平成16年5月に発表された
商店街実態調査結果を考察する

記:2004.7.1

 昨今の経営環境が刻々と急激に変化しているとの認識から、経済産業省中小企業庁が2年前倒しで平成15年度七夕まつり・みゆき商店街に「商店街実態調査」を実施しました。今回のコラムでは、平成16年5月20日に発表された平成15年度商店街実態調査の概要を考察していきます。

 商店街実態調査は、昭和45年に第1回目が実施されて以来、概ね5年毎に実施されています。直近では、平成2年度、平成7年度、平成12年度に実施されており、通常ならば平成17年度実施となりますが、2年前倒しで平成15年度に実施された次第です。

 経済産業省中小企業庁における商店街実態調査の実施目的は、各地域社会における商店街の実態を十分に把握して振興策に反映させることにあります。経済産業省中小企業庁では、商店街の発展を図るために種々の施策を講じていますが、その施策の実効を期すために行っていると言えます。昨今、全国的に商店街の衰退が叫ばれており、国、県、市町村が様々な政策・施策を打ち出していますが、なかなか商店主自らが積極的に立ち上がり、商店街の活性化といったところまでいっていないのが現状ではないでしょうか。逆に、元気のある商店街を見ますと、国、県、市町村などの補助金などに頼らずに、商店街自らがまず立ち上がったところが多いように感じます。商店街自らが立ち上がって、取り組んでいきますと、自然と補助金等のお金も舞い込んでくるような流れとなり、さらに加速的に活力あるまちになっていきます。元気のある商店街は、呼び水的に行政や地域住民を巻き込んでいくのが非常にうまいです。

 日本の経済状況を見ますと、勝ち組と負け組の2極化が鮮明となってきていますが、商店街においても、自発的に取り組んでいる元気な商店街と旧態依然の自ら考え、自ら行日常・みゆき商店街動することを忘れてしまった商店街では、まさに勝ち組と負け組の2極化を迎えていると言えます。勝ち組の商店街は、まず自分たちでやってみようと立ち上がり、そうすると先程も述べましたが、自然と行政との連携も図れてスムーズに商店街のみならず、地域住民も参加して、まち全体の活性化につながっていく流れとなっています。

 しかし、負け組の商店街では、自ら考え、自ら行動することをどこかに置き忘れてきてしまったように思います。負け癖がついてしまっている商店主は、いくら素晴らしい商店街づくりをしようと商店街の有志が立ち上がっても、できない言い訳ばかりして足を引っ張っているのが現状ではないでしょうか。本来持っている、商人(あきんど)魂をどこかに置き忘れてきてしまっており、もう一度、商店主自身の持っている潜在能力(心意気)を呼び起こす必要があるように思います。特に、郊外で商売されている方よりも、これまで立地に恵まれた中心市街地の商売人の方が、意識が低くなっている傾向があるように見受けられます。

 なぜ、商人(あきんど)魂を置き忘れてしまったのかを考えていきますと、行政サイドの様々な施策による補助金慣れ(行政等が何かをしてくれるというお任せ主義)で、お金をもらうとか、商店街の活性化策を考えてもらうとか、行政から(コンサルなど通して)商店街の活性化の青写真(計画案)を示してもらうなど、受け身になってしまった点も一つに挙げられると思います。国も三位一体の改革を進めており、身近な市町村の施策も今までのようには、補助金等つかなくなってきています。本当にやる気があり、努力している商店街(商店主)に、実効性のある施策・補助金を付ける流れになってきています。まさに、今までの行政等のお上にお願いするという姿勢ではなく、商店街と行政が対等なパートナーシップをもった商店街づくり、まちづくりが今まさに求められています。商店街、行政ともに意識改革の時期が来ています。

 商店街と行政が互いに対等なパートナーシップを築いていくに当たって、まずは、現状把握という観点から平成15年度商店街実態調査概要を紹介していきます。調査は、平成15年10月に行われ、全国から8000の商店街をサンプルとして抽出(有効回答数3,455、回収率43.2%)し、行われました。そのなかの「商店街における大きな問題点」という問いの回答をみると、「経営者の高齢化等による後継者難(67.1%)」「魅力ある店舗が少ない(66.3%)」「商店街活動への商業者の参加意識が薄い(55.7%)」「核となる店舗がない(51.8%)」「店舗の老朽化・陳腐化(48.2%)」が上位5つとなっています。「今後取り組みを強化する必要がある事業」という問いの回答をみると、「個店の改善・活性化(68.5%)」「組合の組織強化(29.6%)」「共同ソフト事業(23.8%)」「施設整備事業(22.5%)」が上位に入っており、なかでも「個店の改善・活性化」がダントツで2位以下を引き離しています。

 問題点の「経営者の高齢化等による後継者難」「魅力ある店舗が少ない」が、今後の取り組みの「個店の改善・活性化」につながっており、問題点の「商店街活動への商業者の参加意識が薄い」が、今後の取り組みの「組合の組織強化」につながっていることが伺えます。「個店の強化」と「商店街の組織の強化」は、まさに車に例えると両輪で、どちらが欠けてもダメと言えます。

 一番上の画像と上から2番目の画像は、ある中心市街地の商店街を写したものです。この2枚は、ほぼ同じ場所、同じ時間で、非日常(晴れの場)の場と日常(生活空間)の場を写したものです。一番上の画像は、まさに晴れの場で、お祭りで人がひっきりなしに歩いている様子が伺えます。対照的に、上から2番目の画像は、ほぼ同じ場所、同じ時間ですが、日常の閑散としている様子が伺えます。多くの課題を抱えている商店街は、同じような状況ではないでしょうか。今、一番苦しいどん底の商店街は、人口規模が30万人都市のかつて商業都市として広域から求心力があったところで、画像に写っている商店街は、かばうわけではありませんが、まだ元気です。しかし、風邪をひいた時と同じように、ひきはじめに治すことが肝要で、重症になってからでは、なかなか治りません。まだ元気なうちの今こそ、意識改革、方向転換を図っていく必要があります。

 商店街の衰退は、構造的なもので、商店街という立地が時代のニーズに合わなくなってきたとよく言われます。私もこの考えには一理あると思います。昔の賑わいのあった頃の商店街を復活させるという“昔を再現する復活”という視点ではなく、時代のニーズにあった視点で商店街を新たに創造していくことが重要と思っております。その一つのキーワードに“コミュニティ”があると思います。中心市街地の安全も崩れており、郊外に比べ中心市街地の高齢化率が高いなど、さまざまな課題が挙がっています。地域の困った問題を解決する手法の一つとして、コミュニティビジネスがあり、コミュニティビジネスには、商店主の経営センスも必要となってきます。コミュニティビジネスについては、コラム「“コミュニティビジネスがもたらす地域活力”というテーマで講演を行って」で述べておりますので、併せてお読み頂けましたら幸いです。

 現状の商店街の問題点、課題等を解決していくことによって、活性化を図っていく「問題解決型」を進めていくのと同時に、最も大切なことは、先程も述べました本来の商人(あきんど)魂を呼び起こして推進していく取り組みと考えています。それは、商店主自らが考え、商店主自らが行動する「目標指向型(目標を設定してそれに向けた取り組みをする)」の取り組みです。これからの商店街は、「個店の強化」と「商店街の組織の強化」という両輪、そして、「問題解決型」と「目標指向型」という両輪がうまく融合することで、新生・商店街として生まれ変わっていくことと思います。全国で、新生・商店街が出てくることを期待しております。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ