阪神・淡路大震災から8年目を迎えて、
防災について考察する

記:2003.1.5

 早いもので、阪神・淡路大震災から1月17日で8年が経過しようとしています。阪神・淡路大震災の犠牲者を悼む闇の中に浮阪神大震災から8年かび上がる巨大な光の祭典「神戸ルミナリエ」は、昨年末(2002年12月12日〜25日)も被災地・神戸で行われました。“光りのぬくもり”というテーマで、赤などの暖色を使って温かさが演出され、訪れた人々は震災の記憶も新たにしたことと思います。

 これまでに数多く、防災関連のコラムを書いてきておりますが、今回のコラムでは、“地域住民”という点に焦点をあてて紹介していきます。地震について少し整理しますと、地震にはプレートのもぐり込みによる「プレート境界型地震」(海溝型)と活断層による「内陸直下型地震」(内陸型)の二つに大きく分けることができます。阪神・淡路大震災は、「内陸直下型地震」で、これから想定される東海地震は、「プレート境界型地震」です。大きな違いとして、プレート境界型地震の方が規模が大きく、被災範囲も広くなります。内陸直下型地震は、プレート境界型地震に比べて、規模は小さいものの、人々の住む町の周辺で起こると、震源からの距離が近いだけに大きな被害を出すことになります。震源が住民が生活している都市の真下の活断層で発生した場合、たとえ小型でも被害が深刻になるケースが多い点が特徴です。

 阪神・淡路大震災は、まさに神戸という大都市で起きたことが被害を大きくしたと言えます。隣の大阪府や京都府などでは、それほど被害が出ていないことからも局部的に大きな被害を出したことがお分かりいただけると思います。これから想定される東海地震では、山梨県、神奈川県、長野県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県という広域で被害が予測されています。仮に東海地震級の広範囲に被害を及ぼす地震があなたの住んでいるまちで起こった際、助けがすぐに来てくれるでしょうか。広範囲におよぶ被災地のすべてに、すぐに救助隊を派遣するには限界があります。東海地震、東南海地震、南海地震がほぼ同時に起こった際は、大都市が集中する関東、中部、関西のすべてが被災地となり、救援体制が整うまでにかなりの時間がかかることが想定されます。そのような観点から、“地域の命は地域で守る”という自助の考え・備えが必要となってきます。

 救助体制が整うまでの最低3日間は、個人レベルで各自が生き伸びるだけの水と食料を常に備えておくことが重要と言われています。さらに、救助側に立てば、大規模災害は発生から72時間(3日間)以内の救助が生死を分けると言われています。消防や自衛隊などの救助活動が整うまでの初期救助は、地域の自主防災組織などの救助活動が重要になってきます。神戸市消防局における阪神・淡路大震災時の救助活動のデータをみると、重いけがをするなどした人で、24時間以内に救助された場合の生存率は約8割(80.,5%)ですが、「72時間以降」(2日目で28.5%、3日目で21.8%、4日目で5.9%、5日目で5.8%)で急激に下がっています。また、阪神・淡路大震災における死者の約9割が「家屋、家具の倒壊による圧迫死と思われもの」でした。これから想定される東海地震の被害想定は、全壊する建物は最大で23万棟(231,400棟)で、阪神・淡路大震災(全壊家屋:104,906棟)の倍以上になります。

 上記で示したように東海地震では、広範囲での被害が予測されるだけに、行政による救助を待つ前に、地域内における自助の救助が重要となってきます。阪神・淡路大震災から約1カ月後に神戸市消防局が同市内の男女を対象に実施したアンケートでは、救助活動に当たったのは近所の人や家族が231人に対し、救助隊は7人だったという興味深いデータが出ています。近所の人たち救助が如何に重要であったかということを示しています。地域内における初期の救助には、ドアや窓をうち破るハンマー、倒れた家屋を持ち上げるジャッキ、テコに使うバール、ロープなどが重宝します。重機は数も無いし、生き埋めの被災者を押しつぶす心配もあり、人海戦術に頼らざるを得ない面もあります。阪神・淡路大震災時は、救助犬も被災者の救出に貢献しています。

 地震や風水害など災害時には、頼りはご近所と言えます。常日頃からコミュニケーションをとるとともに、訓練等備えを万全にしていくことが大切です。今一度、阪神・淡路大震災から8年を経過したこの機会に、地域とのつながりを見直されてみてはいかがでしょうか。

 最後に、阪神・淡路大震災でひときわ大きな被害を受けた神戸市長田区の元気な動きを紹介します。今、長田区では、“震災のまちから食のまちへ”という掛け声のもと、「食」をテーマにしたまちづくりが進められています。商店街などがつくるまちづくり機関の神戸ながたティ・エム・オー(ながたTMO)が中心となり、地元の庶民の味「ぼっかけ」を全国に売り込もうとしています。大手食品メーカーを巻き込んで、長田が発祥の「そばめし」に続くヒット商品に育てる戦略です。そもそも「ぼっかけ」とは、ぶつ切りの牛すじ肉とコンニャクを甘辛く煮込んだ料理のことです。コリコリした食感と濃厚な味わいが特徴で、“ぶっかける”が名前の由来です。関西圏では一般的に「スジコン」の名称で有名ですが、長田かいわいでは「ぼっかけうどん」や「ぼっかけお好み焼き」など定番メニューの具材として親しまれています。“ぼっかけカレー”“ぼっかけコロッケ”“ぼっかけオムレツ”など独自商品の開発にも乗り出しており、長田区では、「神戸長田名物ぼっかけ」の文字が踊るのぼりがはためいています。今、大きな被害を受けた長田区では、震災の教訓をもとに、地域コミュニティの再生にむけて、“食のまちづくり”が始まっています。

 地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せていますので、一度ご覧いただき参考になさって下さればと思います。また、以前に、ある市の地域防災計画策定(地震対策編・一般対策編)に携わったことがあり、年2回、防災の日(関東大震災の起こった日)、阪神大震災の起こった日近くに、防災にちなんだコラムを今回同様に載せております。地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

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