春日井小牧コミュニケーションテレビ
(ケーブルテレビ)を見学して 
(日本・愛知)

視察日:1999年5月17日

 愛知県春日井市(人口約27万8千人)と小牧市(人口約13万7千人)をサービスエリアとするケーブルテレビの春日井小牧コミュニケーションテレビ(KCTV)を見学して参りました。一番上ケーブルテレビ外観の画像は、春日井小牧コミュニケーションテレビの建物の外観と放送車を写したものです。職場はオープンな雰囲気が感じられ、思った以上に女性が多く働いているのが目につきました。

 既にケーブルテレビをご利用されていてご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、ケーブルテレビについて少し説明します。ケーブルテレビとは、テレビ塔、放送(BS)衛星、通信(CS)衛星などから送られてくるテレビ電波をケーブルテレビの放送センターで一旦受信してから、ケーブル(電線の一種)を通じて各家庭へ映像を届けるというシステムです。わかりやすく言えば、個人個人が屋根の上にアンテナを立てて受信するのを代わりにやってくれているとも言えます。ですから、ケーブルテレビをひくことにより、アンテナは不要になり、建物などによる電波障害の無い安定した画像が得られ、なおかつBS放送、CSデジタル放送など多彩なチャンネル(トータルで30チャンネル以上の所が多い)を見ることができます。ケーブルテレビには、このようなテレビ放送局(地上波放送、BS放送、CSデジタル放送)の放送電波を放送センターで受信し、再び各家庭に送信する「伝送路」的な役割と地元に密着した自主制作の番組を提供するテレビ局としての役割があります。今後地域メディアとして、より注目を浴びてくるのが後者の地元に密着した自主制作の番組を提供するテレビ局としての役割です。ケーブルテレビのサービスエリアは狭く限られた範囲ですから、まち並みや景色が変化していく様子の映像記録や地元のイベントなど文化的芸術的な点からもケーブルテレビならではの映像がこれから期待が高まっていくことが予想されます。春日井小牧コミュニケーションテレビの自主制作番組につきましては、後ほど詳しく述べます。

 日本におけるケーブルテレビ加入者数は、約672万世帯(ケーブルテレビスタジオ97年末現在)で総世帯数(約4411万世帯)の約15%を占めています。アメリカでは、全世帯数の約7割がケーブルテレビを利用していますから、それと比較してしまいますと日本の普及率は低くみえますが、アメリカは国土が広く、日本のように全国ネットのテレビ局が普及しづらかったという背景もあります。そもそも日本におけるケーブルテレビは、山かげや谷筋など地形的・地理的なテレビ難視聴解消からスタートし、次第に都市部におけるビルなどの高層建築物による電波障害の解消に利用されてきています。
 春日井小牧コミュニケーションテレビにおいては、放送エリア世帯数が約10万世帯に対し、高層建築物などによるの電波障害の利用者も含めますと約5万世帯がケーブルテレビを利用しています。単純計算しますと、50%のシェアを得ていると言えます。

 上から2番目と3番目の画像は、放送スタジオとスタジオと壁一枚隔てた指示を出す機器などが置かれたデスクを写したものです。残念ながら実際にここから放送を流しているところは見ることができませんでしたが、コンパクトにまとまっておりたいへんきれいなスタジオでした。アトランタに行った時に、ケーブルテレビのニュース番組を流しているCNNの番組制作の様子をガラス越しにナマで見た時には、24時間世界中に発信しているCNNだけあり、設備の大きさには驚きました。それと単純に比べることはできませんが、春日井小牧コミュニケーションテレビのスタジオには、地域メディアならではの居心地の良さが感じられました。
 春日井小牧コミュニケーションテレビの自主制作番組を少し挙げてみますと、おいしいお店を紹介する「おいしい三昧」、視聴者の皆さんがテレビに出てPRする「らくがき広場」、一般の主婦のレポーターがケーブルテレビスタジオ一つの話題をクローズアップする「特集」、保育園、幼稚園におじゃまして子供達の素顔に迫る「とびだせちびっこ」などがあります。その他、市、図書館、警察署、医師会、消防署、商工会議所、青年会議所などの情報を伝える広報番組もあります。また、地元のジャスコ小牧店がお買い物情報を流している「それ、ここジャスコ」という番組では、番組の最後に流すキーワードをお店の1階サービスカウンターに設置してある応募用紙に記入して応募するとプレゼントが当たるというおまけもついています。

 ここに挙げたものをみていただきますとわかりますが、まさに地域(地元)に密着した情報のオンパレードです。日本においても、インターネットが普及してきており、今や世界中で起きている情報を一瞬にしてつかむことも容易になってきています。自分が住んでいる地域の身近な情報以上に、世界中の情報があふれており、逆に、自分の生活している(住んでいる)エリアの地域情報をつかむことの方が難しくさえなってきているのではないでしょうか。

 最近、インターネット接続を開始するケーブルテレビ局も増えてきており、その数は約50局に上っており、年内には90局を超え、2000年には100局を突破しそうな勢いです。ケーブルテレビには、インターネット接続だけでなく、防災情報システム、在宅医療システム、電話サービス、ビデオ・オン・デマンド、自動検針サービス、セキュリティシステム、河川監視システムなど多彩なサービスが可能です。

 私の住んでいる地域でも、ケーブルテレビのキャッチネットワークがありますが、ケーブルテレビのサービスエリアになる前にBSアンテナ、CSアンテナを立ててしまったため加入していない状態です。現在、CSは、デジタルに移行する際に辞めてアンテナだけ残っており、機器さえ購入すればいつでも再開可能な状態となっています。一時期、地上波、BS、CSすべて受信している時は、20チャンネルほど見ることができましたが、たまに見る程度で、お金(有料チャンネル)を払うのがもったいないほどでした。新しもの好きもあり、最初に2画面分割のテレビが出た時に購入し、片方の画面で野球を見て、片方の画面でニュースやドラマを見たり(音声は一方のみ、イヤホーンをつければ別々に聞くことができます)するなど利用していましたが、それでも多チャンネルの有効活用とまではいきませんでした。やはり、今後私が、ケーブルテレビに加入する際は、幕の内弁当のような何でもあるけど、これと言った欲しい情報がないといったものではなく、地域情報なら地域情報に特化したサービスがあり、魅力が感じられ、それなりの価値が見い出されることを重視したいと思っています。

 ケーブルテレビは、限られたエリア(地域)における人と人、人と店、人とまち(生活空間)をつなぐツールとして重要な役割を果たしていく可能性を秘めています。一般のテレビ局のように番組制作に大がかりなコストはかけられないにしても、地域住民がJリーグ(特に鹿島アントラーズ)のサポーターのように、住民自らが番組をつくっているんだという流れにもっていくことが必要になってくるのでしょう。何と言っても、フットワークの軽さが魅力であり、身近さが地域住民に愛され受け入れられていくことと思います。
 これからデジタル放送の時代を迎えるにあたって、テレビ放送業界も再編の波にさらされるとともに、通信、電話などを含めそれぞれの垣根が低くなって、世界的に統合化が進んでいます。ケーブルテレビ各社もいろいろなサービス展開の試行錯誤、将来に向けての模索を行っていますが、地域に根差したケーブルテレビならではの良さを生かして、地域におけるポジショニングをしっかりと確立していって欲しいものです。

By Nagura

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