中心市街地活性化フォーラムに参加して

記:2003.4.6

 大阪で開催されました「中心市街地活性化フォーラム(TMO活動推進に向けて・今、イキイキと、まちが変わる!まちづくり新時代)フォーラム会場」(2003年2月7日開催、主催:近畿経済産業局)に参加して参りました。活性化活動事例紹介として、「ゆるやかな連携組織から生まれる商業活性化:東朋治氏(株式会社神戸ながたTMO)」「“もてなし”をキーに、町ぐるみ、地域ぐるみの活性化:草野有美子氏(長崎県小浜町商工会女性部長)」の2件の事例が示され、その後、パネルディスカッションが行われました。

 2件目の事例の長崎県小浜町商工会女性部長の草野さんは、旅館の女将さんで、話を聞いていて、長年の接客を通しての“おもてなし”という真髄が伝わって参りました。草野さんのおっしゃられた言葉のなかで、印象に残っているのが、これまでは、旅館業だけをやっていれば十分商いは成り立ったが、中心市街地のまちが衰退してきている現状のなか、まちの魅力が失われていくことは旅館業にとっても大きな痛手であり、互いの生き残りをかけて、商店街の活性化に携わるようになったという点です。しかし、最初は、互いに、旅館は旅館、商店街は商店街と思いはバラバラだったようです。

 本当に旅館と商店街の連携は、ゼロからのスタートだったようで、最初は何をしたらいいのかわからない状態で、小さな体験の共有を通して、旅館と商店街の互いの人のこころを変えてきたそうです。“人のこころを変える素”として、互いに「なんとかしたい!」という共通の思いはあったので、ちゃんぽんの町、食のフリーマーケット、映画「ぶらぶら節」のロケ誘致、障害者モニターツアーなどの数々の体験の共有を通して、小さな成功体験を積み重ねてきたそうです。数々の体験には、商店街、旅館の従業員から板場さんまで参加した他、市民やNPOなども一緒に参加しています。また、勉強会を通して、吉本興業からも学んだそうで、そこでは基本的なことではありますが“人を集める大切さ”を実感したそうです。

 そして、数々の体験を共有してきて、現在、長崎県小浜町では、民間主導のまちづくりが「小浜まちづくり株式会社」を通して行われています。最後に、草野さんがおっしゃった「継続することから、活動の輪が広がる」という言葉、これまでさまざまな体験を通してきたからこそ言える重みのある言葉と思います。今、全国各地の中心市街地が衰退化してきているなか、もはや商店街だけの範囲でいろいろと模索してイベントなどを打っても、なかなか活性化につながらないと認識されてきてはいますが、今回のような旅館業界などとの他との連携が思うように進んでいないのが実情だと思います。商店街と今回の旅館業界はじめ、学生(大学や小中高校など)や農業従事者(JAなどの農業団体なども)などと連携をするにあたって、今回の事例のように草野さんのようなリーダーシップをとれる人が必要不可欠なことは確かですが、小さな成功体験を少しずつでも、継続的に交流を図っていくことが大切と感じました。

 1件目の事例の株式会社神戸ながたTMOの紹介に入る前に、少し「平成14年度街づくりの推進に関する総合調査(調査期間:平成14年10月28日〜11月12日、調査対象:全国527商工会議所、回収率82.2%)」結果をみていきます。TMO(タウンマネージメント機関)の認定状況は、認定済みが約4割(38.3%)、認定予定(17.3%)を合わせると5割以上の地域でTMOが認定されることになります。TMOの認定が増加している一方で、TMOを運営するうえでの課題も出てきています。複数回答における上位を挙げますと、課題として「運営費の捻出(89.5%)」「人材(役職員など)の確保・育成(78.4%)」「コンセンサス形成(77.6%)」「行政支援の拡充(60.1%)」「認知度向上(52.4%)」が挙がっています。各地で立ち上がったTMOが試行錯誤しながら地域での自立を図りつつある現状が見えてきます。

 それでは、最後になりますが、株式会社神戸ながたTMOの今や有名になった取り組みの一つを紹介します。神戸市長田区は、今、震災(1995年の阪神・淡路大震災)のまちから食のまちへと変貌しつつあります。今年(2003年)の1月の防災コラムの中でも少し紹介しましたが、地元の神戸・長田の庶民の味である“ぼっかけ”を、長田発祥の「そばめし」に続く、全国発信のヒット商品に育てています。「ぼっかけ」とは、ぶつ切りの牛すじ肉とコンニャクを甘辛く煮込んだ料理のことです。メニューも豊富で「ぼっかけカレー」「ぼっかけカレーラーメン」「ぼっかけうどん」「ぼっかけカレーうどん」「ぼっかけちらし寿司」「ぼっかけパイ」「ぼっかけとうふチゲ」「ぼっかけオムレツ」など盛りだくさんです。「神戸新長田“ぼっかけ”食べ歩きマップ」も出来ており、新長田駅界隈の商店街で26店(2002年12月現在)のお店でなんらかの“ぼっかけ”を提供しています。また、株式会社神戸ながたTMOとマルちゃんマークの東洋水産との共同開発で「神戸長田ぼっかけカレーラーメン」「神戸長田ぼっかけカレーどんぶり」が発売されたのをはじめ、今では「ぼっかけソース焼そば」「ぼっかけ塩焼そば」「ぼっかけカレー焼そば」「ぼっかけおにぎり」「ぼっかけカレー」「ぼっかけカレードーナツ」「ぼっかけどんぶり」などがコンビニでも並んでいます。

 阪神・淡路大震災でひときわ大きな被害を受けた神戸市長田区の元気な動きを紹介いたしました。大きな被害を受けた長田区では、震災の教訓をもとに、地域コミュニティの再生にむけて、“食のまちづくり”はじめ、さまざまな取り組みがTMOを通して行われています。先ほど、アンケート調査からTMOの現状をみてきましたが、株式会社神戸ながたTMOは、地域に根付いてうまくいっている一つの形と思います。うまく行っている大きな秘訣が、事例のタイトルにもなっていました“ゆるやかな連携”というキーワードです。今回の2つの事例は、どちらも連携という点で共通しています。小さな体験の積み重ね、そして、ゆるやかな柔軟性をもった連携が、これからのまちづくりには必要になってくるのだろうと思います。

By Nagura

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