釣り歴30年という会員の五十嵐釈さん(三重県)は、昨今の釣場環境がひどく破壊されていることに見かねて、「こんにゃくで魚を釣る」という発明をした。

釣り場の川や湖水は、ルアーが木の枝に引っかかったままだったり、水中に根がかりして放置されていたりと無残な状態である。「ジグヘッドの鉛もワームのプラスティックも放置すると自然環境破壊になる。本来スポーツフィッシングは、自然を大切にするものであり釣り人として無視できない問題。」と五十嵐さんは考え、プラスティックに代わる自然分解型のルアーを研究し始めた。

ある時、五十嵐さんは、食卓に出たこんにゃくの煮物が、ルアーのワーム部分に利用されるソフトプラスティックと似た感触であることに気付き、こんにゃくでルアーを試作した。食品色素で着色し、こんにゃくのワームが完成。ジグヘッドの部分は、鉛の代わりに粘土をオープンで焼いて固めた。

こうして完成したこんにゃくルアーは、放置しても水分が自然蒸発し、残りはバクテリアで分解する。湖水に捨てても魚の餌になり水を汚さない。ジグヘッドは焼結粘土だから無害と、まさに自然共存型の無公害ルアーである。気になる釣果の実績も、周囲から注目されるほど、釣れるという。

五十嵐さんは、特許出願を済ませ、釣り仲間に普及したいと取り組んでいる、釣り人には、ぜひとも愛用してもらいたいルアーである。