「私は、考えることが好きで、自分の仕事の中に常に創意工夫をしていました。会社の命令や強制ではなかったのです。その積み重ねが定年後の人生を楽しく過ごさせています」と鈴木義春さんはいう。

鈴木さんは、サラリーマン時代に、油を溜める作業の効率を上げる小さな器具を考案した。こうしたアイデアを含めて、数多くの提案改善を自発的に行っていくのが楽しかったのである。

そうした生き方が、定年後の人生に花を咲かせた。鈴木さんは、「倒れてもこぼれない正油さし」を発明し、メーカーに契約金30万円と3%で採用された。真ん中の写真を見てもわかるように、水平になっても正油がこぼれない。「これは、油の注入原理を応用して作ったものです。それが生かされて、こうして世に出るようになりました」と鈴木さん。

日頃から発明・アイデアを楽しんでいると定年後の人生の生き方のヒントになることを、鈴木さんは教えてくれた。なお、この正油さしの構造については、現物を手にしながら考えてもらいたい。科学の心が養われる。