まちづくり条例実践セミナーに参加して

記:2004.3.3

 まちづくり条例研究センター主催の「2003年度まちづくり条例実践セミナー」に参加してまちづくり条例イメージきました。まちづくり条例研究センターは、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国商店街振興組合連合会、全日本商店街連合会はじめ11団体で構成されています。まちづくり条例研究センターでは、全国のまちづくりのための条例等の収集、調査、研究し、これらの情報を個人や団体に提供することや事例や専門家等の紹介を行うなどのまちづくりの支援を行っています。まちづくり条例研究センターのホームページでは、データベース化されており、全国のまちづくり条例を見ることができます。

 今回のまちづくり条例実践セミナーは、2004年1月29日〜30日の2日間にわたって行われました。まちづくり条例の役割、作り方はじめ、実際にまちづくり条例を策定された市町村の方からの説明もありました。受講者者は、行政、TMO、商工会議所(商工会)関係の方がほとんどでした。

 全国各地でまちづくり条例が策定されつつあり、新聞紙上でもよく載っておりますが、まず「まちづくり条例」とは何かというところから紹介していきます。“まちづくり条例”を一言で言えば、地方自治体がつくる法制度と捉えることができます。ここのところ“まちづくり条例”の制定が相次いでいるのは、地域で起きている様々な開発問題、環境問題に対して、地方自治体が有効に対処できる法制度を国が制定しないのなら、国に先んじて地域の特性にあった制度をつくろうという流れがあります。このような機運の高まりの背景には、地方分権一括法の制定など地方分権への動きもありますが、それ以上に、市民や議会がまちづくりの分野に関心を寄せていることが挙げられます。

 具体的にまちづくり条例への流れをわかりやすく紐解きますと、まちづくりに関する国が定める法律として、主に都市計画法や建築基準法が挙げられます。例として、ある地域で、高層マンションやパチンコ店などを景観上の観点から規制しようとした場合、その地域が都市計画法上、高層マンションやパチンコ店など建築できるゾーニング・用途地域(エリア・範囲)であれば、通常なら規制することができず、開発許可がおりて開発の流れとなっていきます。そのような問題に対処するために、各自治体が、その地域にあったまちづくりを進めていく上で、自治体独自で規制できるまちづくり条例をつくるという流れとなっていきます。上記の例の場合ですと、都市計画法上では、許可が出てしまいますが、自治体のまちづくり条例で、その用途地域の高層マンションやパチンコ店などの規制をかけようというものです。そして、その地域にあった美しいまちづくり(景観づくり)を進めていこうというものです。皆さんの地域でも似つかわしくない建物があるエリアにあったり、高層の建物が突然建って、風情のある町並みが失われたりされた経験はないでしょうか。

 ここでは詳しくは述べませんが、法律上は、一つの案件に対して、国の法律と自治体の法律の二つの法律でしばることはできません。国の法律で通った案件を自治体の法律で覆すことは基本的にできません。考え方として、国の法律を通す前に、事前の公開を義務付け、自治体の法律(まちづくり条例)で、国に申請する以前にまず、地域(自治体)で吟味していこうというものです。実際に、まちづくり条例を立ち上げて行っていく上で、まだまだ法的な問題でクリアする点は多々ありますが、要は、国の法律が地域(自治体)のニーズに追いつかなくなっていることが一番の問題であり、国挙げて根本的・抜本的な法的な再整備が必要な時期にきていることは確かです。

 まあ、現行の都市計画法体系によるシステムでは、その地域に合った、その地域の風土・歴史を盛り込んだ、その地域に住む人たちが誇れる美しいまちづくりをしていく上で、弊害が出ている状況が、各自治体がまちづくり条例制定に走っている動きに表れていると言えます。まちづくり条例の背景は、このあたりにして、全国でどのようなまちづくり条例が作られているのか見ていきます。

 少しまちづくり条例の名称を挙げてみますと「金沢市における市民参画によるまちづくりの推進に関する条例」「鎌倉市都市景観条例」「世田谷区街づくり条例」「京都市土地利用の調整に関わるまちづくりに関する条例」「津久井町住環境整備条例(神奈川県)」「美しい町づくり条例(京都府美山町)」「豊島区中規模小売店舗の立地調整に関する条例」などあります。名称もさまざまであり、景観条例、土地利用調整条例、環境保全条例、自然環境保全条例、住宅条例、集客施設条例、建築紛争条例、まちづくり条例などこれらすべてを一括りとして、主に“まちづくり条例”と呼ばれています。

 上記で挙げている“まちづくり条例”は、住宅地や自然環境を守るために、大規模な開発などを抑制することを目的として制定される条例、土地利用規制が弱い地域において計画的に開発が行われるように誘導するために制定される条例、美しい景観を守る、あるいは育てるための条例、住民に身近な地区を対象として住みやすいまちづくりを進めるための条例、直接投票など市民参加のシステムを定めた市民参加条例など何らかの法的措置を盛り込んだものです。このような法的措置を盛り込んだ実定条例の他に、理念条例も存在します。一般的に“まちづくり条例”と呼ばれるものは、実定条例の方を指します。

 理念条例も説明しておきますと、「美しいまちをつくろう」とか「環境にやさしいまちをつくろう」など、理念を定めて、行政がやるべき行動指針、市民がやるべき行動指針など喚起していくものと捉えることができます。あくまで理念なので、理念をどのようにして実現していくかなど具体的な手段などまでは行きませんが、自治体の方向性、考え方を示すものと言えます。理念条例をきっかけとして、実定条例につながっていく場合もあると思います。

 今回のコラムでは、“まちづくり条例”について紹介しましたが、皆さんのまちでも、景観の観点や子育ての観点などまちづくりでいろいろな困った問題などの課題があるのではないでしょうか。その際の解決策の一つとして“まちづくり条例”もあると頭の片隅にでもインプットして頂けたら幸いです。一番上の図絵の中で示してありますが、“まちづくり条例”は“まちをつくるシステム”の一つの手法と言えます。

By Nagura

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