府県が担うといった状況もあります。このあたりも今回見直し議論の動きになっています。

 まちづくり3法の見直し議論のきっかけをつくったのは、中小企業団体ですが、その後、自民党のまちづくり3法見直し検討ワーキングチームの始動、大店立地法指針の見直しを検討していた経済産業省所管の審議会の専門調査会が3法見直しに言及し、国土交通省などもまちづくり対策の検討に入っています。そのなかの多くの指摘が、現行のまちづくり3法では、多面的な取り組みがしにくいという点です。先程申し上げましたが、中心市街地は、「周辺」があってこそ、はじめて「中心」になるのであって、まさに、複合的、広域的、多面的な柔軟性のある法体制が望まれているのだと思います。

 最後に、まだ、抜本的な見直しまでは至っていませんが、大規模小売店舗立地法の改定指針のポイントが告示されましたので、ポイントを紹介します。大型店設置者は社会的責任として、生活環境保持のため、適切な対応を行う必要性を明記しています。景観法の制定に伴い、同法に基づく景観計画および景観地区ではその内容に建築計画を合致させることを追記しています。地域の防犯や青少年の非行防止の対策への協力が期待され、適切な照明の設置や警備員の巡回などの配慮を行うことが望ましいことなどを規定しています。

 これからまちづくり3法の見直しの動きがより活発化していきますので、新聞、テレビなどを注意深くみて頂いて、どのように変わっていくのかご覧頂けたらと思っております。その際のキーワードは「多面的」な要素がどこまで盛り込まれるかという視点で見て頂けたらと思います。次世代に引き継がれていく“まちづくり”の大きなターニングポイントになるのではないかと期待しつつ、私も見守っています。

By Nagura

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