巨大地震への備え・地震防災の動きについて考察する

記:2002.9.1

 9月1日は「防災の日」です。皆様方、地震への備えは万全でしょうか。防災の日にちなんで、今一度、再点防災の日イメージ検されてはいかがでしょうか。9月1日という日は、今から76年前に死者14万人余を出した関東大震災が起こった日でもあります。

 巨大地震として、想定されているものに、“東海地震”“東南海地震”“南海地震”などが挙げられます。東海地震は、昨年(2001年)12月に22年ぶりに想定が見直され、強化地域が広がりました。東海地震の想定見直しについては、今年1月のコラム「東海地震想定見直しについて考察する」で述べてますので、併せてご覧下さればと思います。

 東海地震は、今や、明日起きてもおかしくないと言われています。“東南海地震”“南海地震”についても、政府の地震調査委員会が発表した長期予測では、今後30年以内に、東南海地震が起きる確率は50%、南海地震で40%となっています。今後50年以内に起こる確率では、両地震で80%に達しています。

 そして、最も恐れられているのが、東海地震と東南海・南海地震が同時発生が懸念されている点です。歴史上、東海地震が単独で起きた例はないとされており、1707年の宝永地震、1854年の安政地震もこれらが同時に発生しています。東海地震の震源域は“駿河トラフの西方”、東南海地震の震源域は“熊野灘”、南海地震の震源域は“室戸岬・足摺岬”が想定されており、東海、紀伊半島、四国にかけての広い範囲で発生する恐れがあります。それだけに、この地域に住んでおられる方は、いざという時に備えて、家屋などハード的な備えおよび心の準備が必要と言えます。

 今回のコラムでは、最近発表された地震防災への動きを紹介していきます。国土交通省、文部科学省、総務省の3省は、2003年度から産学官が連携した地震防災情報システム構築に取り組みます。予知につながる地殻変動情報や発生直後の緊急措置、被害発生後の復旧被災対策を一体的に行うのが狙いです。全国の基準点観測(全国1200カ所の基準点で観測しています)による地殻変動の把握、地震発生直後に震源付近で観測したデータによる地震波到達前の電力、ガス、交通システムの緊急停止措置、被災状況把握などを対象に、高度情報通信網を利用してリアルタイムに関連機関に通報するシステムを開発します。地震による被害を最小限に抑え、救援・復旧活動を効率的かつ迅速に行えるとしています。

 地震予知という分野では、予知するのが難しいと言われている中、これに代わる手法として政府は、過去の地震データから将来の一定期間内に大地震が起きる可能性を、地域ごとに確率として割り出す作業を進めています。最終的には「今後30年以内に阪神・淡路大震災級の地震が起きる確率が10%を超す地域」などさまざまな条件設定で必要な情報を検索できるようにする計画で、第1弾として山梨県内に限定した地震発生予測情報の検索システムを試作しています。これらの情報を地方自治体の防災対策に生かしてもらうのが狙いです。

 作業に取り組んでいるのは、文部科学相が本部長を務める地震調査研究推進本部で、主な活断層や海溝を震源とする地震の発生記録を、できるだけさかのぼって詳しく分析し、各震源における大地震の発生周期を統計的に割り出して、次にピークが訪れる時期や予想される大きさを算定し、結果を今後30年スパンで見た確率として示します。さらに、その結果から地域ごとの相対的な危険度を3ランクに分けて公表します。推進本部ではなるべく実用に適した検索システムを目指し、さらに改良を加えつつ2002年度中に北日本版、2004年度中に全国版を仕上げる計画です。これらのデータを自治体の防災対策づくりや土地利用計画、耐震基準や建築基準の地域係数算定、保険料の算定、さらには原子力関係施設の安全対策などの参考にしてもらいたい考えです。

 直接住民に関わるものとしては、大地震に備えるため、全国の多くの自治体が標準としている木造住宅の耐震診断法が見直されることになっています。阪神大震災など過去の教訓をできるだけ採り入れ、低めに判定されがちだった伝統的な建物をきちんと評価する狙いもあります。見直されるのは、日本建築防災協会の診断法で、“東海地震説”を機に原形ができ、1985年に現在の形となっており、様々な事例等も考慮し、2年後の見直し版の完成を目指しています。

 今回のコラムでは、大地震に備えて様々な取り組みが行われている現状を見てきましたが、国として、地域としての備えは重要なことに加え、まずは常日頃から“自分の身は自分で守る”という心構えと備えが必要です。地震発生後、最低3日間は、自力で生き延びるだけの水、食料の準備は必至と言えます。普段から緊急の場合に備えた“非常持出品”の用意をされていらっしゃる方も多いと思いますが、防災の日という機会に再点検されてみてはいかがでしょうか。

 地震についての必要最低限の備え(知識)については、「地震一口メモ」に載せていますので、一度ご覧いただき参考になさって下さればと思います。また、以前に、ある市の地域防災計画策定(地震対策編・一般対策編)に携わったことがあり、年2回、防災の日(関東大震災の起こった日)、阪神大震災の起こった日近くに、防災にちなんだコラムを今回同様に載せております。地震防災に関するコラムは、検索コーナー・テーマ別から見ることができますので、併せてご覧下さいませ。

By Nagura

リターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージリターンイメージ