“人にやさしいまちづくり”について考察する

記:2002.10.1

 2002年度の愛知県が主催する「人にやさしい街づくり連続講座」の初日でもあり、公開講座として行われました障害・バリア人にやさしい街づくり公開講座フリーに関する講演を7月末(2002年7月27日開催)に聞いて参りました。また、「人にやさしい街づくり連続講座」の最終日(2002年9月28日)に公開講座として行われました“これまで人にやさしい街づくり連続講座を受講された卒業生たち”が取り組んでいる活動発表も聞いて参りました。ちなみに2002年度の「人にやさしい街づくり連続講座」は、7月27日〜9月28日まで毎週土曜日に10回にわたって行われ、講座終了後は“人にやさしい街づくりアドバイザー”として登録され、各地域で人にやさしい街づくりの取り組みを推進していくアドバイザーとして活躍していきます。一番上の画像は、初日の講演模様を写したものです。

 まず、「人にやさしい街づくり連続講座」を行うようになった背景を説明しますと、1994年に「愛知県 人にやさしい街づくりの推進に関する条例」を定めたことが発端となっています。1995年以来毎年開かれており、今年で通算13回目(名古屋開催8回、東三河開催5回:東三河は1998年から実施)を迎え、これまでに500名を超える“人にやさしい街づくりアドバイザー”を輩出しています。今年度の人にやさしい街づくり連続講座は終了しましたが、ご興味のございます方は、来年(2003年度)受講されましたら(2003年6月頃に募集されます)と思います。この講座は、人にやさしい街づくりへの理解を深め、自らが課題を認識し、考え、行動し、人と人とのネットワークを広げる「場」として企画されています。そして、受講者が地域で、人にやさしい街づくりの取り組みを進めていくことを期待しています。

 今回のコラムでは、“人にやさしい街づくり”という視点でみていきますが、これまで書いたコラムの中で“バリアフリー”“ユニバーサルデザイン”“ノーマライゼーション”などについて考察した文面がありますのでコラム「バリアフリーについて考察する」コラム「元気な高齢者や障害者が“街”に繰り出す!」も併せてお読み頂けましたらと思います。また、乗り物におけるバリアフリーという観点では人にやさしい街づくり公開講座熊本広島で、高齢化、福祉社会を迎えてお年寄りや障害者に優しい市電をめざして導入された超低床路面電車が走っており、試乗もしてきました。両都市は、それぞれ視察レポートでも紹介しております。

 それでは、“人にやさしい街づくり”への発端となった愛知県の条例について紐解いていきます。この条例は、高齢者、障害者等を含むすべての県民があらゆる施設を利用できる人にやさしい街づくりについて、その推進を図り、もって県民の福祉の増進に資することを目的とされています。基本方針として、「高齢者、障害者等を含むすべての県民が円滑に利用できるよう建築物等の整備を促進すること」「高齢者、障害者等を含むすべての県民が自らの意思で円滑に移動できるよう道路、公共交通機関の施設等の整備を促進すること」が掲げられています。具体的には、教育・広報活動等の推進、情報の収集及び提供等、推進体制の整備、財政上の措置など取り組まれています。

 さらに具体的に挙げれば、公共交通機関の施設や道路、公園、駐車場など不特定かつ多数の者が利用する施設を設置する場合、出入り口、通路、廊下、階段、エレベーター、便所等を高齢者、障害者その他日常生活または社会生活に身体の機能上の制限等を受ける者が円滑に利用できるように措置を講じなければならないとしています。条例の文章を引用していますので、わかりにくいかも知れませんが、取り組み事例を挙げますと、車いすが通りやすいように通路を広げたり、段差をなくしたり、スロープを設けたり、駐車場なら車いす使用者用専用駐車スペースを設けたり、映画館など余興場における車いす用客席などを設けたりすることなどです。

 今回、「人にやさしい街づくり連続講座」の初日と最終日を聞かせて頂きまして、“バリアフリー”“ユニバーサルデザイン”“ノーマライゼーション”など人にやさしい街づくりを実現していくためには、住民ひとりひとりの活動、思いが必要と感じました。ひとりひとりの住民が集まった団体などの活動なり思いが行政や民間企業等を動かし、より快適なまちづくりを実現していくと思います。

 上から2番目の画像は、数年前に既に「人にやさしい街づくり連続講座」を卒業され、“人にやさしい街づくりアドバイザー”として登録されている先輩たちの取り組み紹介を行っているところを写したものです。発表形式は、OHPを活用したり、演劇風に表現したり、車いすダンスをしたり、紙芝居をするなどたいへんユニークでした。2番目の画像は、公共機関を利用して車いすの方と行楽に出た際の道中におけるさまざまな問題点を演劇風に演じている様子を写したものです。

 これまでに「人にやさしい街づくり連続講座」を卒業されたOBたちの活動の取り組みが30近く紹介され、卒業生たちが、社会で、各地域で活躍していらっしゃる様子が伺えました。その中には、豊橋技術科学大学・まちづくりボランティアの「まちづくり工房KAI」とNPOの「東三河ハートネット」の取り組みも紹介されていました。「まちづくり工房KAI」と「東三河ハートネット」の取り組みは、視察レポート「学生たちが商店街で活躍する豊橋市中心市街地を訪ねて」で紹介しておりますので、合わせてご覧いただけましたらと思います。

 「人にやさしい街づくり連続講座」が1995年度から開催され、名古屋開催では8年を経過して、OBたちの取り組み紹介をしたのは、今回が初めてということでした。たいへん素晴らしい取り組みと思いました。今回、受講された方にとっても、アドバイザーとして登録しても、さあこれから何をどうやっていこうかという際に、参考になるとともに、既に、さまざまな団体で活躍しているOBたちにとっても、発表の場として良かったと思います。さらに、今回が初めての取り組みとして、「人にやさしい街づくり連続講座」の企画運営を実行委員会方式をとり、愛知県がまちづくり団体に委託して実行されてきたことです。運営にあたっては、学生ボランティア、OBたちの支援など多くの人が関わり行ってきたようです。愛知県としても、委託するにあたっては、不安もあったと思いますが、初日と最終日しか私は見ていませんが、会場の雰囲気を見ている限り比較的うまくいったのではないかという印象を受けました。

 最終日の公開講座では、受講者たちが閉講式で修了証を授与される姿も見てきましたが、清々しい顔で修了証を受けている姿が印象的でした。毎年毎年、アドバイザーを輩出して、その方たちが、社会で地域で活動していく歴史というか厚さも感じました。最後になりましたが、今回、修了された方の今後のご活躍をお祈り申し上げます。

追記(2003.11.3):2003年度「人にやさしい街づくり連続講座」を受講して参りました。コラム「“人にやさしい街づくり連続講座”を受講して」(2003.11.3)で紹介してますので、合わせてご覧頂けましたらと思います。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ