爽やかな風景画が人気の内田新哉さん
の世界を考察する

記:2003.2.2

 昨年(2002年)10月に、異業種交流会で内田新哉さんを招いて「絵を描いて暮らすとは」という題目でお話を頂くととも内田さんポストカードに、その後、10数人で内田さんを囲んで会食をさせて頂きました。今回のコラムでは、爽やかな風景画が人気の“旅の風景画家”内田新哉さんの世界を考察します。ホッとするようないい絵で、特に女性の方は、御存じの方も多いことと思います。内田さんを招いた異業種交流会は、いつもにも増して女性が多く参加されており、人気のほどが伺えました。

 内田新哉さんは、世界中を旅し、旅の中でとらえた瞬間の風景を描き続け、風と光と自転車が織りなす独自の世界が人気を集めています。上の画像は、頂きましたサイン・メッセージ入り(少し見にくいですが画像の右下に)のポストカードを写したものです。画像からゆったり流れる時間のなかに、風を感じるような爽やかさが伺えるのではないでしょうか。そして、内田さんの作品のなかには、自転車、麦わら帽子などのモチーフに描かれており、自分自身もその風景の中にいるかのような感覚を覚えます。

 当日は、めったに見られない原画そのものも見せて頂きましたが、印刷された絵画集やポストカードなどでみる以上に“透明感のある色彩”が目に焼きつきました。皆さんも、テレビや美術の書籍などで見ていた絵画を、実際に美術館に行って、本物の絵画を見るとまた違った印象を受けたことがあることと思います。あと、原画からペン先の繊細さも伝わって参りました。

 内田さんのプロフィールを簡単に紹介しますと、熊本県生まれで、愛知県教育大学美術科を卒業して、中国、カナダなどをさすらううち、絵を志し、イラストの持ち込みをきっかけに月刊誌「詩とメルヘン」に作品を発表して、そして、今や、ポストカードや数々の画集を出版するなど人気を得ています。現在は、愛知県豊明市に在住しており、そこを拠点に、各国をさすらい歩くなどして創作活動されています。内田さんは、売れっ子になってもたいへん気さくな方で、和気あいあいと会食をさせて頂きました。しかし、ここまで来るには、かなりの苦労もされたようです。どんな道(職業)もたいへんですが、感覚的なものが大切な絵の道は厳しいもので、なかなか表舞台に出ることができずに、挫折したり、苦しい生活をしながら、長い年月下積み生活をされていらっしゃる方も多いようです。

 内田さんは、愛知県教育大学を卒業して、小学校の教員として10数年勤めており、教員として、働くかたわら、夏休みなどを利用して中国、カナダなどをさすらい創作活動をされて、その後、教員を辞めて、絵の道で独立して一本立ちしたわけです。私自身もサラリーマン(技術者)として10年近く勤め、その後、独立してまちづくりという180度転換するような道を目指しており、いろいろ話を伺っていて、共感する部分も多かったです。私自身は、まだ世の中に認められるまでには至っていませんが、内田さんの話のなかで、多くのいい出会いに恵まれたことによってここまで来れましたという旨の言葉があり、私もつぶれそうな時にいい出会いによって助けられたことがあり、本当に出会いを大切にしないといけないと痛切に感じた次第です。四文字熟語で表せば“一期一会”といったところでしょうか。(捕足:“一期一会”とは、一生に一度だけの機会という意で、茶会に臨む際には、その機会は一生に一度のものと心得て、主客ともに互いに誠意を尽くせという意味合いです)

 あと内田さんの話を聞いていまして、印象的な言葉として、教員生活中には、子どもたちから多くのことを学んだとおっしゃっていました。小学校ですから、美術以外にも全教科教えるわけですが、子どもたちの純粋さのある絵には、教えられるものがあったようです。内田さんの爽やかな風景画を見ていますと、小学校という教員生活で子どもたちと触れあってきた経験というか子どもたちと過ごした貴重な時間が、今のホッとするような懐かしさを覚える絵に表れているようにも感じました。また、最終的に絵の道で独立すると決めた背景には、経済的にこの道でやっていけるという以上に、子どもたちに、自分らしい生き方、偽りのない生き方を見せたかったという思いも強いようでした。小学校というのは、1年生から担任に着任すると、そのままエスカレータ式で、子どもたちが卒業する6年生まで引率することが多く、内田さんの場合は、絵の道で行くと心に決めた時は、ちょうど1年生から受け持って、3年生か4年生だったらしく、その彼らが卒業まではしっかりと引率し、彼らの旅立ちを見送ってから、自分も同時に絵の道へ歩まれたようです。本当に責任感も強く、教員時代も人気のある先生だったことと思います。

 今回のコラムでは、爽やかな風景画、ホッとするような心地よさがある内田新哉さんの世界を見てきました。既に、御存知の方が多いこととは思いますが、まだ絵を見られてない方は一度ご覧になられたらと思います。

 画像で載せました内田さんの絵は、夏の海辺の絵ですが、冬の風景を描いたものもあります。ちょうど、このコラムを書いている時(2003年2月2日)、横のテレビで「おーい、ニッポン〜今日はとことん北海道(NHK・BS)」が流れていますが、冬の北海道の雪景色もいいものだなあと思いつつ見ています。

 最後にご参考までに、私自身個人的は、これまでフランス印象派(19世紀頃の移ろいゆく一瞬の印象を明るいタッチで光と色彩で捉えた絵画)の絵画を好んで見てきており、印象派の絵画に関しては、シカゴ美術館メトロポリタン美術館(ニューヨーク視察のコラム上で記載)名古屋ボストン美術館などのレポート上で紹介しております。またコラムでは、コラム・日本画(山種美術館名品展を見て)の世界を考察する(2002.1.3)コラム・銅版画家・山本容子さんの作品世界(美術遊園地)(2002.7.1)で、日本画、銅版画の世界を考察しています。併せてご覧いただけましたら幸いです。

By Nagura

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