“防災の日”を迎えて地域防災について考える

記:2004.9.1

 本日9月1日は、「防災の日」です。この日は80年以上も前の1923年9月1日に関東大震災が起きています。関東大震災(マグニチュー安城市防災訓練ド7.9)は、東京、横浜を中心に死者・行方不明者あわせて14万人以上の被害を出しています。

 上から3つの画像は、つい先日(2004年8月28日)愛知県安城市中心市街地で行われた安城市総合防災訓練の模様を写したものです。防災訓練の目的として、「人命を守ること」「地域で守ること」が掲げられていました。災害発生時にもっとも重要な戦力となる地域の自主防災組織やボランティア団体を中心に、より現実に即したかたちで行われました。今回初の試みとして、常に変化する実際の災害状況を想定した避難訓練や自主防災組織主体の炊き出し、消火、救出、救命訓練など従来になかったメニューも増やしてより実戦に役立つものが取り入れられていました。

 安城市総合防災訓練では、町内会を主とする自主防災組織やボランティアなど多数の方が参加されていました。本日のコラムでは、そのような“地域防災”という視点に焦点をあてて、考えていきたいと思っております。中央防災会議の「民間と市場の力を活かした防災力向上に関する専門調査会」は、2004年8月25日に企業や地域防災のあり方について提言を行いました。

 少しその中の“地域防災”における提言部分を紹介します。まず、地域が防災コミュニティを整備する際などに「官民の連携が必要」としています。市安城市防災訓練民や商店、行政などが連携し、災害に強いまちづくりをするうえでの環境整備が必要と指摘しています。官民合同でまちづくりや非営利組織(NPO)活動への行政などの支援策を有効活用できるようなガイドブックを作製、その上で、防災の取り組みがビジネスとして成り立つような仕組み作りが急務としています。

 上記の中央防災会議の提言で、“防災の取り組みがビジネスとして成り立つような仕組み作りが急務”としていますが、2年前から商店街で行われている「震災疎開パッケージ」というユニークな取り組みがあります。2年前に書いたコラム「講演「〜今、コミュニティビジネスが面白い!」を聞いて」のなかでも少し紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。

 「震災疎開パッケージ」は、東京の商店街の早稲田商店会が開発したものです。開発したきっかけは、阪神大震災で被害を受けた神戸の長田商店街の人が早稲田商店街を訪れたことだそうです。そして、今や、「震災疎開パッケージ」という商品が全国の商店街に広がりつつあります。阪神大震災を教訓に、商店街が購入者にいざという時の疎開先を保証する一種の“地域保険”です。商店街にとっては、活性化につながり、消費者にとっては疎開先との交流が生まれる点が好評のようです。震災疎開パッケージは、早稲田商店会が事務局となる全国商店街震災対策連絡協議会を立ち上げて知り合いの商店街に働きかけ、北は山形から南は宮崎まで全国18の商店街に販売が広がっています。また、疎開先も長野県飯山市や新潟県入安城市防災訓練広瀬村など10カ所が名乗りをあげています。地元の民宿や温泉旅館などが受け入れています。

 また、震災疎開パッケージの仕組みがユニークです。住民は、商店街が販売する震災疎開パッケージを5,250円(税込み・中学生以上、小学生以下は3,150円)で購入します。保証期間の1年間に地震や噴火、津波を原因とする震災が発生した場合、疎開先として協力を申し出た地域に行く交通費と滞在費計30万円(小学生以下15万円)が保証されます。また、商店街は震災時、住民の安否確認もして親族に伝えます。ユニークなのが震災が発生しなかった時です。震災が発生しなくて、翌年また震災疎開パッケージを更新すれば、疎開先からりんごやお米といった名産品3,000円分が届けられます。実質2,000円の掛け捨てで、震災の時に保証されるわけです。商店街側は料金の中から保険料を支払い、損害保険会社に震災時の費用を出してもらう仕組みです。

 阪神大震災で一時的に神戸市外に疎開した人は約4万人と推定されています。また、知り合いのいない災害復興住宅への入居を余儀なくされ、自殺も含めて孤独死した人は百人以上にのぼると言われています。商店街が開発した震災疎開パッケージは、震災時の地域コミュニティー維持の大きな力になることと思います。また、震災疎開パッケージを通して、常日頃から商店街と地域住民の結束が高まり、商店街の活性化にもつながっていくことと思います。

 常日頃のコミュニティづくりが、いざ地震が起こった時に発揮されます。上から2番目の画像は、安城市総合防災訓練における町内会の自主防災組織の方々が避難された様子を写したものですが、ここの町内は、町内会における役員、婦人部、子供会などのコミュニティがうまくいっています。8月にあった安城七夕祭りでも、町内挙げて露店を出すなど息の合ったところが見られました。

 常日頃のコミュニティづくりとともに、クルマの両輪のように大切なのが、“防災意識”です。地震発生を防ぐことは自然現象なので無理ですが、私たちひとりひとりが、地震に対する認識を確かなものにすることで、被害をずいぶん軽減することはできます。防災訓練は、まさに頭だけでなく体を使った“防災意識”の向上につながります。「のど元過ぎれば・・・」と言われるように、まだ記憶に新しい阪神大震災さえ忘れがちになっているのではないでしょうか。その意味でも、年に数回は、防災について考えることが必要と思います。

 ちなみに、私自身は、9月1日の防災の日と1月17日の阪神・淡路大震災の起こった日に防災意識の再認識を図っている次第です。皆さんもまずは、身近な家庭の地震対策から再認識されてはいかがでしょうか。本当に、地震はいつやってくるか分かりません。最後に、もう一度申しますが、常日頃からの防災意識と地域における良好なコミュニティーづくりが必要です。

 地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せていますので、一度ご覧いただき参考になさって下さればと思います。また、以前に、ある市の地域防災計画策定(地震対策編・一般対策編)に携わったことがあり、年2回、防災の日(関東大震災の起こった日)、阪神大震災の起こった日近くに、防災にちなんだコラムを今回同様に載せております。地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

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