20数年の夢実現へスタート - 発明会館建設いよいよ着工 -
会員念願の発明学会の発明会館工事がいよいよ始まる。新会館には、発明の振興奨励と会員の質的向上を目指して、様々なプランが盛り込まれている。会員皆さんの発明活動がより活発になる場所を提供していきたいと考えている。完成は、平成9年9月ごろの予定であるが、進行状況については現場の写真をおりまぜながら「発明ライフ」で順次、お知らせしたい。(事務局)


介護用クッション契約金30万円、実施料3%で契約
会員の荻野さん(神奈川県)は、腸閉塞で入院して17時間に及ぶ大手術を行い、人口肛門と人口ボウコウをつけて一命をとりとめた。荻野さんは、患部の保護や床ずれ防止のために、病院に備え付けのドーナツ状のクッションを敷いていたが、身体につけたチューブがクッションにあたり痛みがひどいため、U字形のクッションを考案。奥さんに試作してもらい実際に使用してみると、痛みを感じず背中下の風通しもよく、床ずれ防止に効果があることがわかった。これを日曜発明学校で発表したところ、会場に来ていた寝具メーカーの目に止まり、契約金30万円と実施料が卸価の3%で契約することとなった。この介護クッションは、まもなく発売される。


「ハンディクリップ」会員の輪でノベルティ採用!
井上さん(神奈川県)と小物ショップ・企画販売をおこなっている河口さん(東京都)は、お二人とも発明に取り組む当会の会員。井上さんは、スーパーの買い物ビニール袋の取っ手に付け、袋を持ち易くする「ハンディクリップ」を作成したが、事業性を考慮しなかったために売れずに困っていた。そこで、ノベルティーへのこだわりを持つ河口さんを井上さんに紹介してあげたところ、河口さんは「ハンディクリップ」の企画書を作成し、企業に売り込み、大手乳業メーカーのノベルティとして採用された。河口さんによれば、企業のノベルティ商品は、企画として面白ければ採用の確率は高く、採用されてから大量ロットが委託製造され、その分のロイヤリティが発明家に入る仕組になるという。発明家は、なかなか気付かない成功ノウハウといえよう。


「幸福の黄色いうちわ」ロイヤリティ3%で実現!- その徹底したPR戦略
金子さん(広島県)は、広島県のイメージを利用した低コストの"もみじうちわ"のデザインを考案。製造元・販社・金子さんとの間で3社契約が成立し、金子さんにロイヤリティ3%が入ることになった。しかし、発売したものの思惑通りに売れないため、PR戦略を練ることに力を注いだ。その結果、地元の新聞や経済誌、テレビが取り上げてくれ、「幸福の黄色いうちわ」というネーミングと相まって反響が格段に高まった。企画アイデアを生かすも殺すもまずはPR(売り込み)次第。皆さんも、金子さんの行動を参考にいろいろ実行してはどうだろう。その行動が、皆さんを成功に導いてくれるかもしれない。


模型飛行機の経験から発想した「駐車場のチェーン開閉装置」
段ボール資材メーカー会長の山田さん(東京都)は、車中からリモコン操作して駐車場のチェーンを開閉する装置を思案していた。ある時、たまたまチェーンをねじっていたときに、模型飛行機のプロペラを回すゴム紐を思いだし、同じ原理でチェーンを張ったり緩めたりできることに気が付いた。山田さんは、ゲートの横にモーターを付けて、リモコン操作でチェーンの開閉ができる開閉チェーン装置を完成する。このゲートは、特許も取れ、実験も好評だったため、この10月から売り出すことにした。通常の自動開閉装置が100万円前後するのに比べ、本品は、1台15〜25万円。山田さんは、「安いコストで販売できるので、売れそうです。お客さんが見て、意外性に感動する様な商品にしたいですね」とおっしゃっている。


企画書活用売り込みのすすめ(7)
ソフト(企画)の伴わない発明は売れない!

企画書「提案の背景」の作成
ポイント重視の、見やすい構成にする:前回で、プレゼンテーションする相手にアイデアを売り込むための切り口をあげてみました。今回は実際の書類に表現するポイントを中心に構成を考えてみましょう。見やすく、そして比較しやすい様に例として図1のようなものにしてみました。

1. 提案の背景:簡易ライターの現状[図1]
商品形態 市場価格 (円) 市場販売形態 ノベルティ性 単品販売利益性 (市販時) 販売数見込み 誤引火性 ガス漏れ防止機構
回転火石式ライター 100前後
*SP有
駅売店
たばこショップ
コンビニ
有り 有り 無し
電子火石式ライター 200前後 駅売店
たばこショップ
コンビニ
(コスト高) 無し 無し
ファッションライター 100〜300 駅売店
たばこショップ
コンビニ
(コスト高) 有り 無し


簡易ライター業界の問題
1.市販販売形態の重複
2.単品販売利益性の欠如
3.案全盛(誤引火・ガス漏れ)の欠如


これで、企画売り込みの土壌ができました。次回は、アイデア説明につなげるための、提案コンセプトの説明をしましょう。


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