さる6月17日から4日間「ポートメッセなごや」にて、先端・複合技術見本市「テクノピア'98名古屋」が開催された。その中に、会員の稲沢さんが考案したキャップスクリュー (六角穴付ボルト)を改良した作品が出品されて話題を呼んだ。

稲沢さんは、高価な設備の修理、点検、メンテナンスを仕事で行っている。設備は、24時間フル稼働のため2〜3日の割合でメンテナンスが必要であるが、設備をばらす際に、それぞれの部品を締結しているボルトを弛めなければならない。ボルトは、専用の六角レンチでしか取り外しができず、しかも一度六角穴がつぶれてしまうと、取り外しが不可能になってしまう。

そこで六角レンチだけでなく、スパナ、メガネレンチ、ドライバーでも取り外しができるように、頭部に改良を加えてみた。これなら、たとえ六角穴が潰れても、その他の方法で無理なく弛めることができる。アイデアが固まると早速特許出願し、売り込みを始めてみると、運良く一番最初に売り込んだ企業と今年の2月に契約金300万円、ロイヤルティ5%で契約が成立し、5月から生産に入っている。

ユーザーの立場に立った物作りという視点で商品を考えることで、ちょっとした工夫・改良でも商品化の道が開けるという貴重な事例といえよう。