街中宝(バリア)さがし
“車イス体験・百歳体験”を取材して

記:2004.1.3

 愛知県安城市の中心市街地で行われた地域挙げてのお祭り“収穫祭2003サンクスフェスティバル”における街中宝(バリア)車いす体験の子供たちさがし「車いす体験・百歳体験」を取材してきました。“収穫祭2003サンクスフェスティバル”の模様は、視察レポート「安城の中心市街地の学校と商店街挙げてのお祭り“サンクスフェスティバル”を訪ねて」で紹介してますので、併せてご覧頂けましたらと思います。

 まず、この“街中宝(バリア)さがし”というネーミングが素晴らしいと思いました。まちには、障害をもった車いすの方や高齢者の方などの生活の妨げとなる段差などのバリアがまだまだあります。そのバリアをお宝として捉えてさがして、良くしていこう(バリアをなくしていこう)という思いが含まれています。そして、ハード面のバリアだけでなく、お店に入って、お店の人に話しかけて、こころのバリア(お宝)も見つけようという思いもあります。体験を通して、お店の人との人間同士のやりとりでちょっとしたハード面のバリアは、こころのふれあい、思いやり、気遣いで乗り越えられるということを健常者の方に学んで頂きたいという思いもあります。

 それでは、“街中宝(バリア)さがし「車いす体験・百歳体験」”がどのようなイベントかを紹介していきます。中心市街地商店街のなかで行われ、商店街と社会福祉協議会が連携した取り組みで、さらにスタッフとして、ボランティア連絡協議会、安城生活福祉高等専修学校の生徒たちも手伝いました。イベントの“街中宝(バリア)さがし”というネーミングが素晴らしいとともに、キャッ百歳体験の子供チフレーズも“しらべてみよう街のバリア(お宝)、さがしてみよう素敵なお店”と体験する子供たちにもわかりやすいように付けられています。

 “街中宝(バリア)さがし「車いす体験・百歳体験」”は、日曜日の午前10時から午後4時まで行われ、ほぼ終日見ておりましたが、子供たちから大人までさまざまな方が体験されていました。一番上の画像は、子供たちが車いす体験にまちで出掛けていく様子を写したものです。画像からお分かり頂けると思いますが、子供用の小さい車いすも用意されていました。上から2番目の画像は、子供が百歳体験を書店内でしている様子を写したものです。ゴーグルをかけて視力がおちた状態にして、手足に重りをつけて、歩きにくい様子が画像からご覧頂けると思います。

 車いす体験、百歳体験は、中心市街地内に受け付け会場があり、希望者に30分を目安に中心市街地のお店を回ってもらって、お店マップにチェックをしてもらいます。参加者には、エココインがもらえます。体験者には、必ず介助するボランティアがつき、体験者の安全の確保をしています。また、エココインは、体験者全員に1枚、さらに5店以上お店をまわった方にはもう1枚もらえます。そのエココインは、サンクスフェスティバル会場のイベントで利用できます。今回多くの方が体験を通してチェックされたお店をバリアフリーマップとして作成することを念頭においており、まわったお店を5段階で評価しています。その評価軸は、体験者が入ったお店の感想を5つのタイプから選択して記入するかっこうになっています。

 その5つのタイプを説明しますと、タ車いすゲストのミス七夕イプ1が「すいすいタイプ」でバリアフリーでOKなお店、タイプ2が「ちょこっとお助けタイプ」で多少のバリアのため同伴者や店員の介助で解消、タイプ3が「商店街ならではのタイプ」でお店に入らなくても間口が広く店内が見渡せるのでお店の人とのやりとりで解消、タイプ4が「力持ちタイプ」で複数の介助が必要、タイプ5が「残念タイプ」でバリアが多いため利用困難と5つに区分されています。車いすおよび百歳体験者は、各お店をまわって、上記の5つのタイプからお店マップ上に記入していく形です。

 ここで、お宝(バリア)さがしのヒントを少し紹介します。私も昨年(2003年)、愛知県の人にやさしい街づくり連続講座を受講した際に、午前10時から午後4時過ぎまで終日、名古屋駅界隈で車いす体験をしたことがあります。その模様はコラム「“人にやさしい街づくり連続講座”を受講して」に載せてありますので併せてご覧頂けましたらと思います。これから皆さんが車いす体験や百歳体験される際の参考にして頂けたらと思います。質問形式で書いていきますと、「車いすや杖をついて歩いた時、動きにくいところはどんなところですか?」「歩道では、自由に歩けましたか?障害となるものはありませんでしたか?」「お店の入り口は楽に入れましたか?」「お店の中では自由にショッピングできましたか?」「いつもの風景と違って見えたところはどこですか?」「誰か声をかけてくれましたか?」など念頭において体験されたらと思います。大切なのは、障害をもった方や高齢者の立場に立って思いやりのこころで考え、想像力を働かせることです。私もそうでしたが、車いすで体験していますと、数センチの段差やちょっとした配線コードなどの乗ミス七夕とボランティアスタッフり越えの大変さに気づかされます。歩道のでこぼこや歩道に散乱した自転車、違法駐車なども妨げとなります。ソフト面では、お店の方の気遣いや親切、ちょっとした手助けがうれしいものです。

 上から3番目と4番目の画像は、イベントにゲスト参加された安城のミス七夕たちがまわっている様子を写したものです。上から3番目の画像は、書店で車いすの状態で棚から本を手にとっている様子で、上から4番目の画像は、お店をまわった後、先ほど示しました評価基準でマップにチェックしている様子を写したものです。画像に見られるミス七夕たちのなかで、車いすに乗っているミス七夕の稲垣さんは、車いす体験ではなく、脊髄を損傷する事故で車いす生活を送っていらっしゃる方です。安城近隣の方は、車いすのミス七夕の誕生ということで、メディアが取り上げており、ご存知の方もいらっしゃることと思います。ゲスト参加とともに、車いす生活者の視点から安城のまちを見て頂こうという思いもありました。うどん屋さんでのお店チェックでは、お昼時でありお客さんがたくさんおり、皆がミス七夕の稲垣さんに握手を求めてたいへんな人気ぶりでした。健常者と障害をもった方とのふれあい・交流の場面も垣間見ることができました。

 これからのまちづくりには、バリアフリーの視点がかかせなく、サンクスフェスティバルのお祭り会場で、商店街と社会福祉協議会が連携して、車いすのミス七夕も参加されて“街中宝(バリア)さがし「車いす体験・百歳体験」”の取り組みをされたことは素晴らしいと思います。2000年11月に交通バリアフリー法が施行され、エレベーターの設置、車いす対応の多機能トイレの整備、駅構内の地図の点字、音声で発券機やトイレの位置を知らせるシステムなど駅の本格的なバリアフリー化が進んでいます。さらに、改正ハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)が2003年4月に施行され、これまでデパートやホテルなどの不特定多数の利用する建築物の範囲に限っていたものを、不特定でなくても多数が利用する学校、事務所、共同住宅などの建築物にも範囲を広げてバリアフリー化が進められています。

 最後に、先ほど私は昨年(2003年)、愛知県の人にやさしい街づくり連続講座を受講したと述べましたが、その講座の中で印象に残っている言葉を紹介します。それは、障害をもった講師の方が、健常者と障害をもった方との交流という視点で、両方に対して「健常者は、障害をもった方の立場に立つなど相手の立場に立った思いやりなど想像力が足りない、逆に、障害をもった方は、健常者に自分のおかれた立場を伝えるコミュニケーションが足りない」と話されたことです。また、この講座での一番の体験は、障害をもった方と健常者が3カ月余り一緒になって学びながら共に交流を深めてきた点です。最初はどのように対応していいのか戸惑うことも多かったですが、最後はまさに友だちになれました。

 健常者の方は、今回のような「車いす体験・百歳体験」を通して、思いやりなどの想像力を働かせるきっかけづくりになっていけばと思っております。また、障害をもった方は、積極的に社会に出て子供の頃からの夢だったミス七夕を射止めた車いすの稲垣さんのように、健常者のみならず社会に働きかけて頂きたいと思っております。ミス七夕の選考には、容姿端麗のみならず、表現力(伝える力)なども審査に入っており、ミス七夕の稲垣さんには、持って生まれた表現力があり、上記の講師の方が指摘された伝えるコミュニケーションが足りないという面をクリアしているだけに、健常者との橋渡しとして、さらに、バリアフリーなまちづくりに関わって頂きたいと思っております。まずは、地元・安城のバリアフリーなまちづくりに一役かって頂きたいと思っております。そして、一番大切なのは、障害をもった方と健常者がこころとこころの交流を交わすことです。

 今回の“街中宝(バリア)さがし「車いす体験・百歳体験」”は、子供から大人まで幅広く参加されて成功だったと思います。さらに、欲を言えば、今回のイベントには、車いすのミス七夕はじめ、数名の障害をもった方も受け付けの場におりましたので、健常者の方の体験とともに、健常者の方と障害をもった方とのふれあいの場があり交流が深められたらいいなあと感じました。今後の取り組みに期待しております。

 また、今年(2004年)は、21世紀に入って最初のオリンピック・アテネオリンピックが開催されます。同時に、障害をもった方が参加されるパラリンピックも開催されます。健常者の方と障害をもった方とのふれあいのきっかけづくりとして“スポーツ”を通して行ってみてはいかがでしょうか。車いすマラソンの世界最高記録をもつハインツ・フライさんは、「障害をもった方と健常者の懸け橋になれればと思う。僕らがスポーツをやり、強いところを見せれば、街の段差も少しずつなくなると願っている」と語っています。21世紀幕開けのオリンピック・パラリンピック(オリンピックは8月13日開幕、パラリンピックは9月17日開幕)だけに、いろいろな思いを巡らせて皆さんもご覧になられてはいかがでしょうか。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ