環境コミュニティ・
ビジネスモデル事業について考察する

記:2005.4.3

 三河湾を望む愛知県吉良町で行われました環境コミュニティ・ビジネスモデル事業の地方会議(平成17年2月11日)に参環境コミュニティ・ビジネスモデル事業加してきました。環境コミュニティ・ビジネスモデル事業には、別名「企業・市民等連携環境配慮活動活性化モデル事業」とついており、経済産業省の事業です。この事業は、平成15年度から始まり、当方が参加してきました吉良の研究会は、平成16年度の発表会と言えるものでした。今回発表された平成16年度に採択された三河湾でのエコ・コミュニティ研究会(愛知県西尾市)の取り組みは後ほど詳しく紹介いたします。

 まず、経済産業省の環境コミュニティ・ビジネスモデル事業について紹介いたします。事業の背景には、環境問題に対応した持続可能な社会の構築が差し迫った課題になっている中、企業のみならず市民、行政等のあらゆる主体が相互に連携・協働して問題の解決を図っていくことが不可欠になっていることがあります。しかしながら、このような企業、市民等の連携した環境配慮活動は、まだ自立的に発展する状況にはなく、また連携のチャンスやルートも限られている現状を踏まえて、経済産業省が支援に乗り出したのが今回の事業です。

 経済産業省では、企業、NPO、市民等が連携して地域の抱える環境問題を解決し、環境に配慮したまちづくりを行う「環境コミュニティ・ビジネス」を発掘し、その展開を支援する目的として平成15年度から行っています。平成17年度も引き続き継続されていますので、既に活動されていらっしゃる方やこれから取り組もうとされていらっしゃる方は、経済産業省のホームページで公募要件等ご確認(平成17年度の公募締めきりはまもなくの4月11日です)されたらいかがでしょうか。地域の関係主体である企業・市民等が連携して実施する「環境コミュニティ・ビジネス」の立ち上げに係るソフト的な基盤整備や事業展開に必要な準備作業等を公募対象としています。

 平成15年度は、全国から9つのモデル事業が採択され、平成16年度は、さらに増えて15のモデル事業が採択されました。今回の三河湾を望む吉良での地方会議では、平成16年度に採択されたエコ・コミュニティ研究会の取り組みを聞いてきました。エコ・コミュニティ研究会は、愛知県西尾市に拠点をおくNPOで、ノリ養殖に使った網をさまざまな用途に再利用してもらおうという環境活動をしています。愛知県の三河湾沿岸部では毎年、使い古された大量のノリ養殖用の網が廃棄されています。エコ・コミュニティ研究会は、廃棄されているノリ網に着眼しました。ユニークなのは、海の産業廃棄物の活用を広げることで、山間部と海、都市の市民活動と漁村を結び合わせようという発想です。

 ノリ網はナイロン製で、縦1.2メートル、横18メートル(網目は12センチメートル四方)あり、機械で巻き上げるため傷みやすく、3年ほどで使えなくなります。衣崎漁協では約4万枚のうち2割ほどにあたる約8千枚を毎年、廃棄処分しているそうです。2004年3月、これを知った豊田高専(当時)の石川さんが中心となって、フリーターや主婦らと共に環境リサイクル事業を目指す研究会を結成したのが始まりです。そして、地域の課題を連携して解決することを目指して、廃棄されるノリ網の再利用に乗り出しました。

 衣崎漁協の協力を得て、ノリ網約2400枚を回収し、石川さんたちがノリ網の破れを繕ったり、汚れを取り除いたりして、2004年8月からインターネットを使って販売を始めました。新品のノリ網は1枚2千円〜3千円しますが、エコ・コミュニティ研究会では、一般向けには1枚千円で、NPOが仕入れる場合は半額の500円に割り引いています。資金難に悩む全国のNPOに販売を仲介してもらうことで、新たな交流が生まれ、収益金を活動費の一部に充てることもできるように工夫しています。2005年1月までの半年間で約300枚の再利用したノリ網を販売しています。

 どのようなところが購入して、どのような使われ方をしているか少し紹介いたします。今回、吉良での地方会議では、エコ・コミュニティ研究会からノリ網を購入されて活用されている団体も招かれていました。なんと購入された北海道の岩見沢市からNPO「薔薇香る癒やしのまち岩見沢」代表の西方さんがいらっしゃっていました。薔薇香る癒やしのまち岩見沢では、岩見沢市内のリンゴ園の害獣防除用として20枚を購入して、エゾシカ対策に使ってもらっているそうです。そうしたところ、これまで周囲に渡らせていた針金の間をシカがするりと通り抜けていたのが、ノリ網で囲うことで入ってこなくなったと効果が表れているということです。また、2月に開かれた雪祭りの光のイルミネーションにノリ網を活用したそうです。光のイルミネーションの回廊をノリ網でつくったところ、来場者も喜んでくれて、なおかつ網だと電球の取り付けもしやすかったそうです。

 その他、使われ方として、北海道同様のイノシシを畑に近づけない害獣被害目的以外に、スキー場の防護ネットとしての利用、ドックラン(犬の公園)の囲いとしての利用、つる植物の栽培やベランダの鳥よけなど、都市部での需要も生まれてきています。

 今回の環境コミュニティ・ビジネスモデル事業における吉良の地方会議で素晴らしいと感じたのは、発表者のエコ・コミュニティ研究会、主催者の経済産業省はじめ、ノリ網を購入された団体、そして、ノリ網を提供している衣崎漁業協同組合の方々が一堂に集まった点です。衣崎漁業協同組合からはなんと9人も参加されており、ノリ網の再利用への期待の高さが伺えました。

 事業として、きっかけづくりというか、軌道になるまでは、なかなか採算がとれない事業だけに、補助金は生きたお金の活用として良いと思いますが、ゆくゆくはエコ・コミュニティ研究会と衣崎漁業協同組合が連携しておこなっていく事業として一本立ちしていって欲しいと思っております。NPOのエコ・コミュニティ研究会の取り組みに衣崎漁業協同組合が積極的に加わっていくことで、さらに新たな連携を超えた融合が生まれ、経営の安定化や販路も広がっていくことと思います。素晴らしい取り組みなだけに、これからの飛躍を楽しみにしております。

By Nagura

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