よい発明であれば必ず商品化に結びつく。時には、売り込んだ会社が商品の橋渡し的な役割を持ってくれることがある。そんな事例が黒澤サヨ子さん(東京都)の「リュックサックバンド」。

黒澤さんが、このアイデアを考え始めたのは約6年前。親御さんの看病に東京と秋田を往復する際に、沢山の荷物を手に持つ移動が大変で、これを何とかできないものかと考えた。鞄やバッグをまとめて背負いこめるようにしたらいいだろうと、布状の底の左右にベルトを設けて、上においた数種の鞄をリング状に縛り、それを背負うための肩掛けベルトを設ける仕組みにしてアイデアが完成した。

数社に電話で売り込んだところ、アイデアを気に入ってくれたデパートの担当者が鞄メーカーを紹介してくれ、その鞄メーカーがアイデア商品販売会社を紹介してくれた。そして、このアイデア商品販売会社が、アイデアの面白さと黒澤さんの情熱に打たれ、旅行商品メーカーを紹介してくれたのである。

こうして、度重なる売り込みとその担当者達の紹介で辿り着いた旅行商品メーカーに持ち込んだところ、この5月に契約が成立し、ロイヤリティとして製造価格の8%をもらうことになった。積極的に売り込みを続けていれば、予期せぬ人達が商品化の一役を買ってくれることもある。そんな希望が湧く事例といえよう。