“サービス介助士(ケアフィッター)”
の資格を受験して

記:2004.8.1

 サービス介助士(ケアフィッター)という資格をご存知でしょうか。5月からサービス介助士(ケアフィッター)の勉サービス介助士イメージ強を始め、つい先日の7月10日、11日の2日間にわたって大阪で、実技実習と検定試験を受けてきました。その合否は後ほどにして、サービス介助士(ケアフィッター)とはどのような資格なのか、時代背景も含めて紹介していきます。サービス介助士(ケアフィッター)は、お年寄りや体の不自由な人の介助について基本的知識や技能を身につける民間資格(日本ケアフィットサービス協会が2000年から認定を始めた資格)です。一言で言えば、高齢者や障害をもった方への“おもてなし”の心であり、きめ細かいサービスを行うための資格と言えます。

 サービス介助士(ケアフィッター)における“介助”という言葉を紐解いていくにあたって、“介護”という言葉がよく引き合いに出されます。まず、二つの言葉を辞書でひきますと、“介助”は「病人や障害者・高齢者などに付き添い、起居動作の手助けすること。介添え」で、“介護”は「病人などを介抱し、世話すること」と出ています。

 “介護”と聞くと、ホームヘルパーなどの資格が思い浮かぶのではないでしょうか。言葉として、“介護”が現れたのは戦後で、社会福祉行政、とりわけ生活保護行政の加算用語として「介護」が登場しました。日常生活に支障をきたす部分を公的に保障するものとして“介護”という用語が使われ、行政用語として次第に定着し、今日では一般的な用語となっています。

 “介護”と“介助”をまとめてみますと、介護は、医療に近く「残存機能の維持」を中心に構成されている概念で最低限の「日常生活動作(ADL:アクティビィティ・オブ・デイリー・リビング)」を保証するお手伝いとされています。それに対し、介助は、日常生活における自立援助など「生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)」の向上であり、すなわち個人がより良く生活するためにお手伝いすることが基本で、「排泄・入浴・食事」などのお手伝いはしないのが原則とされています。つまり、生活するにあたっての自立自助の支援ということになります。

 ここで、少しサービス介助士(ケアフィッター)の資格ができた時代背景をみていきます。1994年に「ハートビル法(高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」)が施行され、2000年に「交通バリアフリー法(高齢者・身体障害者移動円滑法)」、2002年に「身体障害者補助犬法」が施行されました。さらに、2003年にはハートビル法が改正され「改正ハートビル法」となり、1994年に決められたデパート、劇場、ホテルなどの不特定かつ多数が利用する建築物の範囲を、不特定でなくても、多数の人が利用する学校、事務所、共同住宅などの用途の建築物にも拡大されました。

 ハートビル法が建物などのハード面、交通バリアフリー法、身体障害者補助犬法は、生活の質を高める“おもてなし”ともいうべきソフト面であることがお分かり頂けると思いますが、サービス介助士(ケアフィッター)は、まさにソフト面の資格であり、交通バリアフリー法の施行に伴って、生まれてきた資格とも言えます。

 上記で、“バリアフリー”という言葉が出てきましたが、最近では、さらに一歩進んで“ユニバーサルデザイン”という言葉が聞かれるようになってきています。バリアフリーについては、以前にコラム「バリアフリーを考察する」で紹介しておりますので、併せてご覧頂けましたらと思います。ユニバーサルデザインへの流れを見ていきますと、バリアフリーは言葉の通り、障害(バリア)を取り除く意味合いで、ハード面ですと段差の解消などがそれにあたります。近年、バリアフリーという言葉は、障害のある人を念頭に使用されるあまり、逆に障害のある人の反発もあり、社会的な反省も含め、このことから誰もが使いやすいデザインを初めから目指すユニバーサルデザインという考え方および呼称が広がってきています。ユニバーサルデザインの根底に流れるものは「人間にはスタンダードはない」という考え方が基本にあります。

 上記のように、体の不自由な人や高齢者に対するバリアフリーの考え方をさらに進め、子供や健常者、外国人などすべての人が暮らしやすい「ユニバーサルデザイン社会」を目指す動きが加速しています。法律的な動きとしては、ハートビル法と交通バリアフリー法の2法を廃止して統合する形で、新法「ユニバーサルデザイン社会創造法案(仮称)」を来年(2005年)秋の臨時国会をメドに提出する方針でいるようです。

 サービス介助士(ケアフィッター)の背景はご理解頂けたと思いますので、次に資格取得までの流れを紹介します。取得者の傾向として、鉄道の駅員、百貨店の店員、ホテルの従業員、銀行の行員など流通・サービス業界での取得者が増えていますが、行政機関、専門学校、大学など教育機関、福祉施設などでも取得者が増えています。介助の基本理念や技術、身障者への接遇などを習得した人に資格が与えられる流れで、通信教育で約2カ月間学び、その後、2日間(12時間)の実技教習を経て、検定試験(100点満点で70点以上)に合格することが必要です。通信講座と受験代などすべて含めますと約4万円ほどかかりますが、会社側が勧める形で補助制度などもあり、2004年度末に資格取得者は、累計で約1万2千人になる見込みです。

 サービス介助士(ケアフィッター)の紹介をこれまでしてきましたが、私自身も5月に新聞記事で紹介されているのを見るまで知りませんでした。受験しようと思った動機は、今年度、ある商店街の委託職員という形で関わっており(これまで行政など通して、外部から商店街の活性化を行ってきておりますが、それはそれで必要ですが、それでは、ある意味限界があるという思いもあり、どっぷりと商店街の中に入って、商店主や地域住民とともに行う機会を得ました)、商店街挙げて、サービス介助士(ケアフィッター)を取得して、高齢者や障害をもった方に“おもてなし”のできるやさしい商店街づくりができないかと新聞記事を読んでふと思ったことです。商店主に勧めるにあたって、ただ単に勧めるだけでは説得力にかけるので、まず自分が受けてみようと思い立ち受験に至った次第です。お陰さまで、つい先日、サービス介助士(ケアフィッター)の認定証が送られてきて、取得することができました。

 なかでも、実技教習が印象深く、受講者には、鉄道会社、郵便局員、旅行会社、民間企業のショールームで働いている方、専門学校の先生などさまざまな職業の方々が参加されていました。残念ながら商店街の方はいませんでしたが、地域密着型の商店街こそ、専門店、大手スーパーなどに先駆けて、高齢者や障害をもった方などへの“おもてなし”が必要不可欠と感じております。実技教習では、車いす体験、高齢者疑似体験はじめ、聴覚障害、視覚障害をもった方への接遇の仕方などをロールプレイで参加者が互いに行って、夏の暑さの中、筋肉痛になるくらい、実践重視の内容でした。なかでも、白内障の高齢者疑似体験は、目からウロコが落ちるような体験でした。外出したり、買い物したりすることの大変さが身にしみて、実際体験してみないとわからないことばかりで、相手の身になって考えるいい機会となりました。

 また、今回のコラムに関連する内容として、コラム「街中宝(バリア)さがし“車イス体験・百歳体験”を取材して」コラム「“人にやさしい街づくり連続講座”を受講して」も併せてご覧頂けましたらと思います。2015年には、日本国民の4人に1人が65歳を越える超高齢社会を迎えるなか、みなさんもサービス介助士(ケアフィッター)の取得を目指されてはいかがでしょうか。流通業やサービス業の方でなくても、一般の方でも、相手の身になって考えたり、自分自身が高齢になった場合、このような不自由さがでてくるということを身をもって体験することだけでも、これからの生き方が変わってくるかも知れません。

By Nagura

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