第4回全国商店街情報化フォーラムに参加して

記:2002.12.1

 2002年10月9日に東京で行われました「第4回全国商店街情報化フォーラム」に参加して参りました。今回が第4回目で、2回目以第4回全国商店街フォーラム降は、当ホームページのコラム「第3回全国商店街情報化フォーラムに参加して」「第2回全国商店街情報化フォーラムに参加して」で取り上げていますので、併せてお読みいただければと思います。

 今回のフォーラムのサブタイトルには、〜インターネット、カード事業、ネットワーク連携を中心に〜と付いており、商店街の中だけで活用できるカードに留まることなく、自治体カードとの一体化、観光との連携など様々なネットワークの事例が示されました。フォーラムの流れは、午前中に基調講演が行われ、午後、先進地の各商店街の代表の方を招いてパネルディスカッションが行われました。

 午前中の基調講演は、経済産業省の黒岩商業課長より「商店街活性化の方向と情報化支援策」、全国商店街振興組合連合会の桑島副理事より「商店街情報化への取組み〜商店街活性化のための8つの戦略」、そして、主催者の流通システム開発センターの中川次長より「商店街情報化の現状と今後の進め方」について3人の方から話されました。

 中でも、全国商店街振興組合連合会の桑島副理事は、東京都世田谷区の烏山駅前通り商店街でスタンプ・カードを立ち上げてきた方です。商店街の賑わいの成功に導いた桑島氏の講演内容の要旨を参考までに示します。商店街は、地域の出会いと交流、新しい結びつき(パートナーシップ)の場(プラットフォーム)という重要な役割を担うことが期待されていると前置きした上で、商店街活性化の8つの戦略が示されました。「地域ブランドの創出戦略」「環境対応型の創造戦略」「ITを駆使した情報戦略」「ハイタッチなサービスによる再生戦略」「イベントによる活力戦略」「エコマネーを導入した地域活性化戦略」「新たな担い手づくりと組織力強化戦略」「多様なパートナーシップによる新生戦略」の8つです。

 少し言葉の補足をしますと、地域ブランドとは、“まち”について愛着やこだわりがもてるような地域のセールスポイントを取り入れた魅力的な商品のことです。環境対応型とは、リサイクルやゼロエミッション(ごみゼロ)など環境にやさしいまちづくりにチャレンジすることです。ITを駆使とは、消費者とお店の相互に伝えあうプラットフォームづくりを指しています。ハイタッチなサービスとは、商店街ならではの“人と人とのふれあい”を意味します。イベントは、住民参画の手法を重視しています。エコマネーを導入した地域活性化とは、お互いさまのサービスなど市場では評価されにくい好意に対して行うものです。新たな担い手づくりと組織力強化とは、魅力ある店づくりや品揃え、商店街ならではのサービスを提供する経営者の育成および商店街全体としての強化を指しています。多様なパートナーシップによる新生とは、商店街やNPO、企業などがお互いの役割と特性を認識し合い、多様な社会サービスを地域の中で創造していく重要性を意味しています。

 エコマネー(地域通貨)に関しては、以前に書きましたコラム「地域通貨(エコマネー)について考察する」およびコラム“カーシェアリング”と“エコマネー”とは?」を併せてご参照頂けましたらと思います。また、東京商工会議所主催の「政策フォーラム(2002年9月3日開催)」の場で、先程の桑島副理事が、東京都が策定した「21世紀商店街づくり振興プラン」の推進を強調し、その一環としてエコマネー(地域通貨)特区を提案しています。具体的には、特定地域内で循環流通する共通商品券・スタンプ・エコマネーなどの地域通貨の発行にあたって出資法やプリペイドカード法、税制上の規制などの特例措置により、地域経済を活性化させるという提案です。政策フォーラムでは、石原慎太郎東京都知事の基調講演とパネルディスカッションが行われ、桑島副理事はパネリストとして参加しその中で述べられた次第です。

 実際に商店街で商売をなさっている方にとっては、上記で示しました8つの戦略は、既にいろいろな形で行っていることと思います。しかし、商店街でさまざまな戦略・取り組みを行っていく上で重要なことは、まず自分たちの商店街の強みは何か、弱みは何かを押さえておくことと思います。そして、強みを生かす方向で、戦略を練っていくことが、モチベーションを継続しつつ無理なく、他にない独自性のある商店街づくり、まちづくりができ、活性化につながっていくことと思います。人を育てる場合もそうですが、その人の長所を伸ばしていくことで、その人が持っている潜在能力を引き出し、結果的に良い面が前面で出ていき、逆に短所が引っ込んで見えなくなっていくという効果もあります。長所育成法の一番の狙いは、まず自信をつけさせることが大きいと思います。商店街でもそうですが、まず若手にイベントなど柔軟な発想でやらせて、どんな小さなイベントでもいいですから、成功体験を積み重ねて自信をつけさせていくことが商店街の次の担い手を育てていくことにつながっていくことと思います。

 最後にパネルディスカッションの内容も踏まえ、ネットワーク・連携という観点で紹介していきます。ネットワークを考えていく上で、商店街におけるカード事業のキーワードとなるのが“ICカード”です。最近、ICカードが私たちの生活の中で急速に普及し始めており既に使われている方も多いことと思います。しかし、まだまだ単機能使用が多いです。メジャーなICカードとして挙げられるのが、昨年(2001年)11月からいずれも非接触型ICカードとしてサービスがスタートした「JR東日本のプリペイド乗車券・スイカ」と「ソニーグループのビットワレットが運営するプリペイド式電子マネー・Edy」です。

 首都圏の470駅で利用できるスイカは、改札機に軽く触れるだけで通過でき、乗り越しても自動精算してくれる便利さが受け、導入1年で約506万枚発行されています。Edyは、現在55万枚発行されており、今年(2002年)7月からコンビニのエーエム・ピーエムが導入を決め、利用可能な店舗も全国約1600店まで広がっています。その他、ICカードの動きとしては、クレジットカード業界が切り替えを始めており、関西のプリペイド乗車券「スルッとKANSAI」も来年度(2003年度)から阪急と京阪を皮切りにICカード化する予定です。さらに多くの方が持っている運転免許証も昨年(2001年)の道路交通法の改正でICカード化されそうです。2004年にも一部の都道府県でICカード運転免許証が発行される見通しです。

 メジャーなICカードがまだまだ単機能なカードとして利用されている中、商店街においては、多機能なICカードが発行されつつあります。長野県駒ヶ根市近隣を対象に発行されている非接触ICカード「つれてってコミュニティカード」は、商店街における買い物機能(ポイント&プリペイド)、行政における住民票、印鑑証明など各種証明書の発行の支払い、福祉チケットの発行、子育て相談等の予約、公立の病院・温泉施設の支払い機能、赤穂信用金庫におけるキャッシュカード機能の商店街カード、行政カード、金融機関カードの3つが一体となっています。駒ヶ根市からは、パネリストして、つれてってカード協同組合事務局長の矢沢哲也さんが見えられていました。矢沢さんには、駒ヶ根に「つれてってコミュニティカード」の視察に行った際にお世話になりました。

 あと、パネルディスカッションで紅一点だった京都の四条繁栄会商店街振興組合・理事の小出賀奈子さんは他のパネリストを圧倒するくらいパワフルでした。この元気さが各商店街において必要なんだと実感した次第です。ノーベル受賞者を出すなど京都という地は、進取性というか独自性に富んでいますが、小出さんは理事といっても、若い女性で、若手を起用しているところなど京都ならではと言えます。パネルディスカッションのなかでは、“おもてなし”という言葉が頻繁に出てきて、おもてなしの心構えを強く述べられていました。一番上の画像では、少し見にくいですが、小出さんは京ならではの着物姿で登場し、自ら“おもてなし”の心を実践しているようにも感じました。

 今回のコラムでは、全国商店街情報化フォーラムを通して、商店街のあり方を見て参りましたが、最後にまとめますと、文中で紹介しました“商店街活性化の8つの戦略”には、自分たちの商店街の強みを最大限に生かすことが重要であり、そして、根底には常にお客様を迎えるにあたって“おもてなしの心”を持つことが大切であると言えます。本当に元気な商店街が増えていくことを願っております。

追記(2004.12.10):その他の全国商店街情報化フォーラムのコラム第6回全国商店街情報化フォーラムに参加して」併せてご覧頂けましたら幸いです。

By Nagura

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